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● ミニミニ特集 ダメだったら! ●
▼ドキドキ。

ダメ、ダメだったら! というドキドキ感が印象に残る本。メルマガ(2005/8/20)より。
<単純なホラー
ではないドキドキ>を目指して作成しながら挫折しているミニ特集です。

飲んじゃだめ。

今夜、すべてのバーで中島らも/講談社)

現在も流通中。

過去に何度も強力推薦している本。
世の中に、クスクス笑えてホロホロッと泣ける本が一体どれだけあるか考えみると、そんなにない。これは、人生が良きものに思える、ちょっとした傑作です。

アル中の主人公が入院して禁酒する話です。
飲んじゃダメ。死ぬから! 読者は彼に生きて欲しいと願うはずです。
なのに、彼は何度も誘惑にかられて…
ここがドキドキするのです。飲みたい気持ちがとってもリアル。さすが、らもさん。

→テスト付きつながり
→泣ける本ランキング

負けちゃだめ。

奇跡の少年 角川文庫(オースン・スコット・カード/角川書店)

現在、品切れ、または絶版。

『ソングマスター』を読んで以来、私が注目しているカードの描く「ファンタジーの最高峰(帯より)」。

7番目の息子のさらに7番目の息子は奇跡の少年となる、そんな言い伝えのままに、超能力のある少年が悪魔と戦う、その序章。
少年が運命に立ち向かう姿が、じつにカードさんらしいです。

これも途中、ドッキドキのところがあります。
少年の父がね─。
悪魔の誘惑です。悪魔のやりくちが非常に地味におそろしいです。

→天使つながり

弾いちゃだめ。

無伴奏ソナタ ハヤカワSF文庫(オースン・スコット・カード/早川書房)

初版 カバー・帯ともに背ヤケ カバーにしわ有、カバー端や背に痛ミ。
昭60年発行
現在、品切れ、または絶版。稀少傾向。

SF中短編集です。表題作『無伴奏ソナタ』の他、珠玉の10編を収録。

『無伴奏ソナタ』。その世界では、音楽の才能のある子供には、一切の音楽を聞かせずに育てます。人の作った音楽を聞いてはいけないのです。影響を受けるから。純粋にオリジナルな音楽を作らなければならないのです、天才は。

なのに、主人公の少年は─。そして、─で─なのに、彼は─。
と、読者の気持ちを揺さぶり続ける展開です。

→音楽と小説の関係

行っちゃダメ。

アイランド(ピーター・ベンチリー/早川書房)

初版 カバー 昭54発行
現在、品切れ、または絶版。

バハマ沖で過去3年間に600隻以上、数千人の人間が消えている。
トクダネをものにしようと考えた記者メイナードは、問題の島周辺へ旅立ちます。12歳の息子を連れて。

本書はね、どちらかと言えば男性向けの恐怖です。『宝島』系の恐怖。冒険としての恐怖。
行っちゃいけないと言われると、余計行きたくなる。それは分かるけど、行っちゃダメだってば〜! 読者はこういう展開になれっこで、もうかなり始めから、ダメダメダメと、思い続けるわけです。

→島つながり

嘘はだめ。

泣き声は聞こえない 創元推理文庫(シーリア・フレムリン/東京創元社)

現在も流通中。

ひと夏の経験をしてしまったヒロインはあっけなく妊娠。そして堕胎。ヤケになって家出をします。おなかに詰め物で、妊娠したフリをして。
彼女がいっしょに過ごすようになった、とあるグループの人たちは彼女のウソ身の上話(未婚の母ということ)に理解と同情を示し、妊婦であるおかげで親切に大切にされます。
日は過ぎ、彼女の出産が待たれます。

さぁ、どうする? どうする? 待っても生まれないんだよー。
ドキドキ感とプレッシャーがチト心臓に悪い、妊婦サスペンスです。

→妊婦つながり

使っちゃだめ。

MD 上・下 文春文庫(トマス・M・ディッシュ/文藝春秋)

現在も流通中。

あれほど心から信じていたサンタクロースの幻想が打ち砕かれたあと、六歳の少年ビリーの前に現われたものは、異教の神マーキュリーと名のった。そして、死んだ鳥の翼をくくりつけた一本の杖を残していった―<カデューシアスの杖>。それに呪いをかければ、願うことがすべてかなう。が、それには大きな代償もともなう…。(あらすじより引用)

というわけで、由緒正しい「3つのお願い」のバリエーションと申せましょう。しかーし、3つなんてもんじゃありません。何個でも叶います。何個でも。約束を守って、うまく使えばね。
まず入手したのが6歳の少年だというところに着目してください。ダメ、ダメよ、ビリー、ダメだったらー! そんな連続。すごく疲れますが、読ませます。

→私の個人的感想(お風呂本日記)
→三つのお願いランキング

そうなるのは分かってるからだめ。

ベルセルク ジェッツコミックス(三浦建太郎/白泉社)

流通中。

弟に借りた少年マンガです。
マンガを読まない方にもオススメ。グロいですし、エロいこともありますが、まぁ許容範囲内かと。

現在も刊行中の大長編。

何が素晴らしいと言って、構成が素晴らしい。私、こういうの大好きです。
現在の状況を説明しておいて、過去に戻るのです。因縁の過去に。恐ろしい出来事があった過去に。だから読者には、その過去が描かれていく過程で、恐ろしいあの瞬間が近付いてくるのが分かるのです。いや、ダメ、こわい。
私的には、その瞬間までの展開が一番盛り上がりました。

因みに、時間構成の巧さの際立つ少年マンガと言えば、20世紀少年(浦沢直樹/小学館)が挙げられるでしょう。冒頭、現在と過去を行き来する描き方が最高にしびれました。