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あのジュリエットから手紙がくる。
『ラブ・メッセージ―だれかを好きになると自分のことも好きになる』(マリーナ・フラカッソ 道出版編集部訳/道出版)

こんなシステムがあったとは知らなかったです。
イタリアのヴェローナのジュリエット・ハウスには、ジュリエット・キャピュレット宛の恋愛相談が毎年5000通も届くそうです。
1930年代、ジュリエット・ハウスのバルコニーやお墓に、恋に悩む人たちが置いていった手紙に、老人守衛が返事を書いたのがきっかけ。その後、老人は定年。手紙の収納庫はいっぱいになり、代役にやとった「キャピュレット嬢」は、彼女自身に寄せられる求婚の手紙に疲れてリタイア。今では、ボランティアの人達が、恋に悩む手紙に返事を書いているそうですよ。へぇ〜。
そしてその手紙の中から、面白いものを編集したのがこの本だとか。
でも、恋の悩みは万国共通と見えて、いつかどこかで見た風景が延々と収録されていることにこそ、微笑んでしまいます。回答の手紙も見たいんだけど、残念ながら、相談の手紙のみ収録。恋に悩める人にオススメ。

→手紙つながり

強くなければ生きてはいけない、優しくなければ生きている資格がない。フッ。
『ザ・ハードボイルド―ものにこだわる探偵たち』(馬場啓一/CBS・ソニー出版)

次に生まれてくる時は、リボルバーの似合うハードボイルドな私立探偵になりたい。そう思っていました。中学生の頃(笑)。そうでなけりゃ、白い象牙の握りの32口径が似合うような、かわいくて危険な美女でもいいです。
そんなハードボイルド好きにはたまらない、ハードボイルド研究書。いろんなハードボイルド小説を引用しながら、酒と酒場、煙草、遊戯、道具と小物、銃と武器、車、服装、部屋、男の食卓などについて、考察しています。そう、ハードボイルドな男はモノにこだわるんだよね〜。
モノが出てくる該当箇所を引用しまくってるせいで、必然的に名セリフもたっぷり。もうアノ雰囲気がムンムンしてます。、一瞬にして気分はマーロウ。

さて、このシリーズのパート2も出ていまして、その副題は何だと思います? はい、正解。女と男のハードボイルド、です。そうだよね〜。

→ミニ特集・メンズ・ライフ

建物からゴミ収納庫に飛び降りるときー!
『この方法で生きのびろ!』(ジョシュア・ペイビン、デビッド・ボーゲニクト 倉骨彰訳/草思社)

全米ベストセラーですって。そっかー。でも、マジのベストセラーなのかなぁ? 面白がって買うのか、役に立つ!と思って買うのか、どっちよ、アメリカ人。その辺が知りたいです。
もう、まさに映画です。ゴミ収納庫に飛び降りるってあなた、そんなことは多分、私の人生ではこの先も起こりそうにありませんが、確かに100万回は見ましたよね、映画で。他にも「走る列車の屋根を移動するとき」「走るバイクから車に飛び移るとき」、そんな危機的状況を生き抜くためのマニュアルがいっぱい。「飛行機を着陸させるとき」、スゲー。ありえなーい。でも映画では見てますよねぇ。
「いやいや、もしかしたら!」と思って、つい頭に入れようとしたり、「どうすればいいんだろう?」と、純粋な好奇心から、つい読み耽ったりしてしまいます。
動物(毒ヘビ、クマ等)に襲われたときや、車ごと水中に飛び込んだとき、また各種応急処置のマニュアルもありますので、誰にもまったく無縁というわけではありません。
因みに、この本はシリーズになっていて、旅先サバイバル篇、恋愛サバイバル篇や職場サバイバル篇も出ていますよ。人類の生存本能に乾杯。

→役立つマニュアル本つながり?
→サバイバルランキング

そこまでして飼いたくない。『恐竜の飼いかた教えます』(ロバート・マッシュ 別役実訳/平凡社)

前回のぬいぐるみの飼い方につづき、今度は恐竜です。飼い方特集ができるかも?
さて、恐竜さんですが、意外に愛らしいものも多数。エサだって、ありきたりのキャットフードがあれば事足りるとか、初心者向けに飼いやすいものから教えてくれる親切設計。
でもね。
レッグ・プロテクターを着けてまで、ヘテロドントサウルスを飼いたくないですよね。なーんて、のどかな(?)気持ちになっていたら、食肉用恐竜ってくくりも出て来て、遠い目になりました。そっかー…。食肉かぁ。炭火焼のイグアノドン・ステーキが大量にとれるんですって。人類の食欲もすさまじいですね。
初心者向け、犬代用、ペット用、鳥代用、警備用、採卵用、毛皮羽毛採取用…などなど。いや、でも、もしも現代に恐竜がいたら、本当にありうることばかりだと思います。
飼育法のはしばしや分類法にも、著者のエスプリきらめく、感心な恐竜飼育マニュアルです。おすすめ。
因みに表紙は乗馬用恐竜オルニトミムス。

→役立つマニュアル本つながり?

