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■超能力つながり
考えてみれば、SFにも、マンガにも、コミカルな小説にも使えるネタなんですよね。かなり多くてびっくりしました。ドラマ「トリック」も楽しかったですね。最近はサイキックな仏教もなぜか流行りでして、仏教つながりを内包するのではないかと思います。

▼十八番の超能力。

「弥勒戦争 ハヤカワ文庫JA」
(山田正紀/早川書房)

この著者の十八番ですね。
サイキックなSF(?)。
超常能力ゆえに自らに滅びの運命を課す独覚一族。
要するに、子孫を残さず消え失せるのが掟。
第三次世界大戦を起こそうとする正体不明の悪の独覚を
追う主人公たちの前に、<弥勒>が現れる…らしいです。
(只今、店主のお風呂本です。2003/04/13現在。その後読了。
これはお風呂本ではありませんので御安心を。店主の読後感想は
こちら。)
弥勒かぁ。弥勒も謎が多いアイテム(?)ですよね。
※ハルキ文庫で流通中
→仏教つながり(作成中)

▼ほろりとする超能力。

『光の帝国』
恩田陸/集英社)

これもやはり、超能力のある一族の物語。
相変わらずの著者の腕力にひっぱられて、
ずるずるずるカーッと一気読みしてしまいます。
一族の歴史には、ほろりとしてしまうエピソードもたくさん。
ウマイねと膝を打ちたくなりますね。
もの悲しさの中にも爽快感や希望のある作品です。
文庫でも出ています。

▼スカッとする超能力。

「ひと呼んでミツコ」
姫野カオルコ/講談社)

昔気質の一少女・ミツコにはじつは隠された超能力があります。
ミツコは人一倍我慢強く、堪えがたきを堪え、忍びがたきを忍ぶんだけども、
世間のあまりの非道に遭遇してその我慢が限界に達すると、
超能力炸裂。大暴れ。このカタストロフィがたまらん。
お役所仕事に泣かされた(激怒した)ことのある人には特におすすめです。
いろんな文庫版が出ていますが、うちの在庫は単行本。
→天誅つながり

▼たくさんの超能力。

『ユービック ハヤカワ文庫SF』
(P・K・ディック/早川書房)

要するに超能力者集団VS超能力者集団です。
どんな能力者を擁するかで、勝敗が決まりますよね。
(あ、今、HUNTER×HUNTERを思い出しました。)
いろいろな能力があるわけですが、
やっぱり最強なのはアノ能力ですよね。
そんな人とは付き合えないです。

ごちゃごちゃさせながらも、最後はしみじみさせるあたり、
ディックならではと言えるでしょう。

▼コワイ超能力。

「殺戮のチェスゲーム 上・中・下 ハヤカワ文庫」
(ダン・シモンズ/早川書房)

人の心を操るマインド・ヴァンパイア。人は彼らにゲームの駒として使われ、殺し合う。極悪非道を絵に描いたようなヴァンパイアたちの怖さは1級品。悪すぎです。しかも一人じゃない。
さてさて、心を操るような相手といかにして戦うのか、文庫本で3冊を費やして語られる戦慄のホラー大作。やめられません。
→ドラキュラつながり
→チェスつながり

▼カナシイ超能力。

「日出処の天子─花とゆめコミックス─」
(山岸涼子/白泉社)

聖徳太子は超能力者だった!
しかも超美青年だった!
というお話です。
少女マンガの永遠のモチーフ<孤独感>を扱いつつ、
古代朝廷の政治ドラマを渋く描ききっています。おもしろい。そして悲しい。
<望めばすべてが手に入るのに、本当に望むものは手に入らない>、
<誰にも理解されない>という王者の悲哀は少女の胸を打つのでした。
それはじつは王者だけのものではなく、特に思春期の蹉跌に通じるものだからでしょう。
世にも悲しい物語だと私は思っています。未読の方は是非。
→仏教つながり(作成中)

▼抒情的超能力。

「未来視たち ハヤカワ文庫JA」
大原まり子/早川書房)

超能力者を工作員として使います。
SFの超能力者はこのパターンになりますよね。
偉大な超能力者・大シノハラの統べるシノハラ・コンツェルン。
クローンである血族で固めたシノハラ・ファミリー。
「だが7人目のクローン・シンクは、宿敵コザイ家の少女とともに組織を
離れ、時空を超えて逃亡を続ける。(あらすじより)」

