アリスは訳だけでも山ほどあるし、周辺書籍となると大変なものです。アリスへの人々の愛着を考える時、ルイス・キャロルという人の、異常な才能を思わずにいられません。
関連項目→トランプつながり、→お茶会つながり▼さて、まずはどの訳がお好みですか?
「不思議の国のアリス」
(福島正実訳/角川書店/写真左)
「不思議の国のアリス」
(柳瀬尚紀訳/筑摩書房/写真中)
「不思議の国のアリス」
(吉田健一訳/河出書房新社/写真右)
「不思議の国のアリス 新潮文庫」
(矢川澄子訳、金子國義画/新潮社)
金子國義のカラー挿絵が美しい。
挿絵のことだけを言えば、ずば抜けています。
文庫落ちのときも、カラーにした新潮社は偉かったですね。
「鏡の国のアリス 新潮文庫」
(矢川澄子訳、金子國義画/新潮社)
これも、金子國義のカラー挿絵。
上記とセットで持っていたい。
→鏡つながり
▼こんなのもアリマス。
「不思議の国でアリマス 三菱文庫」
(注意!)本の体裁をしたメモ帳です。お話ではありません。
三菱鉛筆の粗品ですかね?
カバーの折り返しにふっるーい郷ひろみの広告がアリマス。
カバー裏には一応、あらすじが書いてアリマス。
コアなアリスコレクターに。(いるのだろうか?)
→企業つながり(あるいは店主のP級コレクション)
▼よき短篇集。
「不思議の国のアリスミステリー」
(中井英夫他/河出書房新社)
アリスがテーマのものから、パロディまで。
小栗虫太郎、中井英夫、海渡英祐、
山田正紀らの推理短篇集。
▼広瀬正ならなんでもこい。
「鏡の国のアリス」
(広瀬正/集英社)
「マイナス・ゼロ」の著者の佳品。文庫版も出ています。
これは、鏡の中の世界に迷い込んで…?というお話。
テーマのせいでやや冗漫ですが、それでもまずまず読ませます。
(でもやっぱり、マイナス・ゼロのほうがずっと面白いですけどね。)
鏡の中では、右で書いてるつもりでも左で書いてるというわけで→鏡つながり
→左ききつながり
→「マイナス・ゼロ」って?
▼ただのエロチック小説。
「鏡の国のアリス エロティック・ファンタジー」
(モリー・フルート/富士見書房)
エロチックです。
単なるエロチックな話です。
余談ですが、書店でエコ・ファンタジーという本を見かけて、
「エロ・ファンタジー」って読んでしまいました。
一字違いで大違い。
→ミニ特集10・富士見ロマン文庫
→鏡つながり
▼ちょっとムリヤリ入れてみました。
「植民地のアリス」
(島田雅彦/朝日新聞社)
トラベルエッセイ。
著者の持ち味がよく出て、
一味違うトラベルエッセイに仕上がっています。
エッセイと言うべきではないのかもしれません。
▼アリス・ガイドブック。
「アリスのティーパーティ 河出文庫」
(ドーマウス協会、桑原茂夫/河出書房新社)
原典にあたって本来の意味を追求しながら、アリスを解説する
柔らかいアリス読本。
小ネタも豊富。
アリスの冒険よりも、アリスの成立と魅力に関心のある私としては
後半のルイス・キャロル撮影の少女の写真や言葉遊び解説が面白いです。
アリスフリークにオススメ。→お茶会つながり
同じ河出文庫のアリス翻訳もあります。
体裁が同じなので並べるとカワイイですよ。↓。
「不思議の国のアリス 河出文庫」
(ルイス・キャロル 高橋康也訳/河出書房新社)
アリスの翻訳。
(新刊でも流通中)
▼おぉ。
「ふしぎの国のアリス 少年少女世界の名作4」
(原作キャロル 文:まどみちお 絵:司修/世界文化社)
今までいろんなアリスを見てきました。
色っぽいアリス、かわいいアリス、きれいなアリス、お茶目なアリス。
でも、このアリスが一番好きかも。
司修さんのアリスです。
本当にイイ味が出ています。
色もきれい!