ぬ、ぬいぐるみの食事〜?!
『ぬいぐるみさんとの暮らし方』(グレン・ネイプ 新井素子、土屋裕訳/新潮社)

幼稚園時代にはぬいぐるみに名前を付けて、溺愛していたワタクシですが、長じてからは、ぬいぐるみには一切関わりのない人生です。今日まで忘れていた、と言っても過言ではない。むしろ、うちの愚弟の方がぬいぐるみ好きなのかも。ヤツの部屋にはぬいぐるみがあるし。
ですので、この本にはびっくり。
ぬいぐるみさんとの暮らし方ですよ。第1章ぬいぐるみの歴史、第2章ぬいぐるみの選び方、はともかく、第4章ぬいぐるみの食事、第8章ぬいぐるみの病気、第9章ぬいぐるみの生殖。生殖ぅ? 第12章年老いたぬいぐるみ。
…ダメだ。ダメッ。ごめん、無理、私には(笑)。
しかし、ウマイんですよ。共感するかどうかはともかくとして。夢のない私には、「笑点」のように座布団を出したくなるウマさでした。だってね、例えば、第9章ぬいぐるみの生殖ですけども、こんな感じです。「ぬいぐるみは普通の動物がするようなありふれた方法では子供を作ることができません。」「ぬいぐるみはぬいぐるみなりの方法で、実にうまく子孫を殖やしているので─実際、ここしばらく、ぬいぐるみは空前のいきおいで殖えているじゃありませんか」…。なるほどね。そう来たか。研究者によると、「ぬいぐるみにも性別があるという意外な新事実の発見」もあったそうですよ。
そんなわけで、ぬいぐるみの食事がどんなものなのか知りたい方はどうぞお読みになってください。読んで怒っちゃダメです。

→役立つマニュアル本つながり?
→人形つながり

へぇ〜、続編があったんだー。
『オウザークの小さな農場 新大草原の小さな家2』(ロジャー・リー・マクブライド こだまともこ・渡辺南都子訳/講談社)

みんな大好き、『大草原の小さな家』の続編シリーズです。知らんかった…。ほんっとに、児童書って侮れないですよね。
ヒロインは8歳の娘ローズ。ローラの娘ですね。そして舞台は、ロッキーリッジ農場です。「えぇっ、大草原じゃないの?」と御不満の方、だって、実際にワイルダー一家が住んだのはここが一番長かったそうですよ。
書いているのは、ローズの養子さんです。あのテレビドラマの制作にも関わった方ですって。なるほど、生き生きした描写にも納得です。

『大きな赤いリンゴの地 新大草原の小さな家3(ロジャー・リー・マクブライド 谷口由美子訳/講談社)

シリーズは全6巻出ているようです。
ウチの在庫は、現在2と3のみ。第1巻『ロッキーリッジの小さな家』がナイのが痛恨事ですぅ〜。

→続編ランキング

藤枝梅安鍼灸治療院の四季報?
『仮想会社四季報 徳間文庫』
(SUPER STRINGSサーフライダー21/徳間書店)

以前、感心した『ブルーライトヨコハマ』も徳間文庫オリジナルでしたっけ。徳間文庫さん、やるねぇ!なんか、こういう企画ばっかり温める部署でもあるんでしょうか?

さて、コレ、その名の通り、仮想の会社の四季報です。テヘ。仮想と言ってもアナタ、みんな知ってるアノ会社とかコノ会社とかですよ。
えっと、藤枝梅安の鍼灸治療院の四季報、蒲田撮影所(つかこうへい『蒲田行進曲』)の四季報、鈴木建設(『釣りバカ日誌』)の四季報、極東航空(『スチュワーデス物語)』)の四季報などなど。
四季報ですから大マジメに地味な体裁ですが、絶対笑えます。プーッって。
だって、鈴木建設では、「平社員の要求による”C級社員”(浜崎伝助)の懲罰人事撤回」なんて項があるし、藤枝梅安鍼灸治療院では、「個人事業体から企業体への展望はあるか」ってベンチャー企業として検討されてるし、しかも「創業:亨和二年 売上高:約600両 主要取引先:音羽の半右衛門」ですよ。アハハハ。
その一見マジメな筆致にひょっとして笑っちゃイカンのかと我に返ったりしてね。
今やるなら、満帆商亊(ショムニ)や株式会社ヤマト(サラリーマン金太郎)とかも入るかな?

