▼「メルヘンの部屋」という小型本シリーズ
○約15.3cm×10.4cm、約30ページ、小さくて薄い本です。様々なテーマと様々な執筆者が魅力的。発行日の記載はなし。独特の雰囲気から言って70年代後半? 世界文化社発行。
○あの時代特有の何とも言えないチープ感があります。(いや、誉めてますよ。)執筆者が豪華だったり、お遊びがあったりして、珍品揃いのコレクターズ・アイテムと呼んでも過言ではないはず。私が最も注目しているのは勿論、中井英夫が執筆している「香りのおもいで」。中井英夫の全作品リストに入っていながら、あまり実体を知られていない幻の書、というのは言いすぎですか?(作品自体は作品集にも収録されています。)その他、下に独断と偏見で注釈を付けてみましたので、お楽しみください。
○さて、この本ですが、どういう代物かと申しますと、世界の詩とメルヘンという副題がついておりまして、じつは世界の詩とメルヘンというセットの一部。「メルヘンの部屋」単独の価格の記載がないことから、発行当時のバラ売りはなかったと推測しますが、現在古本屋さん等では、メルヘンの部屋のみ、あるいは、同じくセットの一部の詩画集のみで出まわっていることが多いです。
→は?どういうこと?世界の詩とメルヘンって何?
○現在の当店の在庫も、このメルヘンの部屋のみ。しかしながら、セットのカセットはそれほど聞いて楽しいものでもなく(笑)、詩画集と共に、あまりセットの関連性(テーマの共通性)は見出せませんので、これだけで充分価値がある、というより、これが一番価値がある、と思います(あくまで私的見解)。 例えば、第2巻の場合、「世界の音楽」のカセットタイトルは「エーゲ海の真珠」、詩画集は「パリ・スケッチ」、「メルヘンの部屋」は「星空のコンチェルト」ですし。
発行当時の評価はともかく、今となってはカセットだけがあるよりもメルヘンの部屋だけがあるほうが、100倍価値有りだと思います(あくまで私的見解)。
→※世界の詩とメルヘンって?
「メルヘンの部屋1 365日の花ことば」
絵/熊田千佳慕
その名の通り、365日の花ことば紹介。
「メルヘンの部屋2 星空のコンチェルト」
絵/枇杷連、詩/武鹿悦子
絵と詩でつづる12星座の紹介。
「メルヘンの部屋3 メルヘンの世界から」
矢川澄子(文)と12人の画家による。
12人の画家=宇野亜喜良、牧野鈴子、東逸子、味戸ケイコ他。表紙は味戸ケイコ。
いろんな童話の一番いいところに素敵な挿絵。
「メルヘンの部屋4 愛の12月」
詩/若谷和子、絵/牧村慶子
12ヶ月の月の名の由来紹介。
「メルヘンの部屋6 花の伝説」
文/内山登美子、画/深沢邦朗
それにまつわるギリシア・ローマ神話で紹介する花々。
「メルヘンの部屋12 花ことばによせて」
詩/若谷和子、画/篠田昌三
花ことば紹介。
「メルヘンの部屋13 数字たちのティータイム」
画・レイアウト・文/直江博史
直江博史がマルチな才能を発揮して、オッシャレーな絵本。
「メルヘンの部屋14 色の小宇宙」
文/楠田枝里子、絵/佐藤和宏
楠田枝里子(文)、ではありますが、引用されている短歌は須永朝彦、塚本邦雄、詩がランボー、ロルカ、宮沢賢治…など。
「メルヘンの部屋15 イニシャルのささやき ミステリーの世界より」
各務三郎(文)、東逸子(画)
各務三郎による、ミステリー界の人気者紹介。イニシャル順。Hはホームズさんという具合。
→ホームズつながり
「メルヘンの部屋17 エスプリの小箱」
河盛好蔵(文)、司修(画)
ここを切り取ってみろとか、逆さに印字したりとか、徹底的なお遊び。まさにエスプリ。ふくらんでいるように見えますが、錯覚です。
世界文化社発行。 恐らく、全18巻。発行時定価は各巻¥3200。当時としては高価ですね。発行日の記載はなし。独特の雰囲気から言って70年代後半でしょうか?
例えば、「世界の詩とメルヘン第7巻」の場合。右上から時計回りに箱、メルヘンの部屋、詩画集、カセット。各巻箱入りで、以下の3種類がセットになっています。
▼メルヘンの部屋という本。
約15.3cm×10.4cm、約30ページ、小さくて薄い本です。様々なテーマと様々な執筆者。
▼「世界の音楽」というカセット
全曲唄ナシのムード音楽(というのでしょうか?)です。
▼詩画集
約15.3cm×10.4cm、約30ページ、小さくて薄めの本です。各巻とも、詩1篇につきに1ページ、さらにその挿絵に1ページを割いています。詩の著者はリルケ、ゲーテ、プレヴェール、コクトォ等々、じつにさまざまですが、絵はどの巻もすべて松永禎郎。