雪、それは災厄。そう思うワタクシ、北陸生まれ、北陸在住です。コイツには酷い目に遭わせられたことしかありませんが、小説の中ではロマンチック。ちょびっと降るだけなら、大好きなんだけどな。
関連項目→手袋つながり、→雨つながり、→風つながり▼雪の女王。
『雪の女王 アンデルセン童話集2 角川文庫』
(アンデルセン 山室静訳/角川書店)
全10編収録。
この角川のアンデルセン童話集は、カバーも挿絵も藤城清治なんです。
せっかくなので、カバー画像をいつもより大きくしてみました。
(挿絵はモノクロです)
新潮文庫のアンデルセンよりも、その点で「買い」です。
3冊あって、すべて絶版ですが、古本ではまだ買えますので、どうぞ。
→ミニ特集・秀作カバー絵展覧会(藤城清治)
▼雪合戦シーン。
『恐るべき子どもたち セブンティーンコミックス』
(萩尾望都画 ジャン・コクトー原作/集英社)
コクトーの名作の漫画化。
冒頭、不安な雪合戦シーンがあります。
そしてその不安的中。
ポールが惹かれるダルジュロスの投げた雪玉が胸に当たり、
ポールは血を吐いて倒れます。玉の中には石が。
ポールがかばったにもかかわらず、ダルジュロスは退学、
ポールは病気で学校に行けなくなり、
意外にも早い段階でダルジュロスは退場しますが、
彼の幻影は後々までポールに影響を及ぼしていくことになります。
「失われた時を求めて」のマドレーヌのように、雪合戦シーンが心に残ります。
▼さすがです。
『ねずみとり クリスティー戯曲集3 ハヤカワ文庫HM』
(クリスティー 鳴海四郎訳/早川書房)
マウストラップ、とそのままカタカナで訳されることもありますか。
ロングランを続ける有名ミステリー戯曲。
戯曲は読まないという方もぜひどうぞ。
さすがと言うしかないですから。きれーにまとまっています。
大雪で閉じ込められた山荘で起こる連続殺人。
大雪は簡単に密室を作り出します。
→閉所つながり
▼宇能鴻一郎の雪国。
『倫敦巴里 London
Paris』
(和田誠/話の特集)
和田誠の傑作パロディー集。わたしが一番好きなのは、暮らしの手帖ならぬ「殺しの手帖」かな。かわいいんですもん。「毒入りのおそうざい」とかね。
007の贋作漫画集もすてきです。トシコ・ムトー風007、長新太風007、加藤芳郎風007、小島功風007…。
でも川端康成の『雪国』のパロディもすてがたいな。植草甚一の書いた雪国、横溝正史の雪国、星新一の雪国…。宇能鴻一郎の雪国に爆失笑。
→詳しくは
▼静かなエンターテイメント。
『スノードーム』
(アレックス・シアラー 石田文子訳/求龍堂)
アレックス・シアラーさんの作品は、いつも優しくて、明瞭です。
痒いところに手が届きまくっている作品は、充分に面白がらせてくれるし、泣かせてくれる。
でもちょっと明瞭すぎるのではないかとも思います。
ある映画監督が自作について言ってましたっけ。「エンターテイメントなんだから、ツボを全部押すように作るんだ。だから見ると楽しくて気持ちいい」って。
それはそうです。私もそう思う。そう思う時、アレックス・シアラーさんにOKサインを出せるのです。
『スノードーム』もまた、明瞭な愛の物語です。しかし、いつものシアラーさんよりトーンが静かなのは、対象が愛だからでしょう。愛を声高に叫んでも仕方ないですから。
その静かさが作中の「スノードーム」、「闇の速度」にぴったりと合っています。
おみやげものにあるような、ドームの中の街のミニチュア。水がつまっていて、振ると雪が舞うアレ。
あれ(に似たもの)を異常なほど大切にしていた青年が失踪。残された小説に書かれていたこととは?
※流通中
▼他に…『ホワイトアウト』(真保裕一)
『雪のひとひら』(ギャリコ)
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