魔術師、大好きです。魔術師が出てくると、それだけで摩訶不思議な雰囲気が出てきますよね。
でも魔術師って、魔法使いとは違うのかな?と思って広辞苑を引いてみました。なになに?
魔術…1、魔力をもって行う不思議な術。2、大仕掛けの手品の称。
うーん。これで行くと、ファンタジー小説の魔法使いは魔術師に入るし、手品師も魔術師。
ともかくここでは、作中、はっきり魔術師って言われてる人と、マジシャンの方をつなげてみました。
関連項目→魔女つながり、→トランプつながり▼うひょー。
「帽子から飛び出した死 ハヤカワ・ミステリ文庫」
(クレイトン・ロースン/早川書房)
完全密室殺人。
それも五ボウ星の中に神秘哲学者が横たわってたっていうの。
そして五ボウ星のまわりは魔界の王を呼び出す呪文で縁どられていた!
奇術師探偵の大活躍。「密室殺人大魔術!(あらすじより)」
初版です。
→帽子つながり
▼イェーイ。
「オットーと魔術師 集英社コバルトシリーズ」
(山尾悠子/集英社)
山尾悠子作品と言えば、借り物の「仮面物語」をいまだに読書中。
それでも本好きとはわがままなもので、他の作品もほしくなるわけです。
山尾悠子のコバルト作品。えへへへ。いいでしょー。
表題作以外に、3編をおさめる珠玉の短篇集。
山尾悠子の全集にも入ってないそうですよ。
(<そうですよ>と言うのは、じつは一度買いそびれて以来、
全集を持ってないのです。立ち読みしたところ、
付属の月報に佐藤亜紀さんが寄稿していて、大絶賛でした)
→ミニ特集・コバルト文庫
▼うまいよねー。
「食卓の魔術師 花とゆめコミックス」
(佐々木倫子/白泉社)
記憶力に問題のある黒田勝久くんが主人公の短篇集。もちろんコメディ。
勝久君、人の顔が覚えられないんです。徹底的に。
これが佐々木倫子さんの初コミックスらしいですが、
当時から、ささやかだけど魅力的な謎をつかまえて、
料理しちゃう手さばきは見事の一言。
発行当時リアルタイムで彼女に目をつけていた自分のことが誇らしいですね。エッヘン。
表題作は、○○ネタなんですが、これがもうね、イイ!イイよ!
両親がフルムーン中の黒田家にご飯を作りに来てくれるイトコの女の子(勝久は覚えてない)。
昨日と今日とでは、彼女は別人のように違った態度で、しかも、勝久が黒猫をハエタタキで叩いた後、
黒尽くめの服装をした彼女が顔にハエタタキの痕をつけて登場(笑)。
どういうこと? ってわけです。
表題作の他には、そんな勝久くんが犯人の顔を目撃しちゃう「ちょっとだけハードボイルド」や、
サスペンスホラー仕立ての(?)「コレクター」を収録。絵はまだヘタクソだけど、なにかがある作品集。
→記憶つながり
→○○つながり(ネタバレますが、あんまし関係ないかな/笑)
▼好きでした。
「バール・イ・ヴァ荘 創元推理文庫」
(モーリス・ルブラン/東京創元社)
子どもの頃、学級文庫で一生懸命、ルパンを読みました。
かっこいいですよね。子供心にほれました。
ルパンは、奇術の達人で、作中何度も手品をつかった詐欺行為や
手品をつかった目くらましを繰り返してて、それが大変に印象深く、
私の奇術師幻想の始まりになったんじゃないか?と思っています。
あと、ルパンはフランス人なので、執事に「お入り(アントレ)」とか
言うんです。かっちょいい。と思ってしまったのがやはり、フランス幻想の始まりで
私が仏文を専攻した元凶なんじゃないかと思いますね(笑)。
※ルパンはどれも好きなのですが、一応、在庫にあるものをあげておきました。
作中、奇術を披露しているかどうかは分かりません。ごめんなさい。
→何世つながり
→フランスつながり
