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多分、一番!
『世界短編傑作集 全5巻 創元推理文庫』
(江戸川乱歩編/東京創元社)

我が心のミステリアンソロジーです。さすが乱歩としか、言い様がありません。これ以上の短編集はない、と思うなぁ。
あんなのやこんなの、バラエティに富んで、飽きさせない。収録作品はどれも筋運びもトリックも鮮やかな名作ばかりなんです。この5冊を読めば、名作短編に大体目を通したことになる、ミステリ入門書と申せましょう。<この人の作品面白い!>とか、<このシリーズ読みたい!>とか、ここから広がっていく楽しみも多いはず。
時代が時代、選者が選者なだけに、古典が多いですが、古さを感じさせませんから、御安心を。
題を見ているだけでワックワク。
あー、あの話だぁなどと、知っていても楽しめるのが名作の所以ですよね。
この旧デザインは勿論絶版。やや品薄。新版(一部流通中)も品薄になりかけのようですので、そろそろ押さえておいてもいいかなと思います。

完璧。
『星の時計のLiddell 全3巻』
(内田善美/集英社)

超名作少女マンガです。今改めて読んでもただ感心するばかり。
素晴らしい!
完璧!!
自分が漫画家じゃなくてよかったなぁと思いますね。漫画家だったら、もう約20年も昔にこんな作品ができてしまっていることに衝撃を受けずにはいられませんもの。
<夢の意味>は人類にとって、気になって仕方のない素材のようで、小説でも漫画でも、たくさんの名作を生んでいますが、これはまた、忘れられない1作です。ヒューが夢に見る家。その中で繰り返し出会う少女。
もうね、讃辞を惜しみませんことよ。
絵ももちろん美しいですが、セリフすべて暗誦したくなる、美文のマンガというのも久しぶり。「幽霊になった男の話をしようと思う だがどこから語りだそう」。そうやって幕を開ける内田善美の世界に今一度、どっぷりつかりませんか? 22世紀のために秘蔵したい本。

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今、話題の?
『稚兒殺し 倉田啓明譎作集』
(倉田啓明/龜鳴屋)

谷崎の偽作事件(※)で有名な倉田啓明の、自分名義の小説集。
金沢の自営零細出版社、
龜鳴屋さんがその心意気のみで世に送り出す、歪んだ魅力に満ちた小説集です。全部で10の中短編が、<耽美少年>、<偏奇傾怪>、<探偵腐稿>の3部に分けて編集されています。ニヤリ。
著者の性的嗜好を隠しても隠し切れない少年愛モノ、著者の変態性が如実に反映されたヘンテコ短編、龜鳴屋さん自らがC級と言い切るミステリ。その妖しの世界は、パックリと口を開けてあなたを飲み込むのを待っています。
造本も凝りまくり。真っ赤な加賀染縮緬装は美麗です。
最近、面白い本に出会えない、そんな嘆きを抱いている方にオススメしたいです。(一般の書店には並びません。
龜鳴屋さんの直販のみですが、当店でもご注文を承ります。申し訳ないですが定価です…。)限定499部。

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※倉田啓明…谷崎、芥川、逍遥などの偽作で原稿料を詐取。大正頃、活躍の作家。彼の谷崎の偽作が、昭和60年になって発見され、<谷崎の未発表原稿か>と騒がれる。

キュートとはこのこと。
『柳原良平 船の画集』
(海文堂)

アンクルトリスの復活で、またまた注目の柳原良平さんの画集です。
1冊まるごと船。船大好きなんですって。他にも船関係の著作たくさんありますもんねぇ。
この本でも、コロンブスのサンタマリア号や、ヴァイキングの船、クイーンエリザベス号、鎌倉丸や秩父丸と、描きまくってます。

