最近、ジャンプ連載の少年マンガ「ヒカルの碁」のせいで小学生にも碁が人気だって聞きました。
知り合いの息子さんも、家族に対しては向かうところ敵なし。すっかり気を良くして、県の小学生大会に出たら、一度も勝てずに帰ってきたそうです。うふふ。で、碁じゃないんですけど(ないんか)、今回はチェスの話つながり。チェスが出てくる話。チェスも印象的な小道具ですよね。
関連項目→遊び→トランプつながり▼強力すぎる敵。
「殺戮のチェスゲーム 上・中・下 ハヤカワ文庫」
(ダン・シモンズ/早川書房)
敵が途方もなく強い話って、ありますよね。
途方に暮れちゃう強敵っています。どう考えても勝つのは無理そう。
さてどうするか?
ちゃんと勝てるのか、勝つのならどうやって勝つのか、知りたくて俄然ヒートアップです。アクション映画で例えて言うと、主人公が両手両足しばられて、目の前には時限爆弾っていうおなじみの状況。こっからじゃないですか、面白いのは。
この、殺戮のチェスゲーム、敵は議論の余地もなく悪いヤツらで、しかも強い。人間をコマにしてチェスをするの。取られた駒は当然…。逆らおうとしてもムダ。心を操ることができるマインド・ヴァンパイアだから。さあ、あなたならどうやって戦う?!
→ドラキュラつながり
→悪いヤツが出てくるランキング
▼ゲームの途中。
「フランドルの呪画」
(アルトゥーロ・ペレス・レベルテ/集英社)
ゲームの途中って、ロマンがあります。
これからどうにでも転ぶ。だから、ネタになるんだな。
これはまさに、そのゲームの途中のロマンをつかまえた話。
ゲーム途中の盤を見て、「!」ってされたら、
「?!」って思うじゃん。思うよね?
(文庫化されました。当店在庫はハードカバー)
→あらすじ→時を越える事件つながり
→ちょっと連想→「開いたトランプ」(クリスティ)
▼チェスじゃないけど、棋士の頭はどうしても気になる。
「対局する言葉」
(柳瀬尚紀・羽生善治/毎日コミュニケーションズ)
ジョイスのフィネガンズ・ウェイクの翻訳者として夙に有名な柳瀬尚紀さんと棋士・羽生さんの対談。
どっちかって言うと柳瀬さんが対談をひっぱって、ファン心理であれこれ聞いてるんだけど、柳瀬さんが羽生さんのことをいろいろ聞きたがる気持ちが私にはよく分かる。
だって知りたいんだもん。コンピューターに勝てる頭ってのを。
どんな風なの? どんな風に考えるの?
世界はどんな風に見えるの?
頭の中はいつもクリアな感じなの?
次の次の次の次の次の…(中略)…次の手は、どんな感じで浮かぶの?
どう贔屓目に見積もってもクリアじゃない頭の持ち主の私も、ちょっと羽生さんの首根っこつかまえて問い詰めたいもんね。
→意外な対談つながり
▼チェスはないんですよね(笑)→あるそうです。
「囲碁殺人事件 角川文庫」
(竹本健治/角川書店)
「将棋殺人事件 角川文庫」
(竹本健治/角川書店)
「トランプ殺人事件 角川文庫」
(竹本健治/角川書店)
ゲーム三部作として名高い傑作推理。チェスはないんですよね(笑※)。
名探偵はIQ208の天才少年、かと思えばそうではないんです。
彼の姉の恋人、飄々とした須堂さんなの。
「ハコの中の失楽」でも「ウロボロスの偽書」でも
共通して存在していた「薄気味悪さ」。この三部作の
登場人物たちは明朗・快活なのに、なぜかお話自体の薄気味悪さ
は消えない。一人でシンとした部屋で読んでいるとしみじみ怖くなるときが
あります。これはいったい何に起因してるんでしょう?
※その後、お客様にメールで「チェスもあるよ」と教えられました。ありがとうございます。失礼しました。
→トランプつながり
▼あたまいたい…
「シャーロック・ホームズのチェスミステリー」
(レイモンド・スマリヤン/毎日コミュニケーションズ)
チェスもオセロも愚弟に負けてしまう私、ちょっとバカなのだと思います。
こういう本を読むと頭痛いですもん。
ホームズさんが解いてみせてくれる、チェスの論理パズルです。
よく数学のクイズってあるでしょう?
ああいうのでさえダメな私はもうお手上げです。
「何さ!」って暴れたい。
数学系の論理クイズが好きで、さらにホームズ好きで、チェス好きなら3度おいしいです。
→ホームズつながり
▼チェス小ネタ。
「完全チェス読本 1 ハマってしまった人々」
(マイク・フォックス、リチャード・ジェイムズ 若島正訳/毎日コミュニケーションズ)
チェス好きにはオススメです。
副題が「ローマ法王からハンフリー・ボガートまで」。
それそのままタイトル通り、チェスにハマっちゃったいろんな人々のチェス・エピソードが
集められています。さらに興味深いことに、棋譜付き。
もちろん、棋譜のある人は一部だけですが、
カストロの冴えない(と書かれています)棋譜とか、
チェス上手の美人とナポレオンの棋譜とか、
面白いものもたくさんありますので、
見たい!と思われた方には、たまらんのではないでしょうか。
ところで、これは完全チェス読本(1)。
うちの在庫にはナイですが、じつは(2)(3)も発行されており、その紹介が掲載されています。
それがすごく面白そう!
(2)は最高クラスの天才の話題を、
(3)は最悪、最弱な成績、さらに<最も愚劣な助言>など悪いほうの話題を
収録している模様。ニヤニヤしちゃう。欲しいです。
▼チェス人間…
「火星のチェス人間 火星シリーズ5 創元推理文庫SF」
(E・R・バローズ 厚木淳訳 武部本一郎カバ−装画・口絵挿絵/東京創元社)
火星シリーズの1冊です。コアなSFファンに。
火星大元帥カーターの愛娘ターラは、
生きた戦士を駒にして、生死を賭けてチェスを戦う国に捕らえられる…。
この人間を駒にするチェス、意外に多い展開ですね。
少々驚きました。最近だとハリー・ポッター。それから、『殺戮のチェスゲーム』。ね?
→火星つながり
他に…「記憶 講談社選書メチエ」
(港千尋/講談社)
コンピュータ対人間のチェスの話がちらりと出ています。
「盤上の敵」(北村薫)
「盤面の敵」(エラリイ・クイーン)
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