迷子になったらまずHOMEへ

■ビニールカバーつながり
今までで一番つまんないつながりかも(笑)。すみません。
でも、ビニールカバーの本、気になりませんか? 私だけですかね、ビニールカバーが見過ごせないって言う変人は? もちろん、便宜上かけられているビニールカバーじゃなくて、ちゃんとプリントとかがされていてデザインの一部になってるものに限ります。いつもより画像を大きくしてみました。(でもどこがビニールなのかよくわかりませんね。) 
関連項目→見過ごせない本ランキング

▼絵になる写真があってこそ。

「スコット・フィッツジェラルド 楽園を追われた二人」
(星野裕子/メディアファクトリー)

じつは未読で恥かしい本と言えば、「華麗なるギャツビー」です。
いや、聞かないで。恥かしいッ。でも未読です。トホホ。自慢じゃないですが「夜はやさし」も買ってあるけど未読なんですー。ですから、フィッツジェラルドについては、そのセンセーショナルな人生について聞きかじった程度のことしか知りません。
美貌の売れっ子作家と美貌の妻。美貌の妻は精神を病んで入院。夫は酒におぼれる。…出来の悪い悲しい映画のような話だけど実話なんですもんね。その人生が作品以上に語り継がれても無理はないでしょ、と思ったら、青山南さんも特別寄稿でそう言ってました! やっぱりね。そうだよね。
スコットとゼルダの人生をつづった読みよい伝記物語。スコット&ゼルダ物語かな。合間にスコットの手紙、ゼルダの手紙が配されていて、効果を上げています。写真も豊富。美男美女の写真があってこそのおしゃれなデザイン。 
→手紙つながり →御夫婦ランキング  →必ず寝ちゃう本ランキング

▼山本容子さん。

「ドリーム・ハウス」
(小林信彦/新潮社)

山本容子さん、けっこうお気に入りで、
彼女の装画の本があると気になります。
この本は特にビニールカバーで二重の意味で気になりました。
邪道かな?
(本体の装画が山本容子で、
そこにビニールカバーがかかってるんですわ)

▼天才二人。

「高橋悠治+坂本龍一 長電話」
(本本堂)

水牛楽団の高橋悠治さんとあの坂本龍一さんの長電話(だと思う)。
普通の人の長電話と同じで、そりゃもう細かな項目について縦横無尽に語り合ってて、なかなか感心することの多い本。

でも一番印象的だったのは、高橋悠治の人物紹介に、
「あなたは誰のために作曲するか?」の質問に「人類が絶滅したとき、人類にとって代わる新しい<知性>のために」との発言は今や伝説となっている
って書かれているところ。どこかで聞いたその言葉、あなたが言ってたのね。

ビニールカバーにはシールが貼ってあるだけで、少し残念ですが、
一応デザインの一部ってことで。
→電話つながり

▼おかしなところは何もない本

「文学の思い上り その社会的責任」
(ロジェ・カイヨワ/中央公論社)

まず驚くのはこの本が版を重ねていること。
私的には、こういう大上段に構えた「およよ」な文学評論は割りと好きなんですが、ちょっと説教くさすぎるかなぁと思う。
まっとうな内容だし。(いや、それが悪いというのではないです。)
まじめな方なんですね。
章題の「文学死にひんす、文学ついに死す」なんかは、
期待を抱かせるんだけどなぁ。
意外なほどおしゃれな装幀は白井晟一。

▼あいかわらず。

「マドンナの変身失格」
(荻野アンナ/福武書店)

ビニールカバーの背に「傑作!」とプリントされています(笑)。
笑うしかないです。
三波春夫賞受賞!の文字も見えるでしょうか?
荻野アンナさんの相変わらずの短編集。
昔、中野翠さんが「荻野アンナに<笑い>を語ってほしくない」と
辛辣に批判していた記憶があります。(うろ覚えです)
私的にも、「このダジャレはどうなん?」といぶかしんでは
いたんですが、ダジャレ以外の部分では、やっぱり不覚にも笑ってしまいました。
不覚にも笑っちゃう。この言葉のふさわしい短編集だと思います。
写真でも見えるかと思いますが、装幀が大胆で、注目してしまいます。

▼おまけ。

「ロートレック荘事件」
(筒井康隆/新潮社)

映像化不能の言語トリックとな。うんうん。そのとおり。
ネタバレの都合上、それ以上のことは言いにくいんだけど、ある意味で傑作。
英語の翻訳をしてるとき、あるいは日本の小説を読んでいるときにも、ふと感じる疑問。それが推理小説になったのね。
私は「あぁーん。ああ。はいはいはい」と思いました。(なんじゃそれ)
うーん、言いたかったことを言ってくれたときに感じる満足感かな。
なぜおまけかと言うと、ビニールじゃないから。
トレーシングペーパーのような透け紙なの。
そこに本体のロートレックの絵が透けて見えた時、思わずジャケ買いした本。
ベストセラーになったのは絶対に装幀の効果もあったと思いますね。
作中に出てくる絵の口絵もあって親切な本です。
→極私的記念碑的ミステリランキング

▼ややブルー。

「喰べられたい〔確信犯の肖像〕」
(佐川一政/ミリオン出版)

あの佐川一政さんのエッセイ、小説、インタビュー、詩、短歌など
の集成。

画像でも御確認いただけると思いますが、ビニールカバーに肖像写真がプリントされています。それがですね、なんだかやっぱりものすごいオーラが出ていて、
見ていると、ちょいブルーな気持ちにさせられます。
なんか凹むって言うか…。負けちゃうって言うか…。

でもね、彼に
「みんな恥ずかしい妄想を隠して、平気な顔で歩いている」と言われると、
これ以上はなく、「そうなのかもね」と思いますなぁ。
人間について、いつもと違った切り口から考えてみたい方に。