迷子になったらまずHOMEへ

■幽霊つながり
ゾっとさせたり、させなかったり。悲しかったり、怖かったり。幽霊がフィクションに使われるときの味わいにはいろいろありますね。関連項目→怖い話ランキング

▼うぐっ。

わたしが幽霊だった時 創元推理文庫
(ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/東京創元社)

浅羽莢子さんの訳者あとがきが秀逸です。
著者ダイアナ・ウィン・ジョーンズの作品が毎回いかにバラエティに富んでいるか
ということをささっと語っています。それがなんともはや、ぐっと来ました。
思わずこの作家さんの作品を全部読みたくなります。
あとがきだけでも、立ち読みしてみてください。

さて、この作品は「ふと気がついたら幽霊になっていた『あたし』の物語」なので、
幽霊からみた世界です。「おかしくもほろ苦い時空を超えた物語(あらすじより引用)」
→タイムトラベルつながり

▼小説を書く幽霊?

「永遠も半ばを過ぎて」
中島らも/文藝春秋)

写植工の主人公がヤクでラリって目覚めると、
見たこともない文章ができあがっている。
彼と詐欺師の友人は、それをユーレイの書いた小説として
出版社に売り込むことを思いつく。
「今夜、すべてのバーで」「ガダラの豚」の著者にしてみれば、
ちょっと薄味ではあるけれど、着想がなんとも素敵じゃないですか?
題もいい。永遠も半ばを過ぎて。繰り返して陶然としてしまう良い響き。
これが他の題ではこうはいかないでしょう?
→ドラマな題ランキング
→中に本が出てくる本

▼きもちわるいってば。

「幽霊城 ホーンテッド・キャッスル」
(サイモン・マースデン写真集/トレヴィル)

好き好んで、いわくありげなところばかりを撮ってまわってる、
変人写真家サイモン・マースデンの写真集。

見れば見るほど、なんかありそう
です。
あのドラキュラの城もあれば、ジル・ド・レエのシャントセ城もある。
彼の手にかかるとベルサイユ宮殿まで気味が悪いからすごいです。
城という城がイヤになる本。でもつくづく見てみたい、変な本です。
→ドラキュラつながり
→城つながり
→ミニ特集04・トレヴィル

▼イイ感じのミステリーアンソロジー

「幽霊の森」
(北宋社)

幽霊ネタのアンソロジー。
ビアス「月明かりの道」、川端康成「離合」、吉田健一「化けもの屋敷」、
ワイルド「キャンタヴィルの幽霊」、ブラッドベリ「墓石」、
夢野久作「幽霊と推進機」他。全11編。
すべて再録で書下ろしなどはないですが、
これらが一堂に会していることの愉しみ、かな。
関連項目→唸る短篇集ランキング

▼忘れられない。

開いた窓(サキ)
※サキの短編集やショートショートのアンソロジーに
収録されていることが多いです。
(写真はちくま文庫ですが、私の好みとしては他の訳のほうが好きです。)

忘れられない話です。
強烈な印象を残しますね。名人芸です。
→完璧な短篇ランキング
→窓つながり

▼泣いたり笑ったり。

「図説オカルト恋愛辞典 花とゆめコミックス」
(明智抄/白泉社)

素晴らしいです。 
笑ったり泣いたりしちゃいましたよ、私。
霊能力のある少年が主人公。幽霊がらみの連作短編集。
蝶々の話と珠美おばちゃんの話が好きです。

▼ガディおばさん、好き。

「ガディおばさんのゆうれいたいじ」
(ウイルソン・ゲイジ作 マリリン・ハフナー絵 渡辺南都子訳/岩崎書店)
※難有り、注意!

