月の魔力は計り知れません。古今東西、こんなに人の心を奪ったモノはないんじゃないでしょうか? 月の出てくる本はたーくさんあり、みなさんいろいろと妄想しておいでです。
→関連項目→星つながり、→火星つながり▼無慈悲な夜の女王。
『無慈悲な夜の女王に捧げる讃歌』
(鎌田秀美/アスペクト)
無慈悲な夜の女王ってなんのことか知ってる?
答え、月です。(ハインラインの小説から)
地球滅亡後、人類は月に移住しています。
主人公の青年は天才ピアニスト。
その才能で引き立てられますが…。
音楽とSFが好きな方に。さらっと。
→音楽と小説の関係ランキング
▼裏側。
『月の裏側』
(恩田陸/幻冬舎)
相変わらず、冴え冴えです。恩田陸の怖さを堪能。
失踪中の記憶を失って、ひょっこり帰ってくる失踪者たち。
こういうの好きなんですね、恩田さんは。
「球形の季節」(恩田陸)で震え上がった方にオススメ。
ところで、今、「死者の書」(ジョナサン・キャロル)を読み終えたところですが、
(2003/05/19現在)
恩田陸さんがこれを推薦していた理由がわかる気がしました。
持ち味が似てますよね。
とんでもない設定。にもかかわらず、それに否応なく引きずり込む握力。
っちゅー感じでしょうか。
→記憶つながり
▼絶好調でとばしすぎ?
「輝夜姫 花とゆめコミックス」
(清水玲子/白泉社)
あきれるほどきれいな画風の清水玲子さんが描く一大ロマン。
凛とした美少女のヒロインを描いて描いて描きまくってます。これでもかーって。
テーマはかぐや姫ですので、素敵な殿方もたくさん出てきますが、
残念ながらヒロインよりかっこいい人はいません(笑)。
珍しい少女マンガです。
現在まだ連載中です(2003/05/19)。
前半はサバイバルもの?クローンもの? と思われましたが、そこからどう転んだのか、
今では、月をめぐる壮大なロマンになっています。
やや飛ばしすぎ、悪ノリ?の観もあり、「竜の眠る星」の頃の<静かなもの思い>が
なつかしい気もいたしましたが、これはこれで時代に合っているのやもしれません。
結末まで見守りたいです。
→双子つながり
▼泣いた…。
『ぼくの地球を守って 花とゆめコミックス』
(日渡早紀/白泉社)
これも月がキー。
あまりにも有名なので、今更ですけれども。
人物造形が面白く、
「好きな登場人物」と「嫌いな登場人物」がたくさんできる話でした。
要するに感情移入しやすい物語なんですね。
月にいるアノ人の気持ちになって、月から地球を眺めてみる、
読者はみんなそんな想像をしたはずです。
とにかく牽引力のスゴイ物語で、一気読みしてジョーっと泣けます。
→泣ける本ランキング
▼月を見て悟る。
『肌色の月─中公文庫─』
(久生十蘭/中央公論社)
「婦人公論」に連載中、著者が逝去。最終回は夫人が、書き上げたという作品です。十蘭に聞いていたままをまとめたそうです。
たまたま見上げた月が肌色に見えたことで、病気を知り、死を思いつめて旅立つヒロイン。「ムードのあるスリラー小説を」という注文に応えて書かれた中編。<あとがき>は久生幸子夫人。解説は中井英夫。表題作の他、「予言」と「母子像」を収録しています。
→続編ランキング
▼そそるあらすじ。
「月の骨 創元推理文庫」
(ジョナサン・キャロル/東京創元社)
not for sale
ジョナサン・キャロルのあらすじはいつもそそります。
これも気になって気になって。
「…おなかには二人の赤ちゃんも。でも最近、変な夢を見始めた。
…やがて夢が現実に、そして現実が夢に
少しずつ忍びこみはじめたとき…衝撃の傑作」
(あらすじより引用)。
→妊婦つながり
→ミニ特集?vol.12・店主の未読本
▼編集の妙。
『月の王』
(天野喜孝/ANZ堂)
<画家やイラストレーターの作品を、ある意図のもとに編集しなおす。>
そして1冊の本にする。
そういうの、嫌いじゃないです。
言ってみれば、絵の世界における、他選短篇集みたいなものでしょう?