こんな感じ(→)。カラー20枚、モノクロ24枚。カラー20枚のうち、4枚は貼り込みです。(別紙に印刷したものを貼ってあるタイプ。これが嬉しいのは私だけじゃないはず!)心底、楽しそう。かわいいので、殿方ならずとも、目尻が下がります。よろしいなぁ。
ファンの方におすすめ。
→ミニ特集・メンズ・ライフ

すばらしい、と思うんだけど。
『サンプル・キティ 全4巻 花とゆめコミックス』
(明智抄/白泉社)

今、明智抄推進運動中なんです。個人的に。

そのむかし、同じ作者の
始末人シリーズを目にした時は、言い知れぬショックで(笑)、変すぎる!と理解不能の烙印を押したものでした。いやぁ、若かったので。

でもあれから数年を経て再会した彼女の作品は、生き生きしたヘンテコさで、私を魅了しました。相変わらず、絵はちょいヘタクソですが(失礼)、お得意の<日常の中の陥穽>は、SFと出会うとエライ素敵なことになりますね。

これは全4巻の長編。でも、そもそもの始めから練りに練られた物語らしく、1巻目から張られた伏線や設定をじつに見事に後々まで生かしきっていて、最終巻を迎えてもジタバタすることなく、美しく終わるんです。感心ーッ。
ストーリー展開のことだけを言えば、本当に非凡な才能です。涙あり、笑いあり。

SFホームドラマという謳い文句。はぁその通り。ヒロインは平凡な主婦ですが、じつは超能力実験の…。というわけで、超能力、双子、そんな要素が大好きで、しかも、もの好きな人には超オススメの優秀少女漫画です。食わず嫌いの方にはぜひともお試しいただきたい。いずれ明智抄の時代がやってくる、と思っています。(ある意味失礼?)

※先頃、他社から復刊されました。それは流通中です。うちの在庫は花とゆめコミックス版です。

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どうしようか?
『こわれた月』
(たむらしげる/リブロポート)

ちょっと申し訳ないのですが、じつは、今まで私だけのお気に入りの人なのだと思い込んでいました。たむらしげるさんを。
私が知っていたのは、超お気に入り本
『殺し屋から愛をこめて』の表紙絵を描いておられたから。
でも、こんなモノが出るということは、みんなのお気に入りだったんですね。ごめん。

これは本ではなく、12枚の絵です。綴じてないので、一枚一枚飾れます。(上の写真は函。)
ぶあつーい紙に印刷されているので、そのままミニイーゼルに乗せれば、飾れます。(乗せなくても、立てかければ立つ位の厚紙です。)
帯がないのでよく分かりませんが、どうも帯に<こんなふうに飾れる>と説明されていたようですな。あなたならどんな風に使いますか? 私は見せる収納の、ディスプレイラックなんかにいいんじゃないかと妄想しました。

右が内容見本(?)。裏面には椎名誠さんが寄稿しています。曰く、「たむらしげるさんの魅力は<男の懐かしさ>というものではないだろうか」。うん、そうねぇ。クジラ見物、ふりこ、サボテンの国、満腹の星、化石堀り、財産の管理、ネジが降る日、点火、ねじの時代、ジャイロ、ゼンマイ・ヒコーキ、空へ帰る人。の12作品

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見かけによらず、豪華です。
『架空幻想都市 上・下 ログアウト冒険文庫』
(めるへんめーかー編/アスペクト)

めるへんめーかーさんが企画編集した「架空の街」がテーマの短編集。パソコン通信で企画が練り上げられたとか。まぁとにかく、収録されている作家さんの顔ぶれがすごいです。豪華メンバー!!
まず上巻には、
小野不由美、妹尾ゆふ子、岬兄悟、菅浩江、矢崎麗夜、久美沙織ら9人。
下巻には、谷山浩子、高瀬美恵、
大原まり子、羅門祐人ら9人が参加。
1人1作。上下巻で全18編。プラス、そのうちの数人が参加したリレー小説1編です。
いろんな意味を帯びやすいテーマのためか、メンバーのせいか、バラエティに富んだ作品集に仕上がっています。
メンバー紹介だけで、3杯はメシが食えそうな(?)、持ってうれしい文庫本です。マイナーな文庫で稀少気味。持っている人は自慢しましょう。エッヘン。

