■今日の一押し P7
▼大人向け?
『丘の上の人殺しの家』(別役実:作 スズキコージ(鈴木康司):絵/リブロポート)
丘の上には人殺しの3兄弟が住んでいて、素晴らしく残酷な方法で殺してくれます。メニューもあります。看板もつけました。でもまったくお客さんがきません。仕方がないので営業に──。 好きです。薄い絵本ですが、持っていたい。鈴木康司ってだけでも要チェック、さらに別役実の童話がピッタリ。一見、残酷童話なんだけども、好きだなぁ、いいなぁ~。もしも見かけられたら、とにかく買っておかれることをオススメします。
▼美貌の一族だ…!
『ヴィスコンティの遺香 華麗なる全生涯を完全追跡』(篠山紀信撮影/小学館)
えっと、タイトルそのまま、巨匠ルキーノ・ヴィスコンティの生涯を、写真でまとめあげています。写真集と言っていいでしょう。篠山紀信撮影のカメラで舐めるような、お屋敷、遺品の写真はもちろん、ヴィスコンティ家の秘蔵アルバムも収録。 家族の肖像も見られるわけです。 うひょ~。 以前、ココでも紹介いたしましたが、ルキーノがスゴイ美少年だったことは、私、存じ上げておりました。 しかし、ここん家ね、みんな美男美女です。西洋人の子供はみんな天使に見えることを差し引いても、美少年美少女どっさり。 特に上の兄のルイジ。彼がその後、どう育ったのか興味津々ですがな。(資料ないかな?) 妹のウベルタもカワイイ。成長後も美女。
そして誰よ、この男前キィーッと思ったら、それはヘルムート・バーガーの写真でした。なーんだ、ハァハァ。
夢のようなお屋敷の調度品や映画の衣裳の写真、彼の生涯や家族にまつわるエピソードなど、見ても読んでも全然飽きません。
年譜、シネマトグラフィーも収録。ファンの方に胸を張ってオススメします!
→ミニ特集・シネマの世界
→ミニ特集・美人大集合
→美少年つながり
▼イッツアワンダフルワールド。
『ジュニアそれいゆ(※復刻版) 1956年No.9 ジュニアの魅力』(中原淳一(中原蒼二監修)/国書刊行会)
往年の名少女雑誌『ジュニアそれいゆ』の復刻版です。これはもう、復刻だろうが何だろうが、手元におきたいです! 例えるなら、勿体無くて身に付けられないイミテーションダイヤ。なでなでしちゃう。そっと読んじゃう。熟読してヨシ、眺めてヨシ。立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花です。もうもう隅から隅まで「素敵ーッ」って叫び出したくなるイッツアワンダフルワールドなのでした。
見どころいっぱいで、くまなく読みたいですが、特に、
○巻頭に7pの「それいゆじゅにあぱたーん(中原淳一)」、○内藤瑠根(内藤ルネ)の挿絵多数。○中原淳一デザインの「ジュニアのよそゆき」
○男前のファンファン。○中原淳一挿絵の「ステラ・ダラス(6p)」○内藤瑠根挿絵の「ディアーヌ(ジョルジュ・サンド)3p」○「紫苑の園」連載中。松田瓊子作、藤井千秋画。
についてはお見逃しなく!
現在も流通中のようです。出版社さんのサイト等、ご確認ください。
※ジュニアそれいゆ、ひまわりなど、まだまだ在庫がありますので、ぜひどうぞ
→ミニ特集・復刻もまたまた
▼愛は地球を救う。
『ソングマスター ハヤカワ文庫SF』(オースン・スコット・カード/早川書房)
もう最高!! 稀少なので、古典なのにずーっと読めませんでしたが、このほど入手。ここ2、3年読んだSFの中で一番! すんばらしいです。 戦乱の宇宙を武力と血で統一し、帝国を築いた恐怖皇帝ミカルがソングハウスを訪れるところから物語は始まります。ソングハウスは政治的には中立で、支配には無縁の存在。音楽の才能のある孤児たちを育て、中でも最も優れた歌い手をふさわしい人物にソングバードとして贈ります。 皇帝は、ソングバードが欲しいと言いに来たわけですが、当然、断られます。「歌声を理解できる人にだけ贈るのだ」と。殺戮者には理解できないと。ところが、皇帝は以前ソングバードの歌声を聞いた思い出を話し、涙を流すんです。ソングハウスの長、ソングマスターは愕然とします。恐怖皇帝はソングバードに値する。 しかし、ふさわしいソングバードが育ったのは、皇帝が老人になってからでした。ソングバード・アンセットは老いた皇帝に贈られ、権謀術数の只中、暗殺の陰謀渦巻く宮廷で過ごすことに…。 アンセットの苦難の始まりです。
音楽の小説はいつもセンチメンタルな色合いを帯びますよね。それは何故なのか、ふと考えました。絶対に文字では表せないことを文字にしているから。書かれたことを読者は心の中で何倍にも膨らませて、丁度怖い話が自分の想像の中でますます怖くなっていくように、情緒を高めていくからではないかと、思うんですけど、いかがなもんでしょう? 音楽の偽りない真摯さと文字は相性がいいみたいです。
ともかく、この抒情派SFには、久々にやられました。
因みにアンセットは美少年で、勿論それも抒情性に一役買っています。
著者は男性。そのことに私はもう一度驚きました。これは女性作家が得意とする抒情世界なんだけどなぁ。すごい。
SF食わず嫌いの方も試してみられることをオススメします。これは愛の物語であって、難しい理論なんて全然ありませんから。
手触りとしては、「日本ファンタジーノベル大賞」って感じです。
現在、なぜか絶版。なぜ? なぜなの?
