美少年、いいじゃないですか。儚くて。死なずに生きてれば、あっと言う間に普通のおっさんですからね。注意です。昔、年取ったジャン・マレーがテレビに出てるのを見て仰天しました。濃い目のオジイになっていたので(笑)。まぁ、彼の場合は世に出て来たときから美少年というよりは美青年でしたけども。
世の中に美少年好きは多いようです。 →関連項目・ゲイつながり▼正統派。
「日曜日には僕は行かない」
(「恋人たちの森 新潮文庫」の収録作)
(森茉莉/新潮社)
森茉莉さんの耽美的短編小説。
この半朱(ハンス)のような、利己的で甘ったれの美少年を書かせたら天下一品です。彼女の小説にはいつも正統派甘ったれ美少年が登場します。
森茉莉さんのエッセイはいつも楽しいけれど、小説は読んでいて必ず胸苦しくなるんです。なんでかなぁ。精緻な耽美小説であり、かつ細密な心理小説であるからでしょうか?
私的には、物語終盤、達吉が半朱の狡知を知っていながら、
愛さずにはいられないんだーと激情がこみ上げているあたりの
ねちっこい心理描写が好きです。
愛する半朱を婚約者の少女と別れさせるために
達吉が半朱を装って書いた手紙の始まりが、「日曜日には僕は行かない」。
→手紙つながり
→曜日つながり
※流通中です。
▼能楽の美少年と言えば。
「華の碑文 中公文庫」
(杉本苑子/中央公論社)
世阿弥の生涯を描く長編小説。
枯れた印象のある世阿弥ですが、若い頃はえらい美少年であったそうで、
足利義満に一目で気に入られます。
この著者の持ち味の、
男の情念(*普通は女の情念なのですが、この著者は男なんです)みたいなものが
題材とぴったり合って、なかなか印象的な作品に仕上がっています。
最近は狂言師バヤリですし、こういうのもいいんじゃないでしょうか?
▼この人も。
「消えたり百万石」
(「金沢ミステリー傑作選 河出文庫」の収録作)
(南條範夫/河出書房新社)
時代小説ではこの南條範夫の作品にもじつに何気なーく美少年が頻出します。
しかも何気なーくお色気ムンムンでいやらしいので、当然気になります(笑)。
「五代将軍−双葉文庫−」でも、(だいたい御想像はつくかと
思いますが、)柳沢吉保が美少年ぶりを発揮していました。
因みにこのご当地ミステリーアンソロジーはなかなか
面白いです。杉森久英のミステリとか、いいでしょ?
一応、土地の者としておすすめ。 →金沢つながり
▼真打。
「薔薇の獄 もしくは鳥の匂いのする少年」
(「悪夢の骨牌 講談社文庫」の収録作)
(中井英夫/講談社)
中井英夫さんの作品にも美少年は頻出。
その中でも、店主がよーく記憶している1篇。
出てくる少年が小鳥の胸毛の匂いがするって言うんですもの。
文鳥オーナーの愛鳥家としては、忘れられません。
「小鳥の胸毛に鼻をおし当てたときのような
かすかに焦げくさい匂いがした」
って、ほんとにうますぎます。小鳥ってその通りの匂いがするんですから。
美しい奇譚の数々をおさめる、まさに秘蔵に値する文庫本。
→小鳥つながり(工事中)
▼古典かな。
「マルチェロ物語 全8巻 花とゆめコミックス」
(樹なつみ/白泉社)
樹なつみさんのなつかしーいマンガ。
主人公はマルチェロ、美少年です。
そんで、女性モデル。そっかそっか。
→モデルつながり
▼映画の美少年たち。
『美少年映画セミナー』
(長沢節/角川書店)
長沢節の語る、映画に出てくる美少年ランキングです。
イギリス・ベスト13、ヨーロッパ・ベスト10、アメリカ・ベスト13
っていうランク付けも具体的でいーじゃありませんか。
著者の映画美少年イラスト(似てる)や、映画の採点もあって、
楽しくお買得な1冊。
→詳しく読む
→ミニ特集・シネマの世界
▼お色気ムンムン。
時の少年 古い創作ノートより チェリッシュブック
(竹宮恵子/白泉社)
久しぶりに竹宮恵子さんの少年を見てびっくり。
なんか…とんでもないお色気で、恥じらってしまいましたよ。
時代を越える色気だなぁ。
これは、詩画集と言っていいと思います。
▼どれにしようかな。
「美少年 デラックスカラーシネアルバム」
(芳賀書店)
映画に出て来る美しい少年がどっさり。
うーん、どれにしよう?
いやいや、そうじゃなくて。
どれが一押しかな? と真剣に眺めてみましたが、
一番目についたのは、ありきたりだけど、
ビョルン・アンドレセンですね。だって、彼は、知ってますもん、自分を。
ボクって色っぽいでしょ?
そう言ってます、あの目は。だから目立つ。
その他、ガスパール・マネッスはジャニーズ系だね、などと
いろいろ楽しめる本です。
→ミニ特集・シネマの世界
他に…美少年とドラキュラ
「ヴァンピールの会」(倉橋由美子)
(『倉橋由美子の怪奇掌篇』及び『血と薔薇のエクスタシー』の収録作)
主人公は美食に倦んでいるんです。
考えてみるとこの設定の頻出具合は興味深いことです。
人間って、美食にも倦み、女(男)にも倦む。
女(男)に倦むって言うのは、つまり「愛の不毛」であって、
それは永遠の文学的モチーフ。
美食に倦むと、たいていはこういう耽美な世界が開けます。
美少年もドラキュラも血も大好きな店主はぜひ入会したいです。
→ドラキュラつながり
→入会したいつながり
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