ちょーっと違うかなぁ?
これは天野喜孝さんの絵に、泉鏡花、白石かずこ、与謝蕪村、大手拓次、
村山槐多、根本裕子の詩歌を組み合せて、ひとつの詩画集を作り出しています。
なかなかよろしいです。
選者の名前はないですが、歌の選も好みです。
鏡花の「わが恋は人とる沼の花あやめ」、蕪村の「蘭の香や 菊よりくらき辺りより」
も入ってるし〜。
エライのは、わずかですが天野さんの描き下ろし作品も入っていること。
質の違う紙を使ったページなどもあり、見過ごせない感じがいたします。
現在、流通中(新刊でも買えます)。
▼これもね!
『ペーパームーン ハヤカワ文庫NV』
(ジョー・デイヴィッド・ブラウン/早川書房)
久しぶりに自分に拍手喝采。
なんかイケてるじゃないですか、月つながりにペーパームーンって!
エライ、私(笑)。
残念ながら映画「パーパームーン」は見ていないのですが、
最近の映画「マッチスティックメン」(ニコラス・ケイジ主演)を思い出しました。
あれは、娘っこがティーンエイジャーだったから、微妙な色気がありましたよね。
でも、これは娘が11歳。イレヴン・イヤーズ・オールドですから。
ただただキュートです。
彼女と、父親代わりで詐欺師の中年男との珍道中。
1930年のアメリカ、古き良き時代です。えぇわぁ!
→ミニ特集・どんな旅に出る?
▼今すぐ読もう。
『13ヵ月と13週と13日と満月の夜』
(アレックス・シアラー 金原瑞人訳/求龍堂)
今すぐ読んでおいていい本だと思います。納得できるベストセラーです。
もしも、子供時代に読んだなら、子供時代をもっと大切にするだろうし、
自分がまったく想像もつかずにいた大人、特に祖父母の気持ちの一端を理解することができるでしょう。
若者が読んだなら、年をとるということを考えるだろうし、
大人が読めば、これから先の人生について深く考えさせられます。
そしてもちろん、ただただドキドキできます。
ん〜、完全にネタバレせずに書くのが難しいな〜。
ちょびっとネタバレしたほうが、読みたくなる話だと思うんだけどな。
ぼかして言うと、女の子がピンチになる話です。
13ヵ月と13週と13日のうちに何とかしなければいけません。
ヒロインは赤毛でおしゃべりな女の子カーリー。
カーリーは美人の転校生メレディスと親友になりたいと思っていますが、うまく行きません。
メレディスは子どもなんか好きじゃないみたい。
一方、メレディスを迎えに来るおばあちゃんは、切ない目で食い入るように、羨ましそうに、
子供の遊んでいる様子を見つめています。
なんだか変…?
ビニールカバーにプリントしてある装丁です。
本文ページの上部には月の満ち欠けの小さな絵があります。毎ページ違う。エライ。
→ビニールカバーつながり
→魔女つながり
→老人つながり
→赤毛つながり
追記 : 読後、無性に祖父母に会いたくなりました。
どなたでしたっけ? 「老人ならこういうものが好きなはずだ、こういうものは嫌いなはずだ」と、
決め付けるのは間違いだっておっしゃっていたのは。ジェロメットおばあさんかしら(笑)?
外見ではその心の年齢を知ることはできません。
他に…
「詩集月に吠える・青猫・純情小曲集」(萩原朔太郎)
「みのもの月」(三島由紀夫)
「我が月は緑」(今日泊亜蘭)
「月は無慈悲な夜の女王」(R・A・ハインライン)
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