犬ブームですね。健気な犬の出てくる話もたくさんありますが、選んでみると、意外に気味の悪い犬話が多かったので軽く驚きました。
関連項目→動物→猫つながり、羊つながり、クマつながり、猿つながり、ブタさんつながり、トラつながり
関連項目→ミニ特集・スヌーピー
▼黄色い犬?
「黄色い犬 創元推理文庫」
(ジョルジュ・シムノン/東京創元社)
黄色い犬ぅ?
薄茶なのかな。金色っぽい、茶色とか。
思い切って黄色と言ってしまう感性に、ビクっとします。
あ、黄色自体、インパクトありますもんね。
黄色いアイリス、黄色い部屋の謎…黄色い髪。黄色つながりができちゃう?
否定的な意味合いに使われることが多いようで、暗いつながりになりそうですね。
やめとこう。
この「黄色い犬」はメグレ警部シリーズです。
▼二階堂家の犬、って雰囲気?
「バスカーヴィル家の犬 創元推理文庫」
(コナン・ドイル/東京創元社)
ホームズものです。
じつは、私の中では上述の「黄色い犬」とどこまでもごっちゃになっておりまして、
例えば、記憶の中にある、ある陰気な場面が
どっちの作品のものなのかも、さっぱりわかりません。
どちらかが私の長年の未読本のようです。
うーん、再読あるのみ?
そんな訳でどちらも薄目の紹介文で申し訳ないです。
▼いぬもいろいろ。
「いぬはミステリー 新潮文庫」
(アイザック・アシモフ/新潮社)
犬の出てくる、ミステリ・アンソロジー。
レックス・スタウト、ロス・マクドナルド、ヒュー・ペンティコーストら16名の
ミステリ作家による、16の短編。
かわいい犬も怖い犬もたくさんいます。
ミステリの脇役には猫が幅をきかせていますが、犬だってやりますがな。
→ミニ特集・新潮文庫海外アンソロジー
▼かわいそうすぎ!
「フランダースの犬大百科」
(ケイブン社)
こんなひどい話があってもいいんでしょうか? テレビアニメをやっていた頃、毎週、ネロのことを心配しながら見ていたのですが、挙句にあの結末。家族で涙ジョージョーでした。私的にはちょっとしたトラウマです。ネロが貧しくて食事も満足に食べられなかったので、うちの母親は「ネロはパンの耳も食べられなかったのよ」と言って、私の好き嫌いを禁じました。反論の言葉を持たなかった私は、すっかり好き嫌いのない大人に育ちましたけども。
この本は先頃公開されたアニメ映画、新・フランダースの犬(?)の方の大百科本です。世界名作劇場の特集もあります。子ども向け。
→不幸ランキング
▼ファンに。
「青い犬」
(「阿呆船 ペーパームーンコミックス」収録作)
(佐藤史生/新書館)
佐藤史生とか内田善美とかを読むと昔はよかったな、
とかババくさい気持ちになります。なりませんか、そこのご同類よ。
「青い犬」は、双子の話。
双子の双子らしい使われ方で、印象深い短篇です。
双子のイメージってこうなんですよね。
特に美少年の双子はこういうイメージ強です。
→双子つながり
→美少年つながり
▼8回くらいは見た気がする。
「犬神家の一族 角川文庫」
(横溝正史/角川書店)
何度も何度もテレビで見た気がするんですけども。
必ずキャストで犯人がわかるという…。
ドロドロした世界をもう一度小説で味わうのもオツ?
オツ?
▼オザケンを思い出しました。
「犬は吠える」
(トルーマン・カポーティ/早川書房)
カポーティのエッセイ。
はっきり言って、
彼の作品はぜんっぜんっ読んだことがないのですが、
読む価値が有るに違いないと確信させてくれる1冊。
題は「犬は吠えるがキャラバンは進む」というアラブの諺から。
小沢くんのファーストアルバム「犬は吠えるがキャラバンは進む」は、
ここからとったとか。
▼涙ジョージョー。
「デューク」(江國香織/講談社)
愛犬デュークを亡くして…という話。
個人的事情もあって、涙なしには読めなかった本。
最後、涙で文字が読めなかったです。大マジ。
これはね、少女マンガでもよくあるパターンの話なのですが、
何度このパターンに出会っても泣いてしまう。
繰り返し用いられるモチーフには効用があるんですよね。
様式美といいますか。要するに、決して立派な作品ではないけれど、
「癒し」にいいんじゃないかなぁ。癒しにしては泣かせすぎかなぁ。
物語にはそういう価値もあるんだなぁと思った本です。
山本容子さんの挿絵もいいですし、文庫サイズだし。
愛犬を亡くした経験のある愛犬家に、そっと本棚に置いてほしいな。
今も書きながら思い出して泣いてしまいました…。
→泣ける本ランキング
▼単行本の意味。
「ルーカス・クラナッハの飼い主は旅行が好き」
(山本容子/徳間書店)
世の中には、文庫本ではイマイチ楽しくないという本が
存在します。これなんかは正にそう。
せっかく山本容子さんの豪華な挿絵が
山ほど入っているんですもん。
文庫版なんか買ってる場合でしょうや?