→美少年つながり
▼うひょ~。
『あなたの心のハッピーランド ハッピーブック2(HAPPYおばさんのハッピーパーティーの第2巻)』(田村セツコ/主婦の友社)
HAPPYおばさんのハッピーパーティーという、全3巻のシリーズの第2巻です。 もちろん1冊まるごと田村セツコさんのイラストが満載。オールカラーっすよ! スッゲー! 時にはかわいくて目に楽しいレシピをまじえて、HAPPYおばさんがハッピーランドを案内してくれます。 あぁオナゴでよかった~と思える、オナゴの好きなものが詰まった詩画集のような絵本です。
全ページ、こんな感じでじつにカラフル。めっちゃ楽しい。物語のあるお料理絵本、と呼んでもいいかもね。
→ミニ特集・お料理絵本
▼眠れる森の美女のドリーム=アイスクリーム。
『Mickey Mouseのクックブック』(講談社)
お料理絵本好きとしては見逃せないですね。昭和59年初版。この古ぼけ感もじつにイイ。見るからになつかしいうるんだ印刷、カラー。 ミッキーマウスのクックブックとは言うものの、ディズニーキャラ総出演ですよ。眠れる森の美女のドリーム=アイスクリーム、ウェンディーのはちみつクッキー、ゼペットじいさんのジンジャーブレッド=クッキー、ピグレットのピザマフィン、シンデレラのホット=チーズサンドイッチ、ティンカー=ベルのスパゲティソース、ピーター=パンのパスタ、ドナルドのアップルソースがけハム、ふたごのダムとディーのアイスクリームのせバナナ、などなどなど。 オールカラー93ページ。大型本のくせに、かなり詰まっています。
○ケーキ○フロスティング○クッキー○サンドイッチ○スープ○パンケーキ○卵料理○ごちそう○野菜料理○サラダ○デザート○飲み物─全71のレシピです。
こんな感じで大変カラフル。挿絵もふんだん、何よりノリノリで楽しいんです。これは誰がノリノリなのかなぁ。(著者名はないんですよね。)
フック船長のマッシュポテト、なんてのもあるんですよ? アノ鉄の手でポテトをつぶすんですって!
→ミニ特集・お料理絵本
▼わかんないけど、多分。
『Flower Fairies the Autumn』(シセリー・メアリー・バーカー〔シセリー・M・バーカー、Cicely Mary Barker〕)
じつは、詳細は不明です。モノは、シセリー・メアリー・バーカーという妖精画家が文も絵も書いた、妖精の詩画集です。 そこまでは分かるのですが、発行年等は不明。一見洋書なのに、published in Japanで、森永製菓の栞付きです。
栞(→)には「森永ハイクラウンのフラワーフェアリー・シリーズにご応募いただき、ありがとうございます」との記載アリ。キャンペーンの当選品、もしくはプレゼント品かなぁ。同じく栞の、著者についての説明から推測して発行年は70年代後半~80年代かと思われます。
ご覧の通り、かなーりかわいい造本で、本好きは、内容(英語だし…)よりも外見にシビれることでしょう。企業ノベルティ大好きな私は栞でシビれました(笑)。
御存じかどうか分かりませんが、白泉社のチェリッシュブックに大変造りが似ています。
※同じタイトル同じ著者で違う造本の洋書は流通中です。純粋に、書籍の内容に関心のある方にはそちらをオススメします。
→チョコレートつながり
→企業つながり
▼とにかく、かわえぇ。
『ねこのアイウエオ』(ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー 神品友子訳 和田誠絵/晶文社)
はっきり言って、もう外見だけでうっとりです。かわいいもん。まず晶文社でしょ、和田誠さんが絵担当でしょ、カバーの背色は グリーンでしょ。カバーを外すとあっさりした本体表紙にもさりげなく猫の輪郭の線描があるでしょ。そんで文字色は 青です! ♪フンフーン。しかも開いたら、オールカラーですよ。全ページ、こんな感じ↓。 これぞ軽く踊り出したくなる良品でしょう。絵本にしてはちょっと小ぶりなのも、似合ってます。
「クリスマスに何がほしい? ねこ! ぼくらは大きな声でいった」から始まる、見て楽しく読んで楽しく、大人も子どももニッコリのラブリー絵本。
紫のライオンが猫バスみたいでキュートなんですよね。
→猫つながり
→文字が色付きつながり
→クリスマスつながり
▼まだひろがる世界。
『ビリティスの恋唄』(ピエール・ルイス 吉原幸子訳 東逸子絵 萩原朔美構成/PARCO出版)
以前、このコーナーでも御紹介いたしました『ビリチスの歌』、
あの、ピエール・ルイスの精巧なウソモノ詩集(現代製の、「ギリシャ古詩」)を、大きめサイズの詩画集にして出版してたとは! PARCO出版、やるねぇ~。しかも、絵は東逸子さんです。美麗です。
文庫サイズでとことんソレっぽくやるのもよろしいですが、こんな風にいっそ豪華版にしちゃうのもまた、違った味わいが出てイイです。
時代を経ても、みんなで、こんなにも楽しめちゃうのは、ピエール・ルイスの仕掛けの巧妙さもありますが、彼の詩自体の完成度、それがないとあり得ないですよね。吉原幸子さんの訳詩は、鈴木信太郎よりたおやかです。
1982年初版。現在は当然絶版。この機会にいかがでしょう? ウフ。
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