■庭つながり
実のなる木なら植えてみたいです。3歳の時から、私の関心はじいちゃんの庭の枇杷の木のみに集中していました。果物大好き。
でも残念ながら、植物とは相性が悪く、植物を育てるのがすごーく下手です。動物には好かれますよ、モテモテです。人間以外はね(笑)。
関連項目→住まい→窓つながり、→絨緞つながり、
→扉つながり、→壁つながり、
→エレベーターつながり
▼愉しみなんだなぁ。
「庭仕事の愉しみ」(ヘルマン・ヘッセ)
「あの人の意外な趣味ランキング」に入れておりましたが、
ヘッセの庭仕事は、あんまし意外じゃないですね。
かなりイメージ通り。いかにも納得、そんな趣味でございましょう。
自筆の水彩画も収録されていて、それが巧いことの方が意外でした。
→あの人の意外な趣味ランキング
▼一気読みできる回想録!
「馬込の家」(伊藤人譽/龜鳴屋)
『幻の猫』の著者伊藤人譽さんの回想録。
犀星の馬込の家、留守居時代の話など犀星との関わりを柱にしたエッセイです。
犀星が凝っていた庭についてもたくさん出て来ます。
岡あやめの咲く庭。戦時中も無事に残った庭。
庭に対する態度にも、犀星の人となりが現れています。
人を緊張させる人です、室生犀星って。
美に対する鑑識眼で、きっと人も見抜くのでしょうから。
人譽さんの青年時代の話もありまして、
大家のおばさんにすすめられてお見合いをしていらっしゃいます。
おばさんは相手の娘さんたちに会ったこともないくせに、
あれこれと写真を評して人となりを断じていきます。
ププッ。
そこのところが、最高に面白いんですよ。
一つ一つのエピソードが磨かれた小石のようにキラリンと光っています。
じつに巧いです。
→お見合いつながり
▼ぼーっと眺めたい。
「サラ・ミッダのガーデンスケッチ」(サラ・ミッダ 橋本槙矩訳/サンリオ)
心和ませる自然を描いて人気のサラ・ミッダのイラスト集。詩画集と申し上げてよろしいでしょうか。じーっと注視したくなる微細で繊細な絵、そこに組み合わされた描き文字は英語ですが、あえて【訳は別冊】にしたところが編集者の英断だと思います。雰囲気をこわしません。
「楽園はガーデン」「家庭菜園」「果樹園のたのしみ」「ハーブガーデン」の4章。
→詳しくは
▼屋上ガーデン。
「ガーデン殺人事件 創元推理文庫」(ヴァン・ダイン/東京創元社)
ちょっとスゴイですよ、あらすじが!
スゴイあらすじコレクターとしては、見逃せません。
「一発しか聞こえなかった銃声は、たしか二発射たれたはずだった。しかも聞こえた一発は空弾だった。ニューヨークの住宅街の中心、二十階建の高層アパートの屋上ガーデンで、競馬に全財産を賭けた青年の怪死は、その最初から終りまで、現場に立会ったファイロ・ヴァンスをして、完全犯罪と驚嘆せしめるほど巧妙をきわめたものだった! 放射性ナトリウムと、ラテンの古典、そして当代屈指の名馬という不可能の組合わせをついに可能にするファイロ・ヴァンス会心の推理。彼が摩天楼から急転直下の離れわざを演じて、狂人を指摘する最後の結末まで、読者をひきずる妙技は、さすがヴァン・ダインならではのものである(あらすじより)」
そう言われてみれば、庭ってよくミステリに出る気がします。
▼空中庭園。
「バビロン空中庭園の殺人」(小森健太朗/祥伝社)
このあらすじも、上(↑)に負けてません。
「世界の七不思議の一つ、<バビロンの空中庭園>には不可解な謎がある。王都陥落時に屋上に逃げた王女が、敵兵の眼前で不意に姿を消したのである。考古学界の権威・葦沢教授はその謎に取り組んでいたが、解明直前に大学の屋上から墜落死した。しかも、犯人は屋上から忽然と消失、まるでバビロンの王女のように…。二千年の時空を超えた『人間消失』のトリックとは?(あらすじより)」
うーん。二千年の時空を超えましたか。そりゃ読まなくちゃね。単純です。しかも作者は、「バカミステリの傑作」と噂される「ローウェル城の密室」を書いた人。なんかすごいことがあるんじゃないだろうか。よし、読まなくちゃ。(*その後、読了してすごくホニャララだった記憶があります。)
→時を越える事件つながり
▼笑える園芸術。
「わが庭に幸いあれ―紳士の国の園芸術」(ウィリアム・ヒース・ロビンソン画 K・R・G・ブラウン文 中尾真理訳/筑摩書房)
ウィリアム・ヒース・ロビンソンさんと言えば、只今トップページで一押し中の幻の絵本館「美女と野獣」の挿絵の方です。じつにタイムリー。あの本の中でも、滲むユーモアが彼の味で、他にもそんな著作があると書かれていましたが、これなんかまさにそうです。
庭造りは紳士のたしなみ、というわけで、庭造りマニュアル本。
でも、一筋縄ではいきません。
庭造りのあれこれを一から十まで解説してくれているのは確かですが、
とことん洒落のめしています。
その道の人が読んで笑い合う本なんです。
例えば、愛書家は、愛書家の本にかける異常な情熱について書かれた本を読むと、笑いながら頷きますでしょ? まさにあれ。
しかも身近な植物のことですからね、庭造りをしたことのない人でも、簡単に想像がついて必ず笑えます。
植物とは相性の悪い私も、笑いながら読めました。そんな読み物なんです。
ヒース・ロビンソンさんの絵もたっぷり。K・R・G・ブラウンさんと、良いコンビだなぁと思ったら、
ユーモアHowToシリーズを出してるんですって。
『理想の夫になるには』ってヤツ、読みたい~!