一見の価値有り〜ッ。と思います。
※ちょっと体裁の違う版(?)が¥1260で流通中のようです。
▼うまいねッ。
「不思議の国の悪意 創元推理文庫」
(ルーファス・キング 押田由起訳/東京創元社)
まずは題がうますぎですよね。
だって、
MALICE in
WONDERLAND
ですよ。あったまイイねー。
短編集です。収録作は、
不思議の国の悪意、マイアミプレスの特ダネ
淵の死体、思い出のために、死にたいやつは死なせろ
承認せよ―─さもなくば、死ね
ロックピットの死体、黄泉の川の霊薬、の8編。
しかし、なんと言っても表題作でしょう。
なかなか見事な短編です。
ピシっとキマってて、ほぼ完璧なのではないでしょうか?
親友の少女が行方不明になって10年。
アリスは、ふとしたことから、事件の真相に近付き…。
こういう時を越える事件、が好きなんですってば。
→時を越える事件つながり
→完璧な短編ランキング
→本歌取りランキング
▼はーい、ここに注目〜。
「恋するアリス あなたの詩集7 ForLadies」
(寺山修司編/新書館)
読者たちの詩を集めているシリーズです。
寺山修司編。
岸田理生の 「不眠症の猫」を収録しています。
金髪美少女の写真8P。
写真は沢渡朔さんです。やっぱりねッ!
▼うまいねッ。
『ふしぎの国の犯罪者たち』
(山田正紀/文藝春秋)
上記、『不思議の国のアリスミステリー』に収録されている、
「襲撃」(山田正紀)から始まる連作長編です。
襲撃、誘拐、博打、逆転の4つを収録。
『不思議の国のアリスミステリー』のあとがきでも、
この作品について触れています。
じつは私、『不思議の国のアリスミステリー』の「襲撃」だけを読んで
満足していたのですが、
これはやっぱり全部読まないと!
せっかくの連作の良さが味わえないですもんね。
「夢とロマンに満ちた”犯罪遊戯”(帯より)」「泥棒小説(帯より)」
イシシ。
さらにカバー絵は畑農照雄。好きなんです、この方の。
(文庫版も出ていますが、どちらも絶版もしくは品切れ)
→泥棒つながり
▼集めればよかったかなぁ…。
「不思議の国のアリス―Making
Book of─Heart Warming Life Series」
(工藤和代/日本ヴォーグ社)
※チェシャ猫フィギュアは付いていません。
いわゆる食玩、北陸製菓のお菓子に付いていた、海洋堂のアリスのフィギュアを使って、ドールハウス作家の工藤和代さんが、アリスの世界を再現しています。
いいなぁ〜〜。
プロの手にかかるとこうなりますかッ!という驚きの良い見本です。
実物が欲しいけど、無理なので本を眺めて我慢。
集めれば良かったかなぁ…と、後悔してみたり、ソワソワしてみたり。
▼単行本で。
『もつれっ話』
(ルイス・キャロル 柳瀬尚紀訳/れんが書房新社)
コント&パズルの本。
数学に強いキャロルらしい本です。
はぁ。
私はダメだ。スマン(笑)。
でも柳瀬尚紀さんの翻訳で救われているかと存じます。
ちくま文庫版も出ておりますが、
せっかくならこの単行本版がイイのでは?
筋金入りのキャロルファンに。
▼そして誰もいなくなるアリス。
「星の国のアリス 祥伝社文庫」
(田中啓文/祥伝社)
アリス+ドラキュラ+そして誰もいなくなった。
しかもSFミステリーホラー。
そんなミックスジュース的、中編です。
祥伝社のあの薄い文庫本シリーズです。30分ほどで読めるでしょうか。
電車や飛行機の移動中に良いかな。でも宇宙船の旅には向きません。
宇宙飛行士に贈ったら手の込んだ嫌がらせと言われるでしょう(笑)。
SFと言っても、
・宇宙船で旅している間の連続殺人事件であること。
・登場人物に宇宙人やロボットがいること。
それ以外は別段SF的なことはないので、SFダメな方もイケるはずです。
但し、グロテスクな描写のあるホラーがダメな方はダメです。
前に「それに乗りたいランキング」はやったけど、
それに乗りたくないランキングも作らねばならないなぁと思い付きました。
→関連して? →ミニ特集・どんな旅に出る?
