■なんでもランキング P11
▼役に立つ人生相談ランキング
悩みがなくても、読んで楽しい人生相談、それが理想的です。
▼軽くジャブ。
『中島らもの明るい悩み相談室』(中島らも/朝日新聞社)
明るい悩みの相談室です。(そのままやん) なんだか自分の悩みがアホらしく思えてくること、間違いナシです。 私も、らも先生に答えて欲しい!とは思うのですが、どうしても相談するべき悩みが見つかりません。そう考えると、スゴイです。よくこれだけ、どうでもいいような悩み(あ、失礼っ)があるもんだと…。 一番ウケたのは「めしがうまくてしかたがない」という相談かなぁ(笑)。でも「父といっしょにお風呂に入るのをやめたい」なんて人は、案外真剣に悩んでいるかもしれないですよね。そういう意味では、どんな質問にも明るく道を照らし出してくれるこの相談室は、価値アリでしょう。続、続々、と何冊も続いているのもうなずけます。
▼さすがかも。
『プレイ坊主』(松本人志/集英社)
「週刊プレイボーイ」に連載していたとか? さすがに週刊プレイボーイは読まないので、まったく存じませんでした。松本ファンなのに。 相談内容も、さすがにプレイボーイ。文字にすると身もフタもないようなものが多いですが、若いオノコには深刻な悩みなのかもしれませんな。知らんけども。愚弟の意見を聞いてみたいです。 しかしまぁ、ここまで大声(?)で語られた土壇場(?)での男の本音を見たのは初めてかもしれないです。いや正確に言うと、ここまで<身もふたもない>書き方をされているのを見たのは初めて、かな。 普通の悩み相談もありますが回答はひとあじ違います。2002年12月発行。
▼すばらしい。
『それでも地球はまわってる 恋愛相談のつもり』(島村洋子/大和書房)
恋愛の達人、島村洋子さんの恋愛相談です。恋愛相談って、なんだかバカらしいことが多いのですが、これは恋愛中じゃなくてもホロリとさせてくれたり、感心させてくれたりする名著です。 人生相談というのは、先生のお人柄ですべてが決まるんだなぁと改めて思います。 とにかく名言の宝庫で、「好きなのに別れなきゃいけないときもある?」という質問に対しての答えは「あります」。もちろん先生にもあるそうで、 「あの男へのあの恋への仇討ちのための人生のようなものです。私は25にして余生を送ることを決意しました。」 これなんかは、忘れられませんね。 これとは別に雑誌『CAZ』に連載していた恋愛相談をまとめた、『ゼンギなき戦い 廣済堂文庫』も出ています。
▼三十一文字で。
『言うてすまんが 猫持のトホホ相談』(寒川猫持/新潮社)
朝日新聞(大阪本社版)に連載されていた、寒川先生の身の上相談。回答は短歌で返されます。 例えば帯ね。「 そらあんた 黙っとったら あきまへん 言わなわからん ダメでもともと 」。初めて読んだ時、短歌とは気付きませんで、えろう失礼しました。 いろいろ大変だけど、やっぱり美しいわ、人生は!と、元気の出てくる人生相談集。三十一文字の中にちゃんと人生の真実があるところがすてき。 寒川先生、ステキすぎです。 一家に一冊。何かの機会に悩めるあなたを元気にしてくれるはず。 悩んでないあなたも読んで楽しい、ホンワカパッパな人生相談集です。これはほんとにおすすめできます。
▼それもどうかとは思う。
『風に訊け 集英社文庫』(開高健/集英社)
開高健の人生相談。男性からの、ざっくばらんな相談ごとが多いようです。 人生相談というものはですね、よほど変わった嗜好の持ち主でないと、 異性を納得させられない、と私は思います。 (その点、ミシマさんなんかのは、女として唸ります。) 開高健さんのは、まぁツッコミ入れたいところもございますが、笑わせてくれるのでいいです。 元気で知的な、膂力あふるるオヤジにバッサリ斬ってもらってスッキリすることもございますからな。
▼おまけ。人生相談の形式はとっていない<恋愛論>ですが、これもイイです。
『新恋愛講座 ちくま文庫』(三島由紀夫/筑魔書房)