▼答えはない。
「青い犬の目 死をめぐる11の短篇 福武文庫」
(ガルシア・マルケス/福武書店)
不思議な味わいの短篇11。
その不思議さに結論はなく、無論、大団円もなく、註釈もなく、
読者はそれを味わうだけです。
給仕もいない。キャッシャーもない。
他のお客もいない。ただ奥の厨房には腕はいいけど無口なシェフが
いる気配がある。レストランに例えればそんな感じでしょう。
夢の世界で会う男女を描く表題作「青い犬の目」。(彼らの合い言葉が「青い犬の目」なんです)
美貌のプレッシャーに苦しむ女性を描く「エバは猫の中に」。
どの作品にも、このモチーフを使って一大ファンタジーを書く物語作家もあるのではないか
と思わせる、強烈なイメージがあります。
▼持っていたい本。
「のら犬のボケ・シッポのはえた天使たち 新潮文庫」
(鴨居羊子/新潮社)
画家鴨居玲さんの姉・鴨居羊子さんのエッセイ。
羊子さんと犬たちと、猫。
ただの動物好きではない、<動物のともだち>。
まれにこんな人がいるんですよね。
カバー絵、カットも著者。素敵です。
他に<動物のともだち>と言えば、群ようこさんかなぁ。ようこつながり?
▼それからどうなる?
「プードルの身代金 講談社文庫」
(パトリシア・ハイスミス/講談社)
「レイノルズ夫妻の可愛がっていたプードル犬が、散歩の途中で消えた。
犯人からは”千ドル”の身代金の要求。
夫妻は犯人の指定のとおり、”千ドル”を持って出掛けたのだが、
事件はとんでもない方向に展開してゆくのだった」
(あらすじより)
▼さりげなく。
「パリの犬 クロニクル・ブックス」
(バーナビィ・コンラッド3 鈴木るみこ訳/フレックス・ファーム)
いわゆる犬写真集です。
でも舞台はパリ。「犬にとって、パリほど甘い街はない」そうです。
噂に聞いたことはありますけど、本当にこんなに大事にされてるのかしら?
ギモーン。
エスプリに富んでいます。
犬好きにとっては、とってもいい本。プレゼントにどうぞ。
そうでない人にとってもちょっといい本だと思いますよ。
カバーをはずすと、渋緑の布装。いいじゃーん。
※流通中です。現在出版社定価¥1529。
▼ワンワンではなく。
「犬のことば辞典 犬がおしえてくれた本」
(きたやまようこ/理論社)
犬のことば辞典?
ワンワンとかワオンとかウゥーッとかかな?
と思ったら、そうではなく。
例えば、
【つまらないもの】…子どもは すてるのに、
大人は ひとにあげる。
犬は さいしょから もたない。
ちょっと素敵。
→ミニ特集・事典じゃないけど大事典
▼単行本版もいいでしょ。
「ダーシェンカ あ4]
るいは子犬の生活」
(カレル・チャペック:文・絵・写真 保川亜矢子訳/SEG出版)
大人気すぎて、いろんな版が出てるようですね。
こちらは1997年5刷 ビニールカバー、SEG出版のものです。
文庫もいいけどさー、
単行本もぐんと可愛い気がしますよ〜。
▼愛犬というより相棒。
「オチビサン1巻」
(安野モヨコ リチャード・バーガー訳/朝日新聞出版)
もう5巻まで出ているようですね。
昭和初期の「少年漫画」のような元気いっぱいの可愛さ。
オチビと愛犬「ナゼニ」のお話。
オールカラーのページの隣にモノクロの対訳ページ付。
▼本で読みませんか。
「新八犬伝 上・中・下巻」
(石山透 辻村ジュサブロー:絵/日本放送出版協会)
NHKの人形劇でこの「新八犬伝」を見て、すごく感動して、
今でも見たいと思ってる人は多いんですって。
NHKの番組でこぶ平が熱く語ってました。
でもNHKにもほんの一部しか、映像が残っていないそうです。
となると、本は貴重かも。
本書は「テレビのために綴った脚本を、さらに読み物として、
再構成したものである」と、
月報の「著者のことば」に書いてありました。
因みに私は少し時代が違っていて、私の記憶は「プリンプリン物語」からです。
▼いいよね〜。
「イスとイヌの見分け方」
(きたやまようこ/理論社)
私個人としては、同著者の「犬のことば辞典」のほうが感動しました。
でもこれもいいよね。
小さな発見がたくさんあります。
「イヌにはなまえをつける イスにはなまえをつけない」
「イスはどんなヒトでもすわらせてくれる
イヌはどんなヒトでもさわらせてくれるとはかぎらない」
これ、外国で出版したら売れると思うんだけど。もう出てるのかな。
理論社さん、がんばって。
他に…
「犬が星見た 中公文庫」(武田百合子/中央公論社)
「犬のミステリー傑作選 河出文庫」(鮎川哲也編/河出書房新社)
「パンプルムース氏のおすすめ料理 創元推理文庫」(マイケル・ボンド/東京創元社)
「真っ赤な子犬」(日影丈吉/徳間書店)
「赤毛の大きな犬 文春文庫」(キェルガード/文藝春秋)
「犬博物館の外で 創元推理文庫」(ジョナサン・キャロル/東京創元社)
「死者の書 創元推理文庫」(ジョナサン・キャロル/東京創元社) |