菊つながり…む、むりやり?
2個しか思い付かないけど、そのうち増えるはず!
関連項目→花→ミニ特集・薔薇は何本あるか?、→タンポポつながり、→椿つながり▼未完。
「乱菊物語 中公文庫」
(谷崎潤一郎/中央公論社)
谷崎さんの「異色娯楽大作」、「後篇を待たれながら、
なぜか前篇で中断されている。(あらすじより)」
室町時代の史実伝説を練り上げ、アナザーワールドを作っています。
異色と言われていますが、まさにタニザキ以外の何者でもないです。
戦乱の世と、お菊という登場人物の2つに因んで「乱菊」。
サグラダ・ファミリアみたいなもので、完成していなくても、
まったくかまわない、良さを損なわない、言うなれば別格、
その豊かな物語世界にひたっていれば幸せ、というレベルだと思います。いかがでしょう?
▼菊クラブ。
「菊花殺人事件」
「クイーン犯罪実験室 ハヤカワ・ミステリ文庫」収録作
(エラリイ・クイーン/早川書房)
クイーンの中短編集の収録作です。
被害者は菊作りが趣味のお金持ちの老人。
彼は菊花栽培協会の会員で、日本の菊クラブにも入会している。
そして、遺産狙いの子ども達に、彼が告白したところによると、彼の財産は法律事務所に使い込まれて、殆ど残っていない。値打ちのあるものといえば、金庫にしまってある菊のペンダントだけ。
当然、老人の死後、ペンダントも消えます。犯人は誰か?
▼宮尾節で。
「菊亭八百善の人びと 新潮文庫」
(宮尾登美子/新潮社)
現在(2004/04/13)、NHKでドラマ放映中ですね。
夫が吹越満かぁ。なるほどね〜。と思いました。
舞台は戦後まもなく。
老舗料亭八百善、と言えども、それは昔の話で今は普通のお金持ち、と
思って嫁いだら、店を再開することに…!
ヒロイン汀子、大変です。
いつもの宮尾登美子節、ぐいぐい読ませる大河ホームドラマ小説。さすがです。
※流通中です。
▼ヒナギクのお茶。
『ヒナギクのお茶の場合』
(多和田葉子/新潮社)
短編集です。
表題作は作家の「わたし」と、舞台美術を職業にするハンナのお話。
わたしはウイキョウとヒナギクのお茶の使用済みティーバッグをハンナのために残しておく。
ハンナが紙を染めるのに使うから。
「それから、ティーバッグというものも、使い終わったら捨ててしまうものだと、思い込んでいた。思い込んでいたことが多すぎる。ハンナに出会うまで(本文より引用)」
多和田葉子さんの作品を読むのは初めてです。
豊かな感性と漂う思索、それがそのまま文章になっているようです。
膝を打ちたくなる箇所がいくつもありました。
私はこの小説のラストが好き。
推理小説風に言わせていただくと、途中にさりげない著者のミスリードが紛れていて、
まんまとしてやられました。これ、わざとですよね?
声に出して笑うような小説ではありませんが、ただ愉しめばいいのだと思います。
→お茶つながり
▼他に…『青い菊の花』(「ひとつのポケットから出た話」の収録作)
(カレル・チャペック 栗栖継訳/晶文社)
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