品物がたくさん出て来て、その一つ一つに物語がある。骨董屋さんの話はそのようなプロットになっていることが多いですよね。(多いと言うか、殆どの場合がそのパターンです。)
それが、すごーく好きなんです。なんでかなぁと不思議なくらい。多分、連作短篇が無条件に好きなせいだとは思うんですけど。
関連項目→芸術品つながり、→壷つながり▼典型。
「骨董屋ピンクス」
(デニー・ピンクス/ミルトス)
メルマガ読者のみなさま
おかげさまで売り切れました。
ありがとうございました。
イスラエルの骨董屋。その骨董と客の話。
帯に書かれた阿刀田高の「四十余篇のエピソードはO・ヘンリーの短篇を思わせる。実話でありながら小説のように面白い」って言葉が、うまく言い当てています。
骨董屋さんの話の魅力全開。
▼お子様にはもったいない。
「不思議を売る男」
(ジェラルディン・マコーリアン/偕成社)
児童書です。でも大人が読んでもおもしろーい!
もし未読なら、ぜひ!
お子様がいらっしゃる方はお子様と!
発行以来、順調に版を重ねている様子なのも納得。
ある男が、ヒロイン・エイルサの母親の営む古道具店で働くことになる。
その男、MCCは店の古道具の由来をまことしやかに
お客に語って聞かせ、お客を夢中にさせてしまう。
それってウソじゃないの、と思いながら同じく惹かれてしまう母娘。
…こういうの、好きだなぁ。
MCCの語る逸話一つ一つが物語の中の物語、作中作になっていると。
うーん、ワクワクしてしまう。
→ウソほんとつながり
→来訪者つながり
▼金沢が出てきた。
「骨董屋征次郎手控」
(火坂雅志/実業之日本社)
なんか…、アレ? と思ったら著者は時代小説の方なんですね。
文体がすぐにそれとわかる時代小説調です。
これも骨董モノの典型ですが、ちょっとこう怪談の匂いがしたり、
捕り物の匂いがしたりする※のはそれゆえ?
(※実際はともかくとして、その匂いが、です)
→金沢つながり
▼マンガですけど。
「雨柳堂夢咄」
(波津彬子/)
マンガです。
一応少女マンガですが男性にもいけるはず。これもまさに骨董の話、です。
主人公の少年の営む骨董屋にはいろんな客がいろんな品物を
持って来て…。
「百鬼夜行抄」(今市子)と並んで、
店主がチェックを入れてる秀作少女マンガです。
▼おまけ。正確には美術品だけど。
「永遠の森─博物館惑星」
(菅浩江/早川書房)
抒情SF「メルサスの少年」で、その名を轟かせた菅浩江さん、今回もやってくれました。抒情的なだけじゃなくて、楽しい。舞台は全世界の美術品、動植物が収められている未来の巨大博物館。主人公はデータベース・コンピュータに頭脳を直接接続させた学芸員で収蔵品の分析鑑定がお仕事です。毎回一つの美術品が持ち込まれて、それにまつわる事件、できごと、人との出会いがあるわけ…と聞いてうずうずしちゃった人には、おすすめの1冊。期待を裏切りません。
→楽しすぎる連作短篇つながり
→博物館つながり
※文庫版でも流通中です。
▼しみじみとおもしろい。
「鎌倉文士骨董奇譚 講談社文芸文庫」
(青山二郎/講談社)
目ききと言っていいんでしょう。
でもちょっと温度差があるようです。
ここには、生臭い感じがなくて、美に対するストイックな探求心があるだけ。
批評家、本の装幀家、陶器鑑賞家の青山二郎が、骨董とそれに関わる文士たちの
話をいろいろと教えてくれます。
骨董に対する態度を、その文士の思想、文学に対する姿勢と比較させて
いっしょに語ってしまう辺り、只者ではないし(当たり前)、しみじみ面白い。
小林秀雄が骨董にハマってく様子の描写は秀逸、いろんな興味を持って読めます。
▼レベル?
「レベル21 アンジュさんの不思議ショップ」
(さとうまきこ/理論社)
児童書です。
レベル21と書いてある店があったら、入ります?
しかも、骨董屋さんです。あ、あやしい…。
アヤシイ話か? と思ったら、全然そんなことはなくて
優しいお話でした。なかなか良いです。
子供向けに道徳的でありながら、物語の面白味もあります。
オーナーのアンジュさんは占いもする。店には人形もある。
ということで、<つながり向き>の1冊。フフ。
→占いつながり
→人形つながり
→レベルつながり
▼骨董好きに。
「骨董夜話」(白洲正子他/平凡社)
七人の骨董好きさんたちによる骨董話。
白洲正子、坂東三津五郎、土門拳、谷川徹三、
青柳瑞穂、細川護貞、平山郁夫。
小難しいことは全然ありません。
ちょっとでも関心のある人なら誰でも興味深く読める骨董の話。骨董随筆。
自慢話が多いかも(笑)。
「それが見たい」ってところで、ビターっと写真を入れて来るところが
さすがです、平凡社さん。
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