タイムトラベルものってたくさんありますが、店主のチェックポイントは4つですね。1、過去(未来)への行き方。2、過去(未来)での生き方。3、過去(未来)での出会い。4、元の時代への帰り方。これがいかに描かれるかが重要です。当たり前すぎですかね?
→関連項目・時を越える事件つながり
→ミニ特集・どんな旅に出る?▼涙。
「タイム・リーパー」
(大原まり子/早川書房)
1988年、交通事故にあった主人公は2018年の救急病院で目覚める。事故で重傷を負っていた彼は、首から下は機械になっていた。がーん。時間跳躍者(タイム・リーパー)という能力者として、主人公をマークするタイムパトロールと特殊警察。その攻防。著者の抒情性とSF魂と遊び心が融合した、万人の楽しめる傑作タイムトラベル、だと思うな。店主はげしょげしょに泣きました。
タイムパトロール隊、すてきです。入隊したい。
→関連して(?)→入会したいつながり
※文庫版は流通中です。
▼文句なく傑作。
「マイナス・ゼロ 集英社文庫」
(広瀬正/集英社)
読んで驚愕。これが、70年代の作品?!
今でも充分通用するタイムトラベラーものとは恐れ入りました。過去の雰囲気がひしひしと伝わってくるノスタルジックな描写も、時間を遡ってしまった主人公の過去での身すぎ世すぎのリアリティも、楽しくて面白くて仕方がない日本時間旅行モノの最高峰。読み出したら最後、止まりません。
→ミニ特集・広瀬正小説全集
▼ノスタルジー。
「ふりだしに戻る 角川文庫」
(ジャック・フィニイ/角川書店)
主人公は、90年前に投函された青い手紙の謎を解くために1882年のニューヨークに行くんです。なにがすごいって、その過去への行き方がすこいです。かなりびっくり。今すぐにでもできるんですよ。挑戦しませんか?
そして著者の持ち味のノスタルジーが炸裂。たまりませんな。
→手紙つながり
→時を越える事件つながり
※流通中です。
▼しかも名訳。
「夏への扉 ハヤカワ文庫SF」
(ロバート・A・ハインライン/早川書房)
古典。
SFなんだけど、この中で書かれている未来は今ではもう過去のこと。
したがって、予見されているのに外れている科学技術なんかもあり、
そこは笑ってしまうのですが、大事なのはそこではないんだなー。
これは、なんだか頼りない男のくじけない恋愛小説なのです。
そしてなんといっても冒頭部分がすばらしい。
猫のピートが冬になるといつも夏への扉を探すというあのくだりを語って
女の子を口説くといいのにと、わたしは常日頃、世の男性にアドバイスしています。
美しい日本語訳も忘れてはいけません。
福島正実さん、すばらしいです。
冒頭だけでも読む価値あり。
→猫つながり
→扉つながり
▼本日の仰天あらすじ
「時間旅行者は緑の海に漂う ハヤカワ文庫」
(J・P・オリアリー/早川書房)
店主がお風呂本にしていた1冊。
というわけで私のお風呂本日記から抜粋。
曰く、「この小説では、夢が大きな意味を持つのですが、その説明がね、『あー、なるほどね』って納得できるんです。ありそうな気がしたなぁ。夢がどうのっていう話が好きな方におすすめ。あんまりSFって感じがしない。…」
因みにあらすじでは「『エイリアンと恋に落ち、忘れられた夢の秘密を発見し、地球を第三次世界大戦から救い、自分自身を殺した』という「ぼく」の狂気じみた1年」となっています。
→ドラマな題ランキング
▼過去への行き方No,1。
「リメイク ハヤカワ文庫SF」
(コニー・ウィリス 大森望訳/早川書房)
未来では、映画は新しく撮る必要はない。俳優もいらない。
映画はもちろん、マリリンやオードリー、ゲーリー・クーパー、
フレッド・アステアら、かつての名優たちも、デジタライズされていて、
いつでも好きにリメイクできるのだから。
好きな女の子の顔を名画の中に貼りつけるのも、それと同じだけ簡単。
また未来では、酒は有害物質として、映画からは消去されています。
主人公トムの仕事は、酒や麻薬を昔の映画から消すこと。
彼が出会ったアリスは、ミュージカルとフレッド・アステアに憧れ、
ダンサーになりたいと言います。
そんなことは無理。もうミュージカルは作られていない。ダンサーなんかはいない。
ダンサーはいなくてもフレッド・アステアが踊ってくれる。
映画に出たいのなら、自分の画像を貼り込めばいい。
アリスは彼の言葉に耳を貸さずに姿を消し…(以下、反転でネタバレ)、
---ここからは知らないほうがいいと思うけど、あらすじに書かれています。
一応反転しておきます---
ある日、トムは映画の中でアリスを発見するのです。
貼り込みではありません。アリス本人が昔の映画の中で踊っているんです。
でも一体どうやって? 彼女は過去へ行ったのか??
---ここまで---
この謎解きが、とてもイイです。ロマンチック。
→酔っぱらいつながり
→ミニ特集・シネマの世界
他に… 「ドゥームズデイ・ブック」(コニー・ウィリス/早川書房)
▼参考
リプレイ
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