■本に出てくるおいしい食べ物 P3
▼アイスクリーム好きは女性?
『アイスクリームの本 ミニ博物館』(森永乳業編/東洋経済新報社)
アイスクリーム、好きですよね? さんざん食事をした後、満腹でも食べたいですね。例えば、ラーメンの後、お好み焼きの後、勿論イタメシやフレンチのデザートでも嬉しい。ドライブの時は高速のSAでソフトクリーム。観光地では、その土地の名物ソフトをね。楽しみはいっぱい。昔、駅で祖母に買ってもらって電車の中で食べていたカップアイス、なんであんなにおいしかったんだろう?
そんなおいしいアイスクリームの本です。そのままです。製法、歴史、逸話、小ネタ、と話は尽きませんが、一番オオッと思ったのは小説への登場の仕方の考察。女性作家(モンゴメリ、ミッチェル)はすごく執着してアイスクリームに頁を割いてるって言うのね。でも男性作家(モーム、ロレンス)はあっさり書き流してるって。うーん。そうか?そう言われてみればそう? 1984年のミス・アイスクリームの写真の向井亜紀さんがあの向井亜紀さんで驚きました。なかなか発見の多い本です。
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▼たまごやき、マイラヴ。
『ぼくは王さま フォア文庫』(寺村輝夫/理論社)
このお話、大好きでした。ね? 王さまはわがまま。今日も王子さまの誕生を国中の人と祝うために、たまごやきを作ることにしました。
「あまくって、ふーわりふくれた、あったかいのがいいね」。王さま、ほんとに気が合いますな!わたしも大好きです!
(あー、たまごやき食べたい!)
しかし、王さま、「ぞうのたまごを取って来い!」って。…。私も一瞬、ぞうのたまご、そりゃデカそうだと思いましたけどさ。大きなフライパンもかまども薪も用意して、みんなでぞうのたまごの到着を待ち焦がれるのでした。
私も王さまになって、たまごやき焼けとか、ケーキ焼けとか、おでん作れとか、言いたいです。
4つの短篇収録。その一つ、しゃぼんだまのくびかざりも大好きです。
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▼相変わらず、うまそう。
『犬が星見た 中公文庫』(武田百合子/中央公論社)
武田百合子さん、食べ物の話をさせたら、ピカイチじゃないですか?この本は決して、料理本ではなく、夫・武田泰淳と竹内好のロシアへの旅に同行した思い出を綴っているのですが、頼まれもしないのに(失礼!)、食べたもののことを細かく報告してくださいます。毎度のことながら、この食への執着具合に、同類の魂を感じずにはいられません。
ある日の朝食─○パン○大きなソーセージと、じゃがいもの裏ごし○グルジアチーズ○胡桃の蜜煮(胡桃のまわりの果肉もついている。種子、つまり私たちのいう胡桃も、そのままの形で不思議にやわらかい。丸ごと食べられる)○レモン水。ロシア料理、うまそうですな!そして時々(?)出てくる夫、意外にも中々おもしろい人なんですよね。
→関連項目
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▼さすがにそれは食べてない!
『こんなものを食べてきた!』(本多勝一原案、堀田あきお&佳代漫画/朝日新聞社)
この本を読んではじめて思い出したのですが、小学校の頃、学校の帰り道によく野の草を食べていました─と、書くと、いつの話?って感じですね。何歳?って(笑)。 私自身は、小学生時代は団地のマンモス校に通っていたのですが、うちの母親が山育ちでして、いろいろと教えられていたんですね。団地も山を切り開いて造成されていたので、通学路も山に隣接していたんです。イタドリ、ツバナ、木イチゴは食べました。レンゲやツツジは蜜を吸いました。アケビの実は、なる場所はわかっていたけど、手が届かなかった。 今考えると、割りとワイルドな子供時代ですが、本多さんには全然かないません。1931年生まれの本多さんが故郷信州での子供時代に食べた、野の食べ物(動植物・ 昆虫 )を漫画で紹介。雑誌「週刊金曜日」に連載されていたもので、毎回読み切りのドラマ仕立てで違う食べ物を紹介しています。勝一少年の食いしん坊ぶりには、あきれながらも共感してしまいます。読んでいて一番食べてみたかったのはツナミ(クワノミ)かな。すいません、無難な選択で。ハチの子ご飯とかはちょっと…。 おもしろいです!
▼はぁ、なんでだろ?
『すしの魚 平凡社カラー新書』(末広恭雄/平凡社)
昔は、水族館はただ楽しいところだったのに、今ではうまそうだなーと思って見ちゃいますね、魚を。特に
ニギってもらうとよさそう
だと思っちゃう。大人ならではのリアルな想像です。まさに巨大な生簀状態。私、水族館の中に寿司屋を作ったらかなり流行ると思うんですけど。思いません?
この本もめっちゃおいしそうです。1冊まるごと寿司ネタについてのあれこれ。図版も豊富。年代のせいもあって大した写真じゃないんですが、うまそうなんだなー、これが。「口の中でかみつぶすと、トロリとした独特のうまみをもつイクラの味はなかなかすてがたい」ってドーンとイクラの写真が。もーぅ明日は寿司で!って決意しました。
サトウサンペイの「すしの常識のウソ」っていう絵入り短文有り。
→寿司つながり
▼いつも心にチョコレートを!
