迷子になったらまずHOMEへ

■刺青つながり
刺青の出て来るお話。私的には無縁ですが、いやらしかったり、おかしかったりする味わいが気になります。本質的に笑いの要素があるんですかね。痛みや我慢と直結していて、それがあまりにもあからさまだから?

▼名編だと思う。

「シンデレラ」
(『しようよ。』の収録作)
島村洋子/イースト・プレス)
2000年発行 現在、この版は絶版。光文社から文庫化して流通中。

店主の極私的オススメ中編、「シンデレラ」を収録しています。
それは、夫を愛する妻の話。
夫が彼女のおっぱいを触ってくれないのが 彼女の悩み。
とうとうキレちゃった彼女の思いつきとは?
刺青が関係します。でも、そこに至る経過が楽しいので、
書かないでおきますね。

▼格闘技ファンに。

「超老伝 カポエラをする人 角川文庫」
中島らも/角川書店)

中島らも、好きなんです。
個人的には(っていつも個人的ですけど)、
「今夜、すべてのバーで」と「ガダラの豚」の次にこれが好きかもしれません。
長年連れ添った妻に去られて○チガイになった菅原法斎老人。
陸軍中野学校で叩き込まれたサヴァイバル技術を駆使して
庭で飯盒でメシを炊き、トカゲを食って自活。
趣味はカポエラ。無敗。やくざにも負けない。
そんな菅原センセイん家に、モヒカン君が弟子入りし、
あわやのところを助けられたかわいい娘ッ子も同居することになります。
おもしろそうでしょ?

その娘ッ子のオトンが、刺青師だったハズ!
 そこに絡めた爆笑エピソードが、いかにも、らもさんなんです。
→離婚つながり
→老人つながり
→ミニ特集・メンズ・ライフ

▼いや、表紙が。

「自選人形佐七捕物帳1〜3
(羽子板娘、神隠しにあった女、舟幽霊) 角川文庫

(横溝正史/角川書店)

よろしいでっしゃろ?
人形みたいにオットコマエの佐七の捕物帳。2の表紙が刺青の女。出て来るんでしょう、きっと。(すみません、売れちゃって未確認)
人形佐七の作品だけなら、他の文庫でも読めますが、角川のこの表紙にこだわりたい!という方、いらっしゃるのでは?
カバー絵は杉本一文。
→人形つながり

▼古典戯曲。

「薔薇のいれずみ 新潮文庫」
(T・ウィリアムズ 田島博訳/新潮社)

「薔薇と薔薇色で埋められた家の中で、
胸に薔薇のいれずみをした亡き夫を偲びながら内職のミシンを踏む女の前に、
顔は道化ているが夫にそっくりの体躯の男が飛び込んできた…。」
(あらすじより)
大らかな悲喜劇、だそうです。

顔は道化ていて、体躯はそっくり…。
うぅむ。ちょっとその辺を検討したい。
→ミニ特集・薔薇は何本あるか?

▼問題作?

「みどりの刺青」
(ジョン・アボット/福武書店)

ちょっと問題アリの作品なんですね。なんか聞き覚えがあると思ったら、その辺の事情を小耳に挟んでいたのかもしれませんな。(気になった方は、タイトルでYahoo検索をかけてみていただくと、すぐ出ます。)
さらに、今となっては2重の意味で問題アリ、というか、時代にあった作品かも。
アラブ系テロリストですから。
→殺し屋つながり

▼ミステリ風でもあり。

「美少女 新潮文庫」
(吉行淳之介/新潮社)

吉行淳之介の長編。
混血の美少女三津子には刺青があります。

お尻に。子どもの頃から。
星と月。三日月は赤く星は北斗七星。七つ目の星は見えたり見えなかったりする。
白粉彫りですって。ちょっとエロティック。
ところがその三津子が失踪。

「手がかりを求めて近づいた女たちの太腿に、何故かみな同じ
女王蜂の刺青があるのを見る。」
「軽妙洒脱な文体と、ミステリアスな手法で、」
「屈折した愛の心理を解き明かす長編」(あらすじより)

▼ブラッドベリ

「刺青の男 ハヤカワ文庫SF」
(レイ・ブラッドベリ/早川書房)

最近品切れ、でも古本屋ではよくあるので、買っておきたいですね。(2004/3/18現在)

暑いのに、胸元から手首まできっちりボタンをかけた男。
彼は全身に18の刺青を、18の秘密の物語を隠していた。
「夜、月あかりを浴びると刺青の絵は動き出し、18の物語を演じ出すのだった(あらすじより適当に引用)」

わくわく〜とする読者の気持ちに対して、じつはテーマは重いのですが(宗教、人種問題、原水爆、宇宙旅行などなど)、その幻想性は間違いありません。「最も美しい、最も異様な短篇集!(あらすじより)」
このあらすじがウマイ〜ッ(笑)。

▼忘れられない1篇。

『皮膚』(ロアルド・ダール)
(※「あなたに似た人─ハヤカワ・ミステリ文庫」の収録作)
(ロアルド・ダール/早川書房)

ロアルド・ダールさんはほんとにうまいです。
この短編集もすべて、印象的な短編です。
中でも、この『皮膚』は、刺青を見る度に思い出すでしょうなぁ。

無名の画家に惚れこんだ刺青師のドリオリは、
ある晩の酔狂で、自分の背中をキャンバスにして、彼に絵を描かせ─
と、あらすじはこの辺でやめておきましょう。
ぜひお読みください。バリバリ流通中ですので、新刊本屋さんの立ち読みででも(笑)。

収録作の中では『南から来た男』も好きです。

他に…「刺青」(谷崎潤一郎)