恋愛してない時にも読んで楽しい恋愛論が理想。 ▼実践したりして。
「新恋愛講座 ちくま文庫」
(三島由紀夫/筑魔書房)
ミシマの語る恋愛論。恋愛してないときには冷静に読みますが、
恋愛中には、けっこう役に立つとか思い込んじゃって、
真面目に実践してしまいます。
結果はともかく(笑)、読んでおきたい1冊。
「新恋愛講座」「おわりの美学」「若きサムライのための精神講話」を収録。
「おわりの美学」も必読です。必笑ですから。
→役に立つマニュアル本つながり
▼フランス人って。
「恋愛論 新潮文庫」
(スタンダール/新潮社)
恋愛論って、恋愛してないときは、
こんなにつまんないものが世の中にあるのか?
と思うくらいつまんないですよね?
でもスタンダールの恋愛論は、おもしろい。
ときどき読み返してクスリとしたり頷いたり。
「はじめに感嘆ありき」っていう彼の理論に賛成です。
恋愛をしたときどうなるか順を追って、箇条書きで書かれた部分も名作。
スタンダールっておもしろいヤツだな、と初めて関心を抱く向きも多いはず。
→フランスつながり
▼宇野千代って。
「自伝的恋愛論 大和文庫」
(宇野千代/ダイワアート)
宇野千代の3、40年の間に書いたエッセイ集とのこと。彼女のエッセイはまぁ、その人生のせいで、たいていは恋愛エッセイですよね。体験的恋愛エッセイ。けっこう失敗もしている人なので、参考にしていいのかどうか悩みますが(笑)、体験した人の重みのある言葉が多いです。
→ミニ特集03・大和文庫
▼ナニワって。
「身に覚えのあるナニワ恋愛塾」
(仁川高丸/青春出版社)
恋愛論ではなく、短編小説集。
でも、いろんな愛のカタチを描いていて、読めば必笑です。
うん。けっこう好き。
けっこう好きって微妙な評価ですけれど、きっとそう言いたくなると思うなぁ。
恋愛小説、しかもナニワってことで、全編大阪弁。
軽い漫才を聞いているようです。
ボケとツッコミが成立している。
恋愛をしていても、客観性を失っていない。
考えてみると、笑える恋愛論というものは、客観性を失いがちな色恋に、
客観性のスポットを当てて分析しているから笑えるのです。
「アホか、私は」という視点。
その伝でいくと、これはまさに恋愛論でしょう。ツッコミまくり。
いろんなシチュエーションにナニワなキャラクターを配置することにより、
通常とは違うボケツッコミの展開が見られます。
身に覚えのあるシーリアスなシチュエーションも、もれなくナニワな人々につっこんでもらえますよ。
どんな男に引っかかろうが、どんな危機的状況に陥ろうが、
自分にツッコミ入れられるうちは大丈夫なもんです。
帯は「何があっても負けへんでー!」。元気が出ますね。
▼相談したい。
「恋愛のすべて。―We
were born to love」
(島村洋子/集英社)
島村洋子さんの恋愛指南書。
彼女の恋愛論の総集編と言えるかも。
恋愛論というものは、合わないものとは全く合いません。
あんまり他人の意見は聞かず、自分に合う恋愛論を見付けるのが一番良いです。
私の場合は、島村洋子さんと、三島さんと、スタンダール。
ま、現実的なのは島村さんですね。
蛍光ペンでいっぱい線引きしたくなりますもん。
なにげない風で書かれる真理に、うっかり涙することもあります。
「人を好きになる能力」「フライングにご用心」「”運命の恋”について」
「その男をどこで見限るか」などなど、現実に即した、気になる項目がいっぱいです。
「いや、あんまり情熱的なタイプじゃないからさ〜」という、
控え目な人(私みたいに)にこそ、参考にしてほしい、まっとうな恋愛論。
※流通中。文庫化も有。
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