『チョコレートの本』(ティータイム・ブックス編集部/晶文社)
チョコの本のパターンですが、それでもやっぱり、装丁にそそられます。いいなぁ、この茶色のカバー。
私もチョコは大好きで、チョコレートを食べて、コーヒーを飲むのが大きな喜びです。チョコ関連のことが人生の楽しみのうちの1%くらいは占めてるんじゃないかと思うんですけど、どうでしょう?
先日の『チョコレート・ブック』
に同じく、レシピや小話など丹念に集められていますが、嬉しいのは、文学とチョコレートの項目があったり、チョコレート好きの人の文章などが引用されたりしていること。 森茉莉さんとかね。
→チョコレートつながり
▼ここに住みたい!
『魔法がいっぱい! ハヤカワ文庫FT』(ライマン・フランク・ボーム 天野嘉孝絵/早川書房)
「オズの魔法使い」のボームの処女作だそうです。オズよりも先に書かれたのに、刊行年は後なんですって。
さて、このお話、【モーの国】のお話です。モーの国はお菓子でできています。モーの国には
牛乳 の河があり、
上等のチーズ
でできた島があります。岸辺の淵には
クリーム
が盛り上がり、睡蓮のかわりに苺の大きな葉が浮かび、
赤いイチゴ
がクリームにつかっています。川岸は白砂糖。
キャンディーやボンボン
は鈴なり。いつでも食べていいんですよ!
また、モーの国は美しが谷と呼ばれ、雨はレモネード、稲妻は花火、雷は歌劇『タンホイザー』の合唱部分。必要なものはみんな木になるので、勝手に取ってよろしい。誰も死ぬことはなく、やさしい王様がおさめています。
何それ?何か落とし穴が?と思ったけど、何の落とし穴もありません。
移住したいです!!
そんなモーの国の人々のお話を集めた短編集。
楽しすぎ
です。子供ならずともワックワク。オズシリーズの外伝という趣もありますので、ファンは見逃せません。
→苺つながり
▼キャー、ええわぁ。
『チョコレートブック』(ヘルガ・ルビンスタイン/平凡社)
献辞に世界中のチョコホリック(チョコ中毒患者)に捧げる
、とあります。それそのまま、チョコについてのすべてが書かれた本です。ちょっと、この装丁を見てくださいよ! かーわーいーいー。うーまーそー。ほしー!と思いません? そこのチョコ党の御同類よ。
著者のヘルガさんは当然チョコレート狂で、書きたくてたまらなくて書いた本ですって。ほえー。確かに気合い入ってますわ。
各国のチョコ菓子の紹介、いろんなチョコレートの作り方、チョコレートのエピソード、歴史など、いろんな情報がてんこ盛り。あー、おいしそう。ドボシュトルテ食べたいぃ。って言うかさ、なんでもいいよ、食わせろ!(いや、失礼。)この本を開いている間はまさに「
チョコレートのためなら死ねる
」って気分になります。印字がこげ茶色なのもイイですねぇ。
→チョコレートつながり
→文字が色付きつながり
▼こんなおばあさんになりたい。
『ひまつぶし ハヤカワ文庫NV』(クロード・クロッツ/早川書房)
舞台はパリの下町、モンマルトル。ヒロインはジェロメットおばあさん。でもめちゃめちゃ元気です。仲良し4人組で、おいしい物を食べたり、おしゃべりしたり、これは明らかに私より健啖で元気ですね。食事もカロリー、脂肪分無視だし。プチ・フール、サブレ、アーモンドタルト、コーヒーアイスクリーム、ソーセージ、牡蠣、パテ、豚や仔牛の頭のパイ料理…。
それなのに世間は、老人には楽しみなんてない、楽しみなんて必要ないと思ってるらしく、住みにくいったらありゃーしない。とかくこの世は腹の立つことばかり!!というわけで、おばあさんたちがガンバル。
ブラックながんばり
です。プフと笑っちゃう、ブラックコメディー。ジェロメットが「神経を静めるために壁に四発パンチをくらわせ…」ってところなんか、最高です。
岸田今日子さん、富士真奈美さん、吉行和子さんたちでドラマ化してほしい。でも最後はちょっと悲しいんですよ。
表題作の連作長編、プラス独立した短篇を収録しています。
→老人つながり
▼お母さんになってください。
『ふたりのこいびと シャンソンと料理』(石井好子/文化出版局)
シャンソン歌手にして美食の鉄人、石井好子の料理エッセイ。「ミセス」に「台所ずいひつ」として連載していたものに加筆したそうです。 「ふたりの恋人」というシャンソンに♪私にはふたりの恋人がいる。ひとりは私のふるさと、もうひとりはパリ♪なる歌詞があるそうで、それが題の由来とか。それで行くと、私の恋人はやっぱり二人で、書物と食物かな。 スペイン風オムレツの話が出てきて、私がイタリア風オムレツと称して作るものとまったく同じ(笑)でした。作り方も殆ど同じだったので、自信を深めましたよ。とにかくおいしそうな話が山盛りでお腹が切なくなる本です。シャンソン歌手の秘話もアリ。イラストはDOT CO.となっています。これもおしゃれ。 料理自慢の女人を見るといつも思うんですけど、もちろん石井さんにもお願いしたいです。「私のお母さんになってください」。
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