→泥棒つながり
▼たまらんです。
「魔術師 上・下 河出文庫」
(ジョン・ファウルズ/河出書房新社)
文庫版裏表紙惹句がね、「面白い本は往々にして浅薄だし、思索の糧を与えてくれる本はとかく読みづらい。『魔術師』はその点、第一級のミステリー並に面白く、かつ芳醇な思索の糧に満ちている。稀有な小説の一つである。」
ぐぉ、読みたい。心臓わしづかみ、紹介文の名作。
→史上最高のあらすじランキング
→必ず寝ちゃう本ランキング
▼イェーイ。
『魔術ミステリ傑作選 創元推理文庫』
(O・ペンズラー編/東京創元社)
収録作は、クレイトン・ロースン「この世の外から」、ラドヤード・キプリング「スドゥーの邸で」、ジョン・コリアー「登りつめれば」、カーター・ディクスン「新透明人間」、フレデリック・A・アンダスン「盲人の道楽」、ラファエル・サバチニ「時の主」、スタンリー・エリン「決断の時」他。
全13編。
カバーからしてたまらんです。
▼明智さん。
「魔術師 江戸川乱歩推理文庫10」
(江戸川乱歩/講談社)
「復讐の鬼と化した魔術師の、残虐非道な連続殺人が始まった。(あらすじより)」
長編。明智小五郎モノです。
テレビで見た気がいたしますよ?
巻末エッセイ・乱歩と私は中井英夫(5p)。
三島さんや澁澤さんの名前もチラッと出て来る、少しニヤけるエッセイです。
▼金田一さん。
『金色の魔術師 角川文庫』
(横溝正史/角川書店)
推理ジュブナイルの最高傑作、ですって。
しかし、上の乱歩の魔術師もそうですけど、魔術師って気持ち悪い〜。
推理小説の中では特にいい味出してくれます。
金ぴかのフロックコート、鷲鼻、吊り目の老魔術師VS金田一耕介の一番弟子、立花滋君。
▼おすすめしたい。
「奇術師 ハヤカワ文庫FT ※送料無料」
(クリストファー・プリースト 古沢嘉通訳/早川書房)
587ページ。分厚い長編です。
ハヤカワ文庫FTに入っていますが、創元推理文庫の黒猫マークのほうがいいかも(もうあのマークはないけどね)。
なるべくネタバレないように書いてみます。
19世紀末から20世紀初頭、技を競い合う二人のマジシャン。
二人の間には遺恨があって、とっても仲が悪い。
紆余曲折ありまして、二人とも得意とする演目は「瞬間移動」。お互いに相手の使うタネと仕掛けが知りたくて、あれこれと手を尽くします。
─それが、各々の日記の形で記述されているのです。
その日記を読むのは、彼らの子孫たち。現代の。子孫たちにも解かなければならない謎があります。
最終章がかなり怖いです。ラスト15ページの恐怖、と私は書きたい。
にも関わらず、私は読後「はぁ?」と思いました。怖いけど「はぁ?」。
いまいち明解な答えを得られなくて、戸惑ったのです。
読後、30分ほど考え、最初のほうを読み返し(分厚いので途中を忘れていました)、ようやく納得。
自分なりの結論に達しました。う、うん、間違いない。
私の読解力がめちゃんこ低いのかとやや凹みましたが(またか)、とある書評で北上次郎さんが「俺さ、これわかんねえんだよ。ラスト、どういう意味なの?」と明言しておいでなのを発見。ほっとしました(笑)。
(北上さんにそう言われた大森望さんは困惑してました)
後書きによると、映画『メメント』の監督が映画化をすすめているそうです。
ナイト・シャマラン監督のほうがよくないかしら?
トップページで一押ししたいけど、そんな事情もあって、人を選ぶのかもしれないと思っている1冊。
オススメには違いないのです。いかがでしょう?
※流通中。
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