得てして、小説というものは、未知の世界への扉を開くものですから、「○○へつながる扉」という概念も頻出するのでは? などと考えました。厳密には、扉形態じゃないものも含みますが、御容赦のほどを。 
        関連項目→住まい→窓つながり、→絨緞つながり、→壁つながり、→階段つながり、→エレベーターつながり 
        関連項目→鍵つながり▼まずはコレ。はずすわけにはいかないでしょう。 
         「夏への扉 ハヤカワ文庫SF」 
        (ロバート・A・ハインライン/早川書房) 
          
        古典SF。  
        SFなんだけど、この中で書かれている未来は今ではもう過去のこと。
         
        したがって、予見されているのに外れている科学技術なんかもあり、
         
        そこは笑ってしまうのですが、大事なのはそこではないんだなー。
         
        これは、なんだか頼りない男のくじけない恋愛小説なのです。
         
        そしてなんといっても冒頭部分がすばらしい。
         
        猫のピートが冬になるといつも夏への扉を探すというあのくだりを語って 
        女の子を口説くといいのにと、わたしは常日頃、世の男性にアドバイスしています。
         
        美しい日本語訳も忘れてはいけません。  
        福島正実さん、すばらしいです。
        冒頭だけでも読む価値あり。 
        →猫つながり 
        →タイムトラベルつながり 
        →魅惑の書き出しランキング 
        ▼キャーッ。 
         「12月の扉 上・下 創元ノヴェルズ(文庫本)」 
        (ディーン・R・クーンツ/東京創元社) 
         
        これだけ心そそるあらすじも珍しいです。 
        別れた夫の不審な死により、娘を引き取るローラ。 
        彼は何かの実験をしていたらしい。娘を実験台にして。 
        娘は黙して語らない。しかし… 
        「独りぼっちの病室で少女は突然口を開いた。 
        『扉が、12月への扉が…だめえ!』」 
        さらに、 
        「沈黙を破って少女が叫ぶ。『あれが来る、あれが来てみんなを食べちゃう!』」 
        という具合です。たまりませんな。怖すぎです。 
        こういう訳のわからないことを聞かされると、それがどんなものなのか 
        (例えそれがどんなに下らないものであろうと) 
        知りたくてたまらなくなるのが、私の悪いクセなんですよね。 
        「究極のホラー・エンタテインメント超大作(あらすじより)」。 
         
        ▼ゲートも入れるか。 
         「呪のデュマ倶楽部」→文庫化に際して改題「ナインスゲート」 
        (アルトゥーロ・ペレス・レベルテ/集英社) 
          
        映画では、ジョニー・ディップが稀覯本ハンターの主人公を演じておりまして、 
        その予告編がものすごく面白そうだったんです。 
        絶対見なくちゃと思ってビデオを借りてきたんですよね。 
        ま、予告編ほどじゃないけど、それなりに面白かった。 
        映画の題はナインスゲートだったので、 
        それが往年の未読本、「呪のデュマ倶楽部」といっしょだって気付いてびっくりしました。 
        著者は「フランドルの呪画」の人です。 
        →蔵書家つながり 
        ▼いわゆるどこでもドア。 
         「ハイペリオンの没落」 
        (ダン・シモンズ/早川書房) 
          
        ちょっとネタバレるので、大したことは言えませんが、 
        いわゆるどこでもドアが出てきます。 
        つまり、テレポーテーションできるゲート(?)なのですが、 
        これ以上は言わない方がいいと思います。 
         
        日常的なSFでなくて、宇宙が舞台ですから、少しヘヴィなSFかと思いますが、 
        壮大な物語が好きな方にはおすすめです。 
        これの前作「ハイペリオン」とセットの方がよろしいかと。 
        →記憶つながり 
        ▼ひと晩で読もう。 
          「上と外 全6巻 幻冬舎文庫」 
        (恩田陸/幻冬舎) 
          
        幻冬舎文庫から隔月刊で刊行されてまして、楽しみに読みました。 
        相変わらずの着想の冴えと言いますか、ぐいぐい引っ張る腕力と言いますか。 
        私、突拍子もないあらすじに弱いので、これ、とことんハマりました。 
        微妙なネタバレがあるかもしれませんので、以下反転で。 
        ジャングルで迷った兄妹が入り込んだ地下迷路では、とある儀式の最中。 
        その儀式は、とてもやり遂げられそうにない難しいものなのに、二人は参加を余儀なくされます。失敗すればジャガーに食われる。脅しじゃありません。ほんとにジャガーがいるんですから。 
        その儀式は、とてもやり遂げられそうにない難しいものなんです。 
        ひょえええ、ちょっと待って! 一体、どうやって抜け出すの? と、夢中になっちゃう私って、 
        チョロい読者だとは思うんですが、最後まで倦まずたゆまず一気に連れて行ってくれるこの腕力は 
        只事ではないと思います。オススメ。 
        あ、何が扉かと言いますと、まぁその地下への入り口ということで。ムニャムニャ。 
        →迷子つながり(作成中) 
        →サバイバルランキング 
        ▼あら、気になるじゃないの。 
         「世界の秘密の扉 創元SF文庫」 
        (ロバート・チャールズ・ウィルスン 公手成幸訳/東京創元社) 
          
        未読ですが、ちょっと予感がします。いいんじゃないかしら? 
         
        この世界にはどこか別の世界に通じる、見えない秘密の扉がある。 
        カレンは自分の能力を封印して暮らしてきたが、 
        最愛の息子の前に見知らぬ灰色の男が現れたのを機に、秘密を探る旅に出る。 
         
        という感じのようです。 
        「詩情あふれるSFファンタジイ(あらすじより)」。 
        そういうの、好きなんです。 
        他に…やっぱ、どこでもドアでしょー。ドラえもーん。 
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