→役立つマニュアル本つながり
▼いろんな庭。
「庭の小道から」(スーザン・ヒル 新倉せいこ訳 アンジェラ・バレット絵/西村書店)
なるほどな~と思いますね。 誰しも自分の趣味については一家言あると思うのです。 例えば私なら、本棚には少しうるさいですよ。 本棚自体のしつらえにもうるさいし、その中身にもうるさい。 カフェにある本棚なら、こんな本を並べてほしくて、その形はこんな風がいいとか。 応接間には、この程度の品揃えでアピールしたいとか。 キッチンにも本棚があるといいとか。 ちょっと空いたスペースには小棚に文庫本を並べるのがいいだろうとか。 ブックエンドを使うのもアリだな、とか。 要するに、それを「庭」バージョンでやっておいでです。 鉢植えで作る庭や野菜を植える庭、自然のままの庭、迷路の庭…、 そして、夜の庭や冬の庭がどんな風か。優美な絵と文章で描かれます。細かい薀蓄は言いません。いろいろな庭の魅力とコツやヒントをさらっと紹介しています。 「あぁ、この人はほんとに庭が好きなんだな」と、 私は庭には無関心ですが、同じように何かを愛する者として共感します。 もちろん最後の章は「わたしの空想の庭」なんですよ! わかるわ~。 私だって、「本棚の本」を作るなら、最後は「わたしの空想の本棚」です! すべての趣味は、最後にはここに行きつくでしょ。
▼夏の庭。
『夏の庭 新潮文庫』(湯本香樹実)
「死」に関心を抱いた小6の少年3人は、近所の死にかけている老人を観察することにする。老人は一日中テレビを見ているだけ。3日に1度、コンビニに出かけるだけ。もうすぐ死ぬはず。なのに、少年達が見張るようになって以来、老人はなんとなく元気になってきたようで…
…まぁ、この時点ですでに名作ですよね。名作の香りのするプロット。
普通、来訪者モノは、来訪者が能動的なもんですが、この来訪者たちは幼くて、おずおずとしているかと思えば向こう見ずで、アンバランスで、つまり「少年」で、とても愛おしい。珍しいパターンだと思っているうちにすっかり夢中になってしまいました。
最後はイイ夏休みを過ごした気持ちで涙。
これは良い本だ、と言うしかないです。
→老人つながり
→来訪者つながり
→ミニ特集・少年の日
→ミニ特集・夏休みの思い出
▼中庭。
「中庭の出来事(単行本版)」(恩田陸/新潮社)
「瀟洒なホテルの中庭。こぢんまりとしたパーティの席上で、気鋭の脚本家が不可解な死を遂げた。周りにいたのは、次の芝居のヒロイン候補たち。自殺? それとも他殺? 芝居とミステリが融合した、謎が謎を呼ぶ物語のロンド(あらすじより)」。
まさに中庭の出来事? 読書中です。
▼ふしぎな庭。
『ふしぎな庭』(イージー・トゥルンカ いでひろこ訳/ほるぷ出版)
チェコの絵本作家、イジー・トゥルンカさん。(イージー・トゥルンカ等、表記の揺れあり)
舞台芸術、人形映画の製作などもなさったそうです。
鮮やかな色使いの中の陰りが目を惹きます。好きだなぁ。
この『ふしぎな庭』はトゥルンカさんがお話も書いた唯一の作品とか。
五人の子どもたちがふしぎな庭で出会う動物たちと繰り広げるおかしな物語。
私は、本ばっかり読んでる博識のクジラと、バスで町まで旅してくるハエの話が特に好き。
あと、猫じいさんの寝言が、
「しんぱいごと……やまほど……どうにか、して、ほ、し、い、ニャー……」
ってところが、一人の大人として爆笑だったんですけど、そこって本編にはあまり関係ない細部なんです。
めっちゃ笑える。トゥルンカさんの何かが漏れ出たんでしょうか。
最近はトゥルンカ作品を(古本なら)安価で買えることが多くなりました。今のうちに買い揃えるのもアリかと。
トゥルンカさん以外のチェコの絵本作家もたいてい深みのある華やかさが印象的です。すれ違っても二度見必至。
調べたらチェコの人ってことが多いです。
中も素晴らしいです。
他に…裏庭、がありますよね
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