ウソなの?ほんとなの?
一見して、まぁウソだとは思うけど、と思い→読んでみてだんだんわからなくなり→
ホントってことはないよね?と頁を無駄にめくりまくり→うん、まぁそういうことかなと納得し→
でもありかもねなどと妄想し→大好きになる。
そんなウソかマコトか、ウソの中のウソ、みたいな話、好きじゃないですか?→関連して・モザイクつながり▼息が詰まりそう、すごく好きで。
「クラウド・コレクター 雲をつかむような話」
(クラフト・エヴィング商会/筑摩書房)
昭和9年。とある雑誌広告。「雲、賣ります」。その広告を出したのが、クラフト・エヴィング商会の吉田浩美さんの祖父である、と。(ふむふむ。そうだったのか。さすがにやるね。それがクラフト・エヴィング商会の前身かな)
で、ある日、倉庫からその祖父の持ち物らしい、旅行鞄が出てくる。そこには、21本のお酒(?)の入った壜が。しかも吉田さんには何やら見覚えがあるラベル。(ややや?)
そしてさらに隠しポケットから、手帳発見。それは祖父の「遠國アゾット」旅行記で、倉庫にしまわれている「なんだかよくわからないものたち」が何であるのかを知る鍵になるのです。
「ふたつの白い手袋」「哲学サーカス団」「いま、ここにだけ降る雨」「すべて・ありのままに・羽根あるもの」「青い涙を集めるひと」…。
店主はもったいなくて読めないくらい、気に入っています。気分のいいときに少しずつ読むのです。
ところで余計な話ですが、この面白い祖父が実在したかどうか、あとがきで種明かしされるまで、私には判然としませんでした。だって、その広告を見たことがあるような気がして…。
クラフト・エヴィング商会の本は、すべてこのウソほんとつながりに入りますね。
まだ新刊本屋さんでも入手可能ですので今のうちに買っておきませんか?(また商売抜き)。
もちろん当店でお買い求めいただければよりお安いですが(笑)、売り切れ御免ですので。
→関連項目
→クラフト・エヴィング商会の本の在庫を検索する(只今全売り切れ)
▼マジで?
「ウィルソン氏の驚異の陳列室」
(ローレンス・ウェシュラー/みすず書房)
帯に「傑作ノンフィクション」とあるのですが、
それがなければ、絶対に小説だと思ったところです。
んー、ノンフィクションかー。ほんとに?騙してない?と
思ってタメツスガメツしてみたけど、どうもほんとにノンフィクションみたいよ。
ロス郊外の博物館「ジュラシック・テクノロジー博物館」は、ヘンテコな陳列物でいっぱい。
人間の角、彫刻を施された髪の毛(*接眼レンズを使うと彫刻が見える)、
人間の心臓を納めるオニキスの箱
(血の部分が燐光を発するらしい─研究のため一時的に
取り外されています、という謝罪の標識あり)、などなどなどなどなどなど。
おもしろすぎ!言わば、グロテスク系のクラフト・エヴィング商会。
うそだよね─ほんとじゃないよね?でもほんとのものもある?
この揺らぎははっきり言って快感です。管理者のウィルソン氏、天才ですな。
註釈が長いのも笑えました。なにしろ註釈で一章を成してますから。
→イケてる註釈ランキング
→博物館つながり
▼これはほんとに小説。でも。
「不思議を売る男」
(ジェラルディン・マコーリアン/偕成社)
児童書です。でも大人が読んでもおもしろーい!
もし未読なら、ぜひ!
お子様がいらっしゃる方はお子様と!
発行以来、順調に版を重ねている様子なのも納得。
ある男が、ヒロイン・エイルサの母親の営む古道具店で働くことになる。
その男、MCCは店の古道具の由来をまことしやかに
お客に語って聞かせ、お客を夢中にさせてしまう。
それってウソじゃないの、と思いながら同じく惹かれてしまう母娘。
…こういうの、好きだなぁ。
品物一つ一つの逸話が物語の中の物語、作中作になっていると。
それだけでワクワクしてしまう。骨董屋さんの話は往々にして
そのようなプロットになっていることが多くて、だから好きなんです。
→骨董つながり
→来訪者つながり
|