■なんでもランキング P1(1)


▼本歌取り?ランキング

本歌取りというのは言いすぎですが、元ネタのある題も気になるものです。 「あー、あれはこれが元ネタだったのかー」と後になって気付くこともあれば、「なるほどそう来たか」と微笑することもあります。というわけで、元ネタのある題ベスト4。


小人たちが騒ぐので 『小人たちが騒ぐので』(川原泉/白泉社)

川原泉さんのマンガエッセイ。のようなもの、かな。最近、ちっとも新作を書いてくれなくなった少女マンガ家・川原泉さん。なんでもいいから書いてくれと念じていたファンも多いはず。 「ブレーメン」も出ましたが、なんだか…古き良き昔をなつかしんでしまいました。昔はよかったなー。 そうそう、そう言えばブレーメンのヒロイン「キラ」が出てたのは「アンドロイドはミスティー・ブルーの夢を見るか?」。これも元ネタありですね(『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』)。 →アンドロイドつながり


小人たちがこわいので 本歌・『小人たちがこわいので』(J・ブラックバーン/東京創元社)

いい題だなーと思ったら、童謡から取ってるんですね。童謡から取った題にはおそろしくて気の利いたものが多いですね。有名なところではクリスチィの「そして誰もいなくなった」ですか。私はその恐ろしさに震え上がった記憶があります。童謡モノは怖い! さて内容はと言えば-、「だれも猟に行く勇気はない、小人たちがこわいので」、この童謡と続発する事故や殺人は関係あるのか? 「血も凍るオカルティズムの恐怖を背景に巧妙なサスペンスが展開する。非凡な構成の才を発揮するモダン・ホラーの第一人者ジョン・ブラックバーンの初紹介(内容紹介より)」。科学とオカルティズムの2重螺旋が、息もつかせぬサスペンスフルな展開を呼び込みます。おすすめ。


ゲームマシンはデイジーデイジーの歌をうたうか 『ゲームマシンはデイジーデイジーの歌をうたうか』(小野不由美/ソフトバンク)

小野不由美著。水玉螢之丞画。 十二国記の著者小野不由美さんが、ゲームについて熱く書きたおす。雑誌スーパーファミコンの連載をまとめて出版。 喫茶店などで「○○の××はどこにあるのか?」などという話題が聞こえてくると、教えたくて仕方がないけど我慢するとか、格闘ゲームで初心者がめちゃくちゃに連打するうちにコマンドが入って、上級者でもタコなぐりにされちゃうことがあるから注意だとか…。ゲームをする人ならきっと、うんうんそうそうと、うなづいて笑っちゃいます。96年発行なので、ロマサガやFFⅣやストⅡなど今はもう懐かしいゲームについてのエッセイになります。あなたが小野不由美ファンのゲーマーなら一粒で2度おいしく、さらに女性なら3度おいしく、さらに水玉ファンなら4度おいしく、…と、楽しみのつきない、おいしい本です。水玉螢之丞劇場(各2ページ)が10個あります。最後、あとがきがわりに小野さんと水玉さんの対談があり、これがまた笑えます。


アンドロイドは電気羊の夢を見るか 本歌・『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』(フィリップ・K・ディック/早川書房)

言わずと知れた映画「ブレードランナー」の原作。あまりにも高名で、あまりにもインパクトがあって、あまりにも名作なので、この題はあちこちで元ネタにされていますね。 人間らしさとは何か? 心とは何か? アンドロイドやA・IをテーマにしたSFに出会うとき、わたしたちがもの悲しくならずにいられないのは、必ず、ここに触れてくるからでしょう。機械として扱われて、一人お空を見上げてるアンドロイドを見て─(アンドロイドは泣いていないのに)─悲しくなって涙してしまうのがわたしたちの心?
→アンドロイドつながり
→羊つながり


ゴドーは待たれながら 『ゴドーは待たれながら』(いとうせいこう/太田出版)

いとうせいこうの戯曲。「幻覚カプセル」もそうだったけど、ほんとにこういうことをやらせると生き生きと輝いてくる個性は一見の価値アリです。 ファンには気になる1冊。題も秀逸だし。でも元ネタありの題の面白さだけを言えば、下記「後藤を待ちながら」に負けてる気がするんですけども、いかが?


後藤を待ちながら 『後藤を待ちながら』(「日曜日の夕刊 」収録作)(重松清/毎日新聞社)

他にも、ゴドーが後藤になってた作品があったような気がするのですが、 思い出せなくて調べててぶつかったのはこれだけでした。 重松清の短篇集の中の1篇です。
→曜日つながり


ゴトー先生を待ちながら 『ゴトー先生を待ちながら』(「オタクと三人の魔女」の収録作)(大原まり子/徳間書店)

これでした。どこかでゴトー先生を見たと思ってたんです。これでしたよ。 何と言えば正しく伝わるのか、非常に悩ましい小説ではありますが、 SFではないので(多分)、大原まり子食わず嫌いの方にもオススメしたい、 のは山々だけれども、しないでおこう(笑)。 これが初めて読んだ大原まり子になっちゃうと、誤解を招くこと間違いないから。 大原さんの中の、特にキッチュで強烈な部分だけで小説になったような、 変な人々の織り成す現代小説。むしろ大原まり子が好きでたまらない人にだけオススメしましょう。 「ゴトー先生を待ちながら」は、物語のオマケ編。サイドストーリー。
→魔女つながり


