玉の輿、乗りたいもんです。しかし、どこにあるんだろう? ご存じの方、教えてください。
→関連項目→成り上がりつながり▼少女小説なのに、蛾。
「リンバロストの乙女 上・下 角川文庫」
(ジーン・ポーター/角川書店)
少女小説なんですけど、けっこう大人らしい恋愛感情があります。
終盤なんか、ちょっと物狂おしい感じの味わいでして、
我が家では、母から私が受け継ぎ、ハマって読んだ
親子二代のハマリ本です。
大体、ヒロインのエルノラは蛾を捕まえて売り、学費を稼ぐんですよ。
どう思います?
蛾ァ!?
ってびっくりしましたよ。美人なのに、蛾ハンター。
それと言うのも、実の母親が彼女を愛してくれないからです。
学費など出してくれません。エルノラは母を愛しているので苦しみます。が、
母親のそんな態度もワケアリで…。面白いです。
彼女はどこぞの御曹司に出会いますが、彼には婚約者エディスが…。
私は子供の頃、エルノラよりエディスになりたかったです。変ですか?
さらっと再読してみたら、エディスがいいと思った気持ちはわかりました。
→昆虫つながり
→ミニ特集vol.17・角川文庫マイディアストーリー
▼日本古来のシンデレラ。
「おちくぼ姫 角川文庫」
(田辺聖子/角川書店)
意地の悪い継母に育てられ、粗末な身なりで、繕いものなどを
して暮らす、落窪姫。
姫と青年貴公子の恋を田辺聖子の超訳で。
洋の東西を問わず、シンデレラ物語は愛されておりますな。
この逆境から這い上がって、意地悪な人の鼻を明かすという
胸のすっとするところがいいんでしょうか?
▼舞踏会行きたい。
「明日は舞踏会 中公文庫」
(鹿島茂/中央公論社)
鹿島茂さんの著書「馬車が買いたい!」は、バルザック等の作品に見る19世紀フランスでの青年の成り上がり術検証でした。その女性版がこれ、「明日は舞踏会」だそうです。
元々は鹿島さんが、女子大の学生に出したレポートの課題がその端緒。
曰く「タイムマシンで19世紀のパリに旅をして、1年間生活してきた報告書を書きなさい。」
生活費は3000フラン(約300万円)、家計簿をつけること。
つましく暮して貯金した者、博打で大儲けした者、様々だったようですが、
面白かったのは、彼女たちは殆ど必ず、一度は舞踏会に行ってるんだって。
それでこれを書くことを思いついたらしいですよ。フランスでの婦女子の玉の輿術検証。男子はまず馬車を持ってないと話にならなかったようですが、女子の場合は、舞踏会に行かねば話にならんのですね。
しかし、ほんと、玉の輿に乗るのもラクじゃないとしみじみしちゃいます。
読ませる歴史検証読み物。
こんな先生にそんなレポート課題を出されたら、頑張って勉強したのにな。
→フランスつながり
▼ひとつの型。
「あしながおじさん 世界文学の玉手箱1」
(ウェブスター 谷川俊太郎訳/河出書房新社)
今や、あしながおじさんは一つの型ですよね、物語の。
そこがすごいと思います。そっと援助の手を差し伸べてくれる匿名の人物。
読者は、もう絶対アイツに違いないと思ってるんですが、
なかなかバレません。そして最後で「あなただったの!」なーんて、
ハッピーエンド。ここで、あしながおじさんとラブラブになる場合と、
あしながおじさんには感謝してるけど、おじさんはおじさんという場合があって
明暗を分けるんですよね。
うーん、ガラスの仮面を思い出しました。紫のバラの人…!
解説は林真理子。字は紫色。
→ミニ特集07・世界文学の玉手箱
他に…「高慢と偏見」がありますね。「小公女」は玉の輿と言うより、成り上がりかな。
|