→ドラキュラつながり
→星つながり
※¥400で流通中。ウチだとこれ1冊で送料¥180がかかります。
▼かなりいいアリス本。
「不思議の国のアリス」
(ルイス・キャロル 楠悦郎訳 作場知生挿絵/新樹社)
落ち着いた色合いの、良い造本です。
いいですねぇ。
現在も流通中。現在定価¥2100かな。新樹社さん、がんばってます。
挿絵は作場知生さん。数も多く、細密で、良い雰囲気です。
作場知生、なんか記憶にあるなぁと思ったら、この方ですね↓。
「天国への自動階段」
(作場知生:文・絵/新樹社)
こういうのをどう言えばいいのかなぁ。いまだに的確な形容詞を発見できずにいます。
人体模型とか、解剖図とか、ぜんまい仕掛けとか、水族館とか。
グロテスクなリリシズム?いや、ちがうんだなぁ。挿画たっぷりの大人の絵本。
▼アーサー・ラッカムさんのアリス。
「不思議の国のアリス(旧版)」
(ルイス・キャロル作 高橋康也訳 アーサー・ラッカム絵/新書館)
アーサー・ラッカムのアリス。フフッ。
カラー12点、他にもモノクロ挿絵かなりアリ。やったね。
やっぱり人気のようで新装版が流通中です(新装版定価¥1680)。
本書は旧版のほうです。
アーサー・ラッカムさんと言えば、同じシリーズのマザーグースも素敵でしたっけ。
詳しくは→こちら。
そろそろこのシリーズのミニ特集ができるかな〜。
▼パズルの国のアリス。
「パズルランドのアリス1・2セット ハヤカワ文庫NF」
(レイモンド・M・スマリヤン 市場泰男訳/早川書房)
レイモンド・M・スマリヤンさんは、ホームズでもチェスの論理パズル本を出してますね。
とことん理数の方なんでしょうか。
私とは距離があるわぁ〜。
1は、不思議の国篇、当然2は鏡の国篇。
アリスが、トランプの王様やにせ海亀から出題される論理パズルをといていきます。
全2巻の論理パズル集。
可愛いのは見かけだけなんじゃないか…と、疑ってます、私。
→ホームズつながりを見る
▼子供部屋のアリス。
「子供部屋のアリス」
(ルイス・キャロル:作 ジョン・テニエル:絵 高橋康也・高橋迪:訳/新書館)
ルイス・キャロルは「不思議の国のアリス」の妹版を出してたんですって。
「不思議の国のアリス」は「5歳からX歳までの」子供に読まれているけれど、
「ゼロ歳から5歳までの」幼い子供のためにと、易しく書き直したのが、
本書「子供部屋のアリス」(The Nursery
"Alice")。
キャロルの方針は、
【1】14章という、物語ぜんたいの構成は変えないこと。
【2】しかし、ぜんたいの長さを4分の1くらいに短くすること。
【3】おさない子供には通じないような、ことばや論理のあそび、有名な詩のかえうたなどは省略すること。
【4】テニエルの挿絵を大きくひきのばして、色をつけること。
彼は挿絵の細部までこだわって作り上げると、友達の少女たちにプレゼントしていたようですよ。
いいなぁ! 貰えたらめちゃくちゃ大事にするのになぁ!
※¥1260で2000年以降発行の版が流通中のようです。うちの在庫は1987年初版。
他に…
「ふしぎの国のアリス ファンタジーメルヘン6」
(陸奥A子/集英社)
「アリスの国の不思議なお料理」
(ジョン・フィッシャー/文化出版局)
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