ガディおばさんちには幽霊が住みついている!
幽霊は夜になると物音を立てるんです。
「いわゆるラップ音?」「ポルターガイスト現象?」とか言いたくなりますが、
いやいやいや、幽霊さん、かわいいんですよ。
それでもおばさんは幽霊を追い出すためにいろいろと罠をしかけますが…。
絵もラブリーで思わず微笑の絵本。
お子様大喜び!だと思うなぁ。
おいしそうな食べ物も出て来るので、今度
<本に出てくるおいしい食べ物>コーナーで紹介しますね。

▼う、泣いてしまう。

「如月坂の幽霊屋敷 花とゆめコミックス」
(神坂智子/白泉社)

恋している人にだけ見える幽霊、そんな幽霊が住んでいる家に
引っ越して来た一家の物語。
まずまず楽しめる、手練れの佳品といった感じですが、
幽霊の如月姐さんがいじらしくて、うっかり泣いてしまいましたよ。
203高地に発って行った軍人の彼を待ってる如月さん。
ダメ、こういうの、泣いちゃう。ウッ。

一家の中でも始めは長男にしか見えないの。
だって彼には好きな女の子がいるけど、他の家族にはいないから。
この辺りの設定が楽しいですよね。

▼タニス・リ〜。

「幻獣の書 パラディスの秘録 角川ホラー文庫」
(タニス・リー/角川書店)

幻想の都パラディスで、青年ラウーランは、不気味な屋敷に下宿。そこで美貌の幽霊に出会う。「その謎は遠くローマ時代にまで遡り、一族の呪われた運命が解き明かされてゆく…(あらすじより)」
わくわく〜。タニス・リー、美貌の幽霊、呪われた一族…ということで、
否が応にも期待が高まります。
→タニス・リーの著作在庫を検索する。

▼アフリカン・ファンタジー。

「ブッシュ・オブ・ゴースツ ちくま文庫」
(エイモス・チュツオーラ 橋本福夫訳/筑摩書房)

『やし酒飲み』につづくエイモス・チュツオーラの作品。
ナイジェリアの作家です。
やし酒飲みの時にも、さんざん、「衝撃」だと言われていましたが、
これもやはり西洋に衝撃を与えたらしいです。

「町を出た少年が迷い込んだのは、ゴーストでいっぱいのジャングルだった。
ヨルバ族に先祖から伝わる物語をふまえて、
ドラム・ビートに乗せて紡ぎ出される幻想の世界(あらすじより)」
そうですね、ヨーロッパとかアメリカとかのアノ鼻持ちならなさにうんざりした時に
とことん癒してくれそうです。

▼ずぶぬれの女がしょんぼりと。

「自選人形佐七捕物帳3 舟幽霊 角川文庫」
(横溝正史/角川書店)

人形みたいにオットコマエの佐七の捕物帳の3の表題作。

花形役者中村富五郎と乗り合わせた屋形舟で、
船宿のおかみさんに、「そこにズブぬれの女がざんばら髪で座っているー!」と、
悲鳴をあげられて、佐七唖然。
そのビジュアルイメージが心臓に悪い、でもそこがいい。横溝さんらしい短編です。
8編を収録。
→人形つながり

▼怖いほど辛口。

「でも私は幽霊が怖い」
佐藤亜紀/四谷ラウンド)

佐藤亜紀さんのエッセイ集。
1999年発行の単行本。
最近、ちくま文庫から出てるエッセイ集とどの程度内容がかぶっているのか、
あるいは丸かぶりなのか、
調べてないのでわかりません。
ちくま文庫のほう、持ってないんだもん。ごめんよ。要確認。

いつもおそろしいほど辛口な佐藤さんの本音エッセー。
わたしも、…そうだなぁ、匿名のブログを持っていたら、
賛成したいネタ多数です。小心者なので、言えないよ。
表題にもなっている「でも私は幽霊が怖い」では、
「見えはしないが気配がする」と書いておいでですが、
あれから12年経って今はどうなのかな。ワイドショー的関心でなんか知りたいです。

他に…吉本ばななの…なんでしたっけ? 死んだ人に会う話。