迷子になったらまずHOMEへ

■閉所つながり
せまーいところに閉じ込められちゃう話、ビジュアル的に訴えるものがあるようで、映画がいっぱい浮かびます。冬の嵐、キューブ、パニックルーム。あー、コワイコワイ。でも見たい。これぞまさしく怖いもの見たさですよね。 関連項目→鍵つながり

▼地下室で。

「体験のあと」(ガイ・バート/集英社)

学校の片隅。使われていない地下室。高校生たちが
食糧をもって閉じこもることにする。ただの遊びです。
発案者のカリスマ少年は、中に5人の少年少女を残し、
鍵をかけ、3日経ったら開ける、と言います。
さて。
だんだん不安になり、それでも3日は経ちましたが、
扉の開く気配はありません。…
それからどうなるんでしょう? 著者18歳の時の作品で随分話題を呼んだそうです。
そして、ここがミソなんですが、エピローグが肝心らしいです。
エピローグで、それまでの物語がガラっと違うものに見えてくる、と。
訳者曰く、「エピローグを決して誰にも話さないでください」。気になりますでしょ?
関連項目→史上最高のあらすじランキング

▼密室で。

「ソフィー」(ガイ・バート/読売新聞社)

上記、「体験のあと」のガイ・バートの第2作。
帯を一読して、「あ、この人、こういうの好きなんだ、ほんとに」
って、しみじみ思いましたね。
だって、「姉ソフィーと弟マシュー、ふたりきりの密室で…。」ですよ。
そんなに密室好きっすか?

ソフィーの一人称・現在形とマシューの一人称・過去形の語りが交互という
構成で、またしても謎は最後まで引っ張られるのでした。
→姉弟つながり

▼ちょーコワかった。

「おおかみと七ひきの子やぎ
─こどものための世界名作童話─」
(矢川澄子訳 建石修志絵/集英社)

苦手な童話でした。どうしたって最後のかわいいチビヤギさんに
感情移入しちゃうでしょう。それでもう時計の中で
ドッキドキですよ。ドッキドキ。
この手の恐怖の原点かもしれないですね。

ところで、この本は
中井英夫の作品挿画で有名な建石修志さんが絵を担当。
やぎさん達はともかく、収録作の「ラプンツェル」も彼の挿画でして、
妙に耽美的です。ラプンツェルも怪我した王子も美しい…。

▼蔵で。

「蔵─角川文庫─」
(宮尾登美子/角川書店)

蔵と言っても、立派な酒蔵ですからね、ちっともせまくないんですが、
私は初め、蔵に閉じ込められる少女の話だと
思い込んでいました。全然違います。
新潟の旧家、蔵元の田乃内家の全盲の少女、烈ちゃんの生涯を
描く、著者お得意の愛の大河物語。
新潟の方言がめっちゃかわいい。
→すてきな方言ランキング

▼えぽきし?

「もだえ苦しむ活字中毒者地獄の味噌蔵」
(椎名誠/本の雑誌社)

「連続性視覚刺激過多抑制欠乏症」って、なんのことか分かります? 
あなたもかかっていませんこと?

そう、それは活字中毒症のことです。
とある因縁で、活字中毒者めぐろ・こおじに復讐を思い立った椎名は、
彼を味噌蔵に閉じ込めてしまいます。
めぐろ・こおじの禁断症状はすさまじく…。
え・ぽ・き・し、え・ぽ・き・し…って呟く彼の姿が、読後何年も経た今でも忘れられません。え・ぽ・き・しが何か、ぜひ読んでお確かめいただきたいところ。
本好き人のエピソードの数々も散りばめられていて、イヒヒと笑いながらも、笑えない(?)話です。
表題作以外にも、エッセイ、本の考察などを含むもりだくさんな内容です。
(文庫化されています。当店在庫は単行本)
→本好きランキング

▼閉じ込められて。

「コレクター 上・下 白水Uブックス」
(ジョン・ファウルズ/白水社)

蝶のコレクターである青年が、
ある日、その対象を女性にかえます。
…。
息苦しい気持ちになること請け合いですが、
知らず引きこまれてしまう怪作。

映画(テレンス・スタンプ主演、ウィリアム・ワイラー監督)では、
テレンス・スタンプが相当、イイ感じ(?)だったそうで、
友人が絶賛していました。

▼これもある種の。

「チャーリー・チャンの活躍 創元推理文庫」
(E・D・ビガーズ/東京創元社)

世界一周観光船の中での連続殺人。
事件を任されたのは、中国人の警部チャン。
チャーリー・チャン・シリーズとして一世風靡したらしいです。最近見ないですよね。

船の中かぁ。船の中や島というのも、いわゆる閉所ですな、広めの。
船や島でおきる殺人は必ず「犯人はこの中にいる!」ことになりますよね。
→島つながり

他に… 「うる星やつら」(高橋留美子)の面堂くんが、
閉所恐怖症の暗所恐怖症でした。その理由を探りに過去に行くと
いう話があったんですが、それが中々笑えました。
すごく可哀想でよく覚えています。
→タイムトラベルつながり
→トラウマつながり(作成中)