→すごいメンバーつながり

※収録作タイトルは小野不由美「倫敦,1888」、菅浩江「代理原稿」、谷山浩子「じじい屋」、大原まり子「MOMENTS IN LOVE」。など。

た、たのしすぎる。
『ピラミッドの謎 絵がとびでるミステリー(2)』
(イーアン・スミス/ポプラ社)

その名の通り、飛び出す絵本です。そしてミステリーです。誰が宝石を盗んだのか?
登場人物の鞄の中を見て推理したり、何やらキューと引っぱって手がかりを発見したり。
お子様向けの簡単なストーリーではありますが、それでも3通りの結末を用意したのは立派です。

右が、一番派手なページを開いた写真です。
なかなか手間ヒマかかって、お金もかかった造本で(発行時定価¥2000!)、ちょっとバブルの残り香がありますよねー。高い絵本です。それが祟ってか、今は品切れの模様(もしくは絶版)。シリーズのようですので、できれば他の作品も欲しいです。

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あらっ。
『美しい手紙 恋人へ夫へ妻へ子供たちへ』
(清川妙/芸術生活社)

<誰それが、誰それに宛てて書いた手紙>、そんなネタが昔から好きです。
好きなのは私だけではないらしくて、世の中には、手紙を集めた本は多いです。
これは、その中でも目立ってイイですね。誰かの書いた手紙を引用しつつ、書き手の人生を語り、そこに至った経緯を教えてくれる筆致がじつに優しくて誠実。分かりやすく、抒情性に富んでいて、<美しい手紙>を語るのに良い効果を上げています。イイ!
岡本かの子から太郎へ、夢二から彦乃へ、堀辰雄から妻へ、ルイス・キャロルから少女たちへ、モンゴメリからペン・フレンドへ、などなど全22章。
殊に岡本かの子や
モンゴメリの手紙には思わず感涙でした。
しかも、このハッとする装幀は─ハイそうです。宇野亜喜良です。モノクロですが挿画も章毎に入っています。宇野亜喜良描く岡本かの子、アリス、ゴッホ、鴎外、夢二調彦乃さん。見たいですよね。
一見何気ないけど、持っていたい本です。おすすめ。

→手紙つながり
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もわーん。
『アルマジロの木』
(山田玲司/どうぶつ社)

メルマガ読者のみなさまへ
おかげさまで売り切れました。ありがとうございますー。

なんだろうと思って読み始めてみたら…。もわーん。気に入りましたー!
著者はマンガ家さんなんですね? そう言えば、見かけたことがあるように思います。主な作品は「Bバージン」「インディゴブルース」とな。でもひょっとすると、これが最高傑作になったりして。

何がいいかと言うとまず、装幀がいいですね。題がアルマジロの木でしょ。横型のハードカバー。表紙をめくると見返しに、小さな三角▼の繰り返しのぼこぼこした紙を使用しています。なんかアルマジロっぽいでしょう? ここですでに見過ごせない気持ちになるわけです。
読みすすむと、文字数も少なく、色鉛筆で書いた絵本のようなタッチ。一人の男が旅をしている。「これはヒューマンな話の絵本なのか?」と思えば、…。気持ち良く裏切ってくれます。すごくね、<間>がいいんですわ。間(ま)で、もわーん。ボケ(?)が浸透する間の妄想で、もわーん。よくできた漫才のようです。
しかも途中で転調します。私の見解では、最後にさらに転調があるようで、およよと思わせてくれます。SFチックな妄想を誘われました。あなたの意見はいかがです?
大人の絵本、でもお子様にも読んでみてほしい。読んだら愉快な子に育つかも。
私の一押し台詞は「似合ってるよ」です。読んでみてほしいな〜。

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