ゴドーを待ちながら 本歌・『ゴドーを待ちながら』(サミュエル・ベケット/白水社)

戯曲。題の通り、登場人物はゴドーを待っている。でもゴドーは来ない。最後まで来ない。 ゴドーが一体、どんな人物で、なぜ待たれているのかも分からない。ゴドーって何なんだ? それが問題だ、って話(だと思ってます。自信なし)。 カタルシスのない話が耐えられない人には、どうにも耐えがたくはあるけれど、夏の夜の街灯のような抗いがたい光を放つ、死ぬまでには読んでおきたいベケットの代表作。


▼おまけ・「いさましいチビのイラストレーター」(水玉螢之丞さんの肩書き)

こんなもんいかがっすかぁ 『こんなもんいかがっすかぁ 上・下』(水玉螢之丞/株式会社アスペクト)

SFマガジンでも笑える連載をされてる水玉螢之丞さんの肩書きは「いさましいチビのイラストレーター」。 因みに私は「いさましいチビの古書店主」? 水玉さんの書いている、コアなSFネタやゲームネタは半分くらいしか分からないのですが、 それでいいのだと思っています。いいでしょう?


いさましいチビのトースター 本歌・『いさましいチビのトースター』(トーマス・M・ディッシュ/早川書房)

別荘で主人に置き去りにされた電気器具たち。 「みんなでだんなさまを探しに行こう!」言い出したのは ちびのトースターでした。というお話。 トースターや掃除機の冒険の旅。心温まるSFメルヘン。 「いさましいチビのトースター火星へ行く」(笑)という続編も出ています。


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▼ふざけてないのに笑っちゃう題ランキング

本には必ず─と言うかまぁたいていは─題がついていて、それで人は内容を推測しますよね。面白そうだなとか、純文学そうだなとか、くだらなそうだなとかね。題を見てからあらすじを読むわけで、下手をするとあらすじより題のほうが大事ってことにもなりかねない。だから、作家たちは題に凝るのだと思います。さてふざけた題ならともかく、ふざけていないのに笑える題って言うのが世の中にはありまして…。というわけでふざけてないのに笑っちゃう題ベスト4。


20億の針 『20億の針』『一千億の針』(ハル・クレメント/東京創元社)

「20億の針」異星人の探偵と犯人が地球に不時着。ゼリー状をした体の彼らは、地球人に寄生しないと生きていけません。探偵も犯人も地球人に寄生して捕り物を続行するんですけど、20億の人間の中から犯人を見つけようとする探偵の苦労は、あたかも、わら小屋の中で1本の針を探すようなもの、というお話。その続編が「一千億の針」なんですけど、書店で見かけてプッと笑いました。あのー、増えすぎでは?


泰西少年愛読本 『泰西少年愛読本』(須永朝彦/新書館)

なぜ笑うかと言うと、一見すると2種類の読み方があるから、なんです。須永さんが書いてるからには、「少年愛・読本」だと思う向きは、それで正解なんですが、「少年・愛読本」と読む方もいらっしゃると思うんですよ。少年・愛読本ならなんにもアヤシくないんですよね。くす。 さて、あなたはなんとお読みになりましたか? →美少年つながり


ジャガーになった男 『ジャガーになった男』(佐藤賢一/集英社)

直木賞作家・佐藤賢一のデビュー作。夜の都会を疾駆する1台のジャガー、ウェットとエスプリきらめく都会派小説、だと思ったんですよね。これはくだらなそうだ、と。でもそうじゃなくて、ほんとにジャガーになるんです。あの動物のジャガーにね。びっくり。そのままやんけ。そのままの題を付けてるんだから、ここでネタバレを気にしなくてもいいですよね?
→変身つながり
で、これと正反対の意味で微笑するのが↓かな。


これは餡パンではない 『これは餡パンではない』(三浦俊彦/河出書房新社)

表紙はアンパンが浮かんでる絵なんですけどね。金井美恵子さんの言う、「高橋源一郎以来、初めて、文学に笑いを持ち込んだ作家」三浦俊彦の芥川賞候補作。芥川賞もやりますな。でも受賞しないところが芥川賞。面白いです。


▼おまけ

▼題からあらすじを想像する話→ 「陽気なヴッツ先生」(ジャン・パウル/岩波書店) ヴッツ先生は貧しくて本が買えず、有名な本の題名を見て、自分でお話を作る。

▼登場人物紹介からあらすじを想像する話→ 「主な登場人物」(清水義範/実業之日本社)

清水義範がハードボイルドの巨匠チャンドラーの「さらば愛しき女よ」(レイモンド・チャンドラー/)の登場人物紹介のみを見て、犯人を当てようとする実験的パロディ小説(?)。清水義範はがんばって結論を出すんですけど、それが当たってるかどうかは2冊を読んだ人のみのお楽しみってことで。 表題作の他14のパロディを収録する短篇集。

主な登場人物


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