ミシマの恋愛論。恋愛してないときには、「ひゃひゃひゃひゃ」って笑えるんだけど、
恋愛中には、けっこう役に立つとか思い込んじゃって、真面目に実践してしまいます。
結果はともかく(笑)、読んでおきたい1冊。
→恋愛論つながり
伊藤比呂美さんの人生相談も立ち読みしたら、とてもよかったです。
▼本好きランキング
愛書家や活字中毒者というものは、病気なんです。はい。 →関連して・蔵書家つながり
▼そこまで。
『子供より古書が大事と思いたい 文春文庫』(鹿島茂/文藝春秋)
鹿島茂さんと言えば、「明日は舞踏会 中公文庫」 ですね。楽しめる本でした。 本書は、鹿島さんの古書耽溺ぶりを記した本です。その様はまさに病気。人が、あることにのめり込んで行くことの、詳細な記録と申せましょう。 これを読んで、遠い目をしちゃう本好き人は多いはず。 鹿島さんの守備範囲は、主にフランスの稀覯本のようですので、その分、身に迫るような切実な感じは薄れます。19世紀のフランス古書のディープな知識となると、他人事のように気楽に「ほほぅそいつは面白いね」と思えます。でもなぜか「日本とまったく同じ」な部分(匂いでわかるとか、掘り出し物とか)も多くて、だんだん対岸の火事が燃え広がってくるわけです。解説の出久根達郎が言う通り、「物を集める心は同じ」なんですな。 はー、もっとお金があったら、山ほど本が買えるのになぁ、といつも思っているあなたなら百万回位うなずくに違いない本です。おすすめ。
▼ウィットに富んでる。
『チャリング・クロス街84番地 書物を愛する人のための本 中公文庫』(ヘレーン・ハンフ編著/中央公論社)
アメリカに住むヘレーン・ハンフさんが、ロンドンの古本屋さんに注文書籍リスト&手紙を書きました。
古書店からは、書状を添えられた本が届く→ハンフさんは礼状を送る→古書店からは、追加の書籍が届く…。
そんなわけで、長いお付き合いが始まります。アメリカ女性のハンフさんは歯切れの良い、お茶目な手紙を、担当者フランクさんは丁寧な中にもユーモアのある、優しいお手紙を書きます。あるときハンフさんが、食料品などの小包を贈ったことなどから、さらに交流は深くなり、今度は店の女の子からも私信(?)が届いて…。
面白くて心温まる書簡集です。実話です。
私はフランクさんのファンになりました。
時々、お客様からメールをいただいても満足にお返事もできない私、反省しました。ごめんなさい。
→手紙つながり
→ロンドンつながり
▼いいなぁ。
『古書店めぐりは夫婦で ハヤカワ文庫NF』(ローレンス&ナンシー・ゴールドストーン/早川書房)
「…誕生日の贈り物に決めた『戦争と平和』が、地図や美しい挿絵も付いてたった10ドルで古書店で買えると知るまでは。こうしてボストン、シカゴ、ニューヨークへと果てなき古書収集の旅が始まったのです―古書・稀覯本の世界に魅せられた夫婦が繰り広げる、心躍る宝探しの旅」(あらすじより)。
あらすじがすべてかも。これもノンフィクションです。夫婦で古本屋めぐりとは羨ましい限りです。くそぅ。
→御夫婦ランキング
▼それだけはイヤ!
『隠し部屋を査察して』(エリック・マコーマック/東京創元社)
序文に、牢獄に入れられた政治犯の話が出てきます。真っ暗な牢獄の中、明かりが灯るのは、看守が見回りに来るほんの2分間だけ。彼は、その瞬間だけ、本を2、3行読むことができるのです…。
どうします? そんな目にあったら? ぞっとしました。
この作者は例のアノ人です。そう、『パラダイス・モーテル』の作者です。
どうやら、これも相変わらずらしく、帯は、─「語り」の快楽、「騙り」の驚愕。となっています。わくわく。
「カナダ文学の奇才が演じる物語の”はなれわざ”20篇」。たまらんですな。
→ミニ特集・店主の未読本
→閉所つながり
▼これもイヤ!
『もだえ苦しむ活字中毒者地獄の味噌蔵』(椎名誠/本の雑誌社)
「連続性視覚刺激過多抑制欠乏症」って、なんのことか分かります? あなたもかかっていませんこと?