連作短編集。豊かで鮮やかで情感たっぷり。うっとりしてしまいます。
SF嫌いにも、騙されたと思って読んで欲しい作品の一つ。
(この作品世界とつながっているのが、「ハイブリッド・チャイルド」です)

▼アイディアに満ちた超能力。

「解体屋外伝」
いとうせいこう/講談社)

なんといっても、冒頭部分がすばらしい出来。
解体屋とは洗脳された人の洗脳を解く仕事人。
やり手の解体屋が昏睡から醒めるところから物語は始まるのですが、
昏睡の元はかつて洗脳屋に敗戦したことなので、
彼の脳には使うべき自分の言葉がありません。
彼は既成の言葉(他者のテクスト)を使ってなんとか蘇ります。
「おなつかしゅう!」と。
ね、傑作の予感でしょ? 個人的には最後まで既成の台詞のみで
語ってほしかったな。(無理だけどさ)
覚醒の間際、彼が自分の言おうとしていることが、
「他者のテクストの引用」に過ぎないのではないか、と躊躇するところが、
よくできているし示唆的だなと思います。 
→記憶つながり
→魅惑の書き出しランキング

▼トンデモ超能力。

『君はエスパー─エキサイティング・ゲームブック1─』
(頭脳集団アイデアファクトリー/桐原書店)

ゲームブックです。
「君は本当はエスパーなのだ」と<声>が降ってきた。
水、砂、地底、エーテルの四つの世界に行き、
使命を果たさねばならない君! ドドーン。
魔物と怪奇の世界の長い旅。だそうです。
→ミニ特集08・トンデモゲームブック

▼奇才の超能力。

「死神の惑星 全3巻 集英社アイズコミックス」
(明智抄/集英社)
「砂漠に吹く風 花とゆめコミックス」
(明智抄/白泉社)

あの
明朗健全始末人シリーズの明智抄さんが、
やってくれちゃった、瞠目のSF。
私的には、非常に感じ入りました。
アイディアもイイ。いわゆるネームもイイ。物語の展開もイイ!
連作短篇だってところも私好み!
(絵はちょっとヘタウマだけど。)

「死神の惑星」、主人公はテレパスの双子。相手の感じていることが、
我が事のように感じられると言います。
離れて育ったのに、握手をしたとたん、記憶が綺麗に二重写しになってシンクロし、
どちらでもない第三の自分になるようだ。というエピソード。
片方がマグロ丼を食べて片方が歯磨きをしていると、
マグロ丼味の歯磨き粉だ、というエピソード。グッと来ませんか?
双子の使い方のSF編優秀作です。
これがバカ売れしないのは何が理由?って暴れたいくらいで、
押しつけがましく、人にすすめています。
この2つのシリーズは同じ世界のできごとですので、
できれば合わせて読みたいものです。 
→セットで読みたいランキング
→双子つながり

▼集まる超能力。

『人間以上 ハヤカワ文庫SF』
(シオドア・スタージョン/早川書房)

「悪戯好きの黒人双生児、生意気な少女、発育不全の赤ん坊、そして言葉さえ知らぬ白痴の青年。かれらは人々から無能力者として扱われていた。しかし、彼らこそ、コンピューター顔負けの頭脳、テレパシー、テレキネシス、テレポーテションなどの能力をもつ超人だったのだ!(あらすじより適当に引用)」
面白いのは、1人だとささいな能力が、5人が集結したときに強大な力になる、というところ。かな。こういう、特殊能力者が集まるパターン、そそります。
→双子つながり

▼児童書の超能力。

「なぞのエスパー・チコマロン あたらしい創作童話49」
(川北亮司 長谷川芳一:絵/岩崎書店)

チコロマンだと思ってたよ(笑)。チコマロンか。

チコマロンにとりつかれたら、二ヶ月以内に死ぬらしい(と、
子どもたちの間では噂されている)。
カツトシはかいじゅう(ガチャピノス)の絵を描いて以来、
語尾に必ずガチャピノスと付けて話すようになってしまう。
チコマロンにとりつかれたのか─。
心配してくれたオトメと共に、チコマロンに時空を越えた世界へ?飛ばされる羽目に。

なんだかよくわからんですが、楽しげな話です。
よくわからんところがいいみたいです。

他に…
「しあわせの書 新潮文庫」
(泡坂妻夫)
「朱鷺色三角 花とゆめコミックス」(樹なつみ/白泉社)