〜のための、〜のために。こういう題が好きなようで、見ると過敏に反応します。
死せる王女のための、とか。ぐっと来ます。エセ抒情派?
→関連項目→音楽と小説の関係、ドラマな題ランキング▼カメレオンのために。
「カメレオンのための音楽」
(トルーマン・カポーティ/早川書房)
カバーに書評が載っているのですが、これがみな大絶賛。
当たり前と言えば、当たり前ですが、これだけ手放しの大絶賛と言うのも
久しぶりに見た気がします。
じつは、カポーティ、殆ど読まないのですが、
エッセイ集「犬は吠える」の中で、日本びいきだということを発見して以来、
好感度アップ。単純です。日本人は生来、美の感性に優れている、と
いうようなことを言っていましたね。(→犬つながり)
この「カメレオンのための音楽」は14篇の中短篇集。
特に、カメレオンのための音楽の章は、
かなり現実的でないエピソードが多いにもかかわらず、
目の前でそれを見るような臨場感が印象的。ちょっとよく分からないのですが、
著者本人が序文で言及している新しい文体の効果だとしたら、すごいです。
しかし、文体に関して言うなら、これは翻訳小説ですしね、
訳者の野坂昭如が、序文を読んでものすごく努力したという可能性もあるなぁ。
ともかくカメレオンのための音楽、というタイトルだけで80点はとったも同然と思いません?
▼新しい知性のために。
「高橋悠治+坂本龍一 長電話」
(本本堂)
水牛楽団の高橋悠治さんとあの坂本龍一さんの長電話(だと思う)。
普通の人の長電話と同じで、そりゃもう細かな項目について
縦横無尽に語り合ってて、なかなか感心することの多い本。
高橋悠治の人物紹介に
「「あなたは誰のために作曲するか?」の質問に
「人類が絶滅したとき、人類にとって代わる新しい<知性>のために」
との発言は今や伝説となっている」とあります。
どこかで聞いたその言葉、あなたが言ってたのね。
→ビニールカバーつながり
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