そう、それは活字中毒症のことです。
とある因縁で、活字中毒者めぐろ・こおじに復讐を思い立った椎名は、彼を味噌蔵に閉じ込めてしまいます。
めぐろ・こおじの禁断症状はすさまじく…。え・ぽ・き・し、え・ぽ・き・し…って呟く彼の姿が、読後何年も経た今でも忘れられません。え・ぽ・き・しが何か、ぜひ読んでお確かめいただきたいところ。
本好き人のエピソードの数々も散りばめられていて、イヒヒと笑いながらも、笑えない(?)話です。
表題作以外にも、エッセイ、本の考察などを含むもりだくさんな内容です。
(文庫化されています。当店在庫は単行本)
→閉所つながり
▼変わった職業ランキング
やってみたいですか? 絶対イヤですか? はからずしも、私の好きな作品ばっかりになりました。サイト内でさんざん紹介してる本ですみません…。
▼過去へ行く。
「ふりだしに戻る 角川文庫」(ジャック・フィニイ/角川書店)
政府の秘密プロジェクトで、主人公は過去のある時代へ送りこまれます。
その過去への行き方がすこいです。タイムマシンとか、そういう安易な手段はありません。ただ、ある適性が必要なんです。かなりびっくりです。
今すぐにでもできますよ。挑戦しませんか?
ノスタルジーで胸がいっぱいになる名作です。
→タイムトラベルつながり
▼洗脳を解く。
『解体屋外伝』(いとうせいこう/講談社)
解体屋とは洗脳された人の洗脳を解く仕事人。やり手の解体屋が昏睡から醒めるところから物語は始まります。
昏睡の元は洗脳屋に敗戦したことなので、彼の脳には使うべき自分の言葉がありません。彼は既成の言葉(他者のテクスト)を使ってなんとか蘇ります。
「おなつかしゅう!」と。ね、傑作の予感でしょ?
覚醒の間際、彼が自分の言おうとしていることが、
「他者のテクストの引用」に過ぎないのではないか、と躊躇するところが、よくできているし示唆的だなと思います。
あとは終幕までノンストップ、著者らしいアイディアいっぱいのエンターテインメント。
→記憶つながり
▼始末人。
『始末人シリーズ5冊(明朗健全始末人~) 花とゆめコミックス』(明智抄/白泉社)
少女マンガ。
晴らせぬ恨みを晴らしてくれる始末人です。はい。しかも学園ものです。はい。
あきらかに元ネタと思われる、あのドラマでも、依頼人は死ぬ間際に「このお金でどうかカタキを…」って、人に託しますよね。かなり偶然に頼った依頼方法で、その不条理感がいつもシュールな感じです。が、ソコは追求しないお約束。
この始末人たちは、それ以上かも。なにしろ作者が、明智抄。絶対に思ったとおりにならないストーリーで、読者の期待を気持ち良く裏切ってくれます。鼻面を引きまわされる快感をとことんまで味わえます。
絵はヘタウマですが、変なもの好きの方で、未読の方はぜひ立ち読みしていただきたい。ハマると思うなぁ。(最近、明智抄推進運動中なんですわ。)
→殺し屋つながり
▼価値のないものを盗む。
『怪盗ニック登場 ハヤカワポケミス』(エドワード・D・ホック/早川書房)
怪盗ニックの連作短編集。
「男の名前はニック・ヴェルヴェット。職業、盗賊。二万ドルの報酬で依頼人の仕事を引き受ける、盗みのプロフェッショナルだ。ただし、現金はもちろん宝石、名画、骨董品、その他値段の高いものはいっさいお断り。誰もが見向きもしないもの、盗むことなど考えもしないものしか請負わない。…(あらすじより引用)」
すばらしいでしょ? 先日、なにかのアンソロジーでお見かけしたときには、紅茶の使用済みティーバッグを盗んでおいででした。
→泥棒つながり
▼そして…。
『古本屋探偵の事件簿 創元推理文庫』(紀田順一郎/東京創元社)
古書店主が出した「本の探偵──何でも見つけます」という広告につられ、次々とやってくる奇妙な依頼人たち。
「殺意の収集」「書鬼」「無用の人」「夜の蔵書家」を収録。古本屋探偵・須藤康平ものの連作推理中編集。
じつは古本屋というのも相当特殊な職業かもしれないですね。渦中にいるとあんましわかんないんですけども(笑)。
友達にいると面白そうでしょー?(と、他人事を装ってみたりー)
→蔵書家つながり
▼おまけ 他には…
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