▼『ライ麦畑でつかまえて』を凌ぐと絶賛される（帯より）

「エディスト物語」
（パジェット・パウエル／早川書房）

「ビール片手の12歳」のぼく。
確かに、確かにね。
ぼくの口から聞かされる世界は、どこか見覚えのある風景。
でも、見覚えがあるのは風景ではなくて心象風景だし、
しかも、それは自分のものですらなくて、むかーしむかし「ライ麦畑」の中で見かけたものなの。
多分、帯に『ライ麦畑でつかまえて』を凌ぐって書かれてなくても、それを思いついたと思うな。
ひどくなつかしい感じがしたのは、ライ麦畑を読んだころを思い出すから。
サリンジャーのあの頃ではなく、サリンジャーを読んでいたあの頃の自分を思い出したい方におすすめ。

▼『ライ麦畑でつかまえて』のアダルト版登場！（帯より）

「君がそこにいるように」
（トム・レオポルド／白水社）

「ライ麦畑」のアダルト版に果たして意味があるのか？　まずはそれを訴えたいですね。
この本についてた「新しいアメリカの小説」の刊行案内でも、白水社さんは
「1964年、サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』を贈った白水社がいま、…」って
謳ってるけどさー、うーん。ムニャムニャ…。
「先に聞きたくなかった」って評、ありますよね。

▼J・D・サリンジャーの小説にあるだろう。
バナナフィッシュって魚に出会うと死にたくなるんだ…
死を招く魚だよ

「BANANA FISH」
（吉田秋生／小学館）

バナナフィッシュというドラッグをめぐる血みどろの抗争。
でも主人公は、並外れて美しくて強くて賢い美少年アッシュ。テーマはずばり、孤独と救済でしょう。これは、少女マンガでは手を変え品を変えして語られる永遠のテーマなんですよね。
かつて少女であった私には非常に見なれたものなのですが、私の知る限り、少年マンガではそのテーマ、意外なほど見かけないんです。なんで？　識者の言うようにジェンダーの問題なのかなぁ。
もちろん、そんなことはどうでもいいという、サスペンスアクション好きにもたまらないマンガです。5年おきぐらいに読み返したい傑作。
→美少年つながり
→悪いヤツが出てくるランキング
→識者の語るマンガつながり（作成中）

▼少女版『ライ麦畑でつかまえて』（紹介文より）

「フィフティーン　シリーズ・永遠のアメリカ文学2」
（ビヴァリー・クリアリー　堀内貴和訳／東京書籍）

なるほど。少女版と来ましたかー。
と、常に内容紹介で頭を悩ませている身としては、
変なところで唸ってしまいました。

「15歳、君は何をしていた？……西海岸の郊外に住む、
どこにでもいる少女の、恋と冒険の毎日。」
「少女版『ライ麦畑でつかまえて』と言われる名篇を
新進の作家によるみずみずしい翻訳で」（内容紹介より引用）

▼『ライ麦畑でつかまえて』以来の青春小説の秀逸と絶賛され─（カバーそでより）

「留学生」
（フィリップ・ラザロ／新潮社）

フランスでのベストセラー。
著者はフランス人。
自身の米ヴァージニア大学の留学生時代の経験を書いているのだそうです。
前向きな青春小説の模様。
50年代のアメリカはキラキラして、思わず飛び込みたくなる魅力に満ちていたそうです。
あの自国大好きなフランス人にとってもそうだったんだなぁと、軽く驚きました。

▼本書の主人公は90年代のホールデン・コールフィールド
（サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』の主人公）だ。（カバーそでより）

「ぼくの欲しかったもの」
（ケン・サイマン／早川書房）

ニキビでノッポで醜いアンディは、美しいもの（特に美少年）が好き。
…？…。
70年代の地方都市を舞台にポップに描く、ゲイ版アメリカン・グラフィティだそうです。
それを知らずにあらすじを読んでいたら、「？」でした。

「痛みと爆笑が同居しているページも多く、懐かしさをともなった共感を呼ぶ小説
（紹介文より）」
ちょっと面白そうですね。
→ゲイつながり

▼イギリスにおける90年代の『ライ麦畑でつかまえて』と評されたコミック・ノベル─（帯より）

「彼らはSW19からやってきた」
（ナイジェル・ウィリアムズ　高儀進訳／早川書房）

「イギリスにおける90年代の『ライ麦畑でつかまえて』と評されたコミック・ノベル。主人公の少年のアンバランスな知識と感覚が笑わせ泣かせる（帯より）」

おぉ。なんかちょっと面白そうなのではないかと、（バナナフィッシュ以外の）サリンジャーつながりで久しぶりに期待しています（他の作品よ、ごめんね）。
未読ですが。どうかな？　ちょっと赤面しながら切ない感じかな？