迷子になったらまずHOMEへ

■老人つながり
すてきな老人が出てくると、死ぬんじゃないかと思って、胸苦しくなるんです。
じじばばッ子なもんで。

▼格闘技ファンに。

「超老伝 カポエラをする人 角川文庫」
中島らも/角川書店)

いきなりですが、中島らも好きです。
個人的には(っていつも個人的ですけど)、
「今夜、すべてのバーで」と「ガダラの豚」の次にこれが好きかもしれません。
長年連れ添った妻に去られて○チガイになった菅原法斎老人。陸軍中野学校で叩き込まれたサヴァイバル技術を駆使して庭で飯盒でメシを炊き、トカゲを食って自活。趣味はカポエラ。無敗。やくざにも負けない。そんな菅原センセイん家に、モヒカン君が弟子入りし、あわやのところを助けられたかわいい娘ッ子も同居することになります。
おもしろそうでしょ?
やくざや、かつての小田切伍長に天誅を食らわせてみるかと思えば、センセイの宿敵まで登場します。私も弟子入りしたいかも。 
→胸のすっとする天誅つながり
→離婚つながり

▼マシュウよ永遠なれ。

「赤毛のアン 新潮文庫」
モンゴメリ/新潮社)

赤毛のアンは何度となく読み返しておりますが、
いつ読んでもマシュウおじさんへの愛がさめることはないです。
好きだなぁ。マシュウ、マイラブ。
マシュウがアンのために、ふくらんだ袖のワンピースを買いに
行くところとか、いつもそっと慰めてくれるところとか、…
う、今書いているだけでうっすら涙が…。
まぁ、あまりに有名な話なので今更書いても差し支えないと思うんですが、
私が作者モンゴメリに対して恨みに思うことがあるとすれば、
マシュウのことですね。何もあんなに早くアレすることはないんじゃない?
あと、ジム船長もさー。
→泣ける本ランキング

▼不埒にも。

「ゴリオ爺さん 新潮文庫」
(バルザック/新潮社)

バルザックと言えば、谷間の百合とかでしょ? と思っていたので
大学の授業で「ゴリオ爺さん」を読まねばなくなったとき、
憂鬱でした。「なぜにゴリオ爺さん?」とか思って。
題も面白くなさそうですし。いや、ほんと不埒なもの言いですが。
文豪の地味な作品なれど、こういう古き良き大作に読みふけるというのも、文学の一つの楽しみ。
ありありと眼前にひろがる人間ドラマや他人の人生の地味さに恍惚となるということもあるんですよね。
夏休みとかに、無理やりではなく、自主的に読んでもらいたい本。
なんだけどな。

▼こんなおばあさんになりたい。

『ひまつぶし ハヤカワ文庫NV』
(クロード・クロッツ/早川書房)

舞台はパリの下町、モンマルトル。ヒロインはジェロメットおばあさん。でもめちゃめちゃ元気です。仲良し4人組で、おいしい物を食べたり、おしゃべりしたり、これは明らかに私より健啖で元気ですね。食事もカロリー、脂肪分無視だし。プチ・フール、サブレ、アーモンドタルト、コーヒーアイスクリーム、ソーセージ、牡蠣、パテ、豚や仔牛の頭のパイ料理…。
それなのに世間は、老人には楽しみなんてない、楽しみなんて必要ないと思ってるらしく、住みにくいったらありゃーしない。とかくこの世は腹の立つことばかり!!というわけで、おばあさんたちがガンバル。
ブラックながんばりです。プフと笑っちゃう、ブラックコメディー。
→詳しくはコチラ

▼おばちゃまだって。

「おばちゃまはアルペン・スパイ 集英社文庫」
(ドロシー・ギルマン/集英社)

おばちゃまシリーズ、じつはけっこう好きなんです。和みますもん。
それにおばちゃまの気持ち、よく分かる!
私もスパイになりかった!
こんな機会があったら、私も絶対スパイになる。
おばちゃまに感化されて前向きになれる本です。

さて、おばちゃまシリーズ第4冊目のこの巻には
ロビンという宝石泥棒さんが出てきますよ。
かっこいいです。
→泥棒つながり
→スパイつながり

▼近所の老人。

『夏の庭 新潮文庫』
(湯本香樹実)

「死」に関心を抱いた小6の少年3人は、近所の死にかけている老人を観察することにする。老人は一日中テレビを見ているだけ。3日に1度、コンビニに出かけるだけ。もうすぐ死ぬはず。なのに、少年達が見張るようになって以来、老人はなんとなく元気になってきたようで…

…まぁ、この時点ですでに名作ですよね。名作の香りのするプロット。

普通、来訪者モノは、来訪者が能動的なもんですが、この来訪者たちは幼くて、おずおずとしているかと思えば向こう見ずで、アンバランスで、つまり「少年」で、とても愛おしい。珍しいパターンだと思っているうちにすっかり夢中になってしまいました。
最後はイイ夏休みを過ごした気持ちで涙。
これは良い本だ、と言うしかないです。
→庭つながり
→来訪者つながり
→ミニ特集・少年の日
→ミニ特集・夏休みの思い出
※流通中。

▼こんな風になれるだろうか。

「恋する老人たち Portrait Collection」
(荒木経惟/筑摩書房)

街中の老人たちの写真集。
カバーにもなってるなんとなく艶っぽいおばあから、
渋いおじい、
そして仏様に近づいてる枯れた感じが愛しいおばあまで、
いろんな老人の姿。
すべて荒木経惟撮影かと思ったらそうではなく、
撮影者はいろいろ。世界中の写真家かな。
すべての写真に荒木経惟がコメントを付けています。
さすがに巧いです。

他に…『アルプスの少女ハイジ 角川文庫』
(ヨハンナ・スピリ/角川書店)