蛭子さんがモデルに!
『蛭子能収のコワイもの見たさ』
(蛭子能収/世界文化社)

アノ蛭子さんがいろんなことに挑戦しています。蛭子さんの体験ルポですね。
ものすごい怖がりだと言う彼がへっぴり腰で挑む「怖そうなこと」。それは目黒寄生虫館見学、絶叫マシーン、女性専用エステ体験、外国語学校レッスン、恐山イタコ、ロッククライミング、などなどなど。全19種。想像どおり笑わせてくれます。特に私がブハッとむせたのは、
蛭子さんのファッションモデル体験
ミス家庭画報風ファッション(と言われています)で、それらしいポーズをキメた写真が掲載されていますが、どれもこれも、スゴイ。むせる。一見の価値有り。蛭子さんなのに、なんか濃いぃです。アハハハ。なんかこういかがわしい感じに失笑です。
感心したのは、フラワーアレンジメントの回かな。上手なんです! 流石ですね、って誉められてました。へぇ。やっぱり絵心とかアーティスティックな才能なんですね。ほぉ。
蛭子さんと一緒に軽く「コワッ」ってゆーか、「オワッ」って思いを体験できるクスクス本です。

→モデルつながり

※初出は「ミス家庭画報」の連載が殆どです。

楽しみすぎでしょ!
『知られざる名探偵物語 ハヤカワ・ミステリ文庫』
(ジュリアン・シモンズ/早川書房)

著者は『シャーロック・ホームズの復活 新潮文庫』の人ですね。さすがです。
ホームズは勿論、ミス・マープルやネロ・ウルフ、クイーン、メグレ、ポアロ、マーロウら、7人の名探偵について、いろいろなやり方で、どんなマニアも知らない素顔や語られなかった事件など、その秘密を探っています。
しかし、楽しみすぎですよ、シモンズさん。やってて楽しくて仕方がなかったんでしょ? そう言ってやりたいなぁ。
ホームズについてはお得意のパロディで─「ホームズの隠遁生活はいかに妨げられたか?」。
ネロ・ウルフについてはね、アーチー・グッドウィンに会って話を聞いてるの! そうです。シモンズさんが中年男になったアーチーに会ってるんです。やるねぇ─「その後のネロ・ウルフ」。
ミス・マープルについては、シモンズさんに依頼された元牧師レナード・クレメントが彼女の人となりを記しています─「ミス・マープルとセント・メアリ・ミード村」。
ポアロさんは、ヘイスティングス大尉のノートに基づいてシモンズさんが検証─「エルキュール・ポアロの生涯」。
メグレ警視はパロディ─「メグレと盗まれた書類」。
などなど。
楽しみすぎでしょ!?悦に入ってる著者の顔が浮かぶ、ノリノリの1冊。現在稀少気味。

ヴィスコンティ家の人々って!
『ペーパームーン ヴィスコンティ=ルードウィッヒ・神々の黄昏』(新書館)

ルキノ・ヴィスコンティの映画「ルードウィッヒ」やヴィスコンティ自身について、思わず「やっぱり、あなたもね!」と言いたくなるメンバーがいろいろと寄稿しています。
森茉莉、須永朝彦、池内紀、海野弘、白石かずこ、松田修、青池保子、まつざきあけみ、伊東杏里、岸田理生他。
やっぱりね(笑)?

メンバーを見て、うひょうひょーと思ったワタクシ的には、一押しコーナー行きかと思われましたが、いや、中田耕治の「ルキノ・ヴィスコンティの祖先」(5p)にびっくりしたので、特ダネで。

ヴィスコンティさんちの家系は中世まで遡れる大変な名家で、祖先には残虐行為で知られる人や、猟犬に家臣をかみ殺させた「気違い公爵」や、「誰も死んではならない」と命令を出した人や、夫の愛人を殺した人や、なんやかんやがいたらしいです。ほぇ〜。さすが、って言うべき?

そしてその一族の、「ヨーロッパ最後の貴族」と言われるルキノ・ヴィスコンティ、少年時代のポートレートが非常に美少年で、目を見張りました。モノクロですけども。
B5判 108ページ。

→美少年つながり
→ヴィスコンティと言えばコレも

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