橋もロマンがあります。待ち合わせ場所にもなるし、事件も起こる。 ▼ミラボー橋。
「アポリネール詩集」
(ギョーム・アポリネール/弥生書房)
ミラボー橋のしたセーヌは流れ
わたしたちの恋も
せめて思い出そうか
悩みのあとには喜びが来ると
夜は来い鐘は鳴れ
日は過ぎ去りわたしは残る
…(ミラボー橋/飯島耕一訳より)
ミラボー橋に立ったなら、この詩を口ずさまずにはいられないでしょう。
誰の訳がお好きでしょうか? わたしは上記、飯島耕一訳が好きです。
→アポリネールと言えば
▼対岸に渡るためではない。
『大括弧 緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置』
(中西夏之/筑摩書房)
中西夏之さんの美術評論随筆集。
1969年から1989年までの文章と、あります。初出誌は「美術手帖」他。
私、美術の門外漢もいいとこなんですけど、これはイケル。読むと、想像力や思考力をチクチク刺激される…評論集と言うよりは詩文集なんですね。うんうん。こういう目からウロコ的な詩文集は私の好むところです。
その中で印象的な一節が─「橋に向かうのは対岸に渡るためではない。」─あぁ、こういうの好きだなぁ。じゃ、何でよ?と思ったあなたにおすすめします。
→詳しくは
▼有名古典。
『陸橋殺人事件 創元推理文庫』
(ロナルド・A・ノックス/東京創元社)
not for sale
「ゴルフ場でプレイ中の四人組は、推理談義に花を咲かせていた。みな推理小説にはうるさい一言居士ぞろい。ところが、たまたまスライスした打球を追ううちに、鉄道の走る陸橋から落ちたと思しき顔のつぶれた男の死体を発見する。
件の四人は素人探偵よろしく独自の推理を競い合い、この平凡に見える事件に、四人四様の結論を下していく…。(あらすじより適当に引用)」
探偵小説十誡で有名なノックスさんの古典ミステリ。
じつは未読です。わくわくしてるところさ〜。フンフーン。
このあらすじから推測すると、『毒入りチョコレート事件』(バークリー)のような展開かな?
▼知的、ユーモア。
『大英博物館が倒れる 白水社世界の文学』
(デイヴィッド・ロッジ 高儀進訳/白水社)
※橋は関係ありません。
ただ原題がThe British Museum is falling down。
はい、もちろんLondon Bridge is falling downから。
傑作の予感のするタイトルです。
もっとも本当は違うタイトルにしたかったらしいですけどね。
「オフビートのユーモラスで魅惑的な悪漢小説(解説より)」。
カトリック協会は避妊も避妊具も認めていない、主人公はそれが認められるかもしれないと、期待しています。知的な凡人たちの物語─
そんな気配を感じます。いかがでしょうか。
→博物館つながり
→ロンドンつながり
他に…『ポンヌフの恋人』、『君の名は』、『一休さん』、『牛若丸』、『一条戻橋』、
そして言いたくないけど、『マディソン郡の橋』(笑)。
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