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■合作ランキング
いろんな合作の試みがありますよね。読むほうも楽しいですが、作ってる人はもっともっと楽しそうで、そんな様子がまた楽しかったりします。
関連して
→ノリノリの企画ランキング

▼おもちゃ箱。

『合作探偵小説 屍を 他6編 春陽文庫』
(江戸川乱歩、小酒井不木、香山滋、鷲尾三郎、岡田鯱彦、島田一男、千代有三、楠田匡介、木々高太郎、水谷準、大下宇陀児/春陽堂書店)

ほんとにいろんな種類の作品が集められていて、楽しい本です。合作探偵小説シリーズは全7冊。その最後を飾るのがこれ。落ちてたものを全部拾ったようです。乱歩と不木の合作掌編「屍を」、乱歩出題した「消えた花嫁」の謎を香山滋、鷲尾三郎、岡田鯱彦が三者三様に解く「秘中の秘」、乱歩出題の「鍵穴の眼」を島田一男、千代有三、楠田匡介が解く「魔王殺人事件」、その他、木々高太郎の出題に乱歩と水谷準がああだこうだと対談形式で推理し合う推理教室、乱歩未完小説が2つと盛り沢山です。 
→合作探偵小説シリーズの在庫を検索する(只今、全売りきれ)

▼ノリノリですな?

『完璧な殺人─ハヤカワ文庫HM─』
(ジャック・ヒット編、ローレンス・ブロック、ピーター・ラヴゼイ、トニイ・ヒラーマン、サラ・コードウェル、ドナルド・E・ウェストレイク/早川書房)

妻が親友と浮気していることに気付いた夫は、妻を殺し、その罪を親友に着せる方法を考えるよう、5人のミステリ作家に依頼します。それは「完璧な殺人」でなくてはならない。というわけで、読者は5人5様の「完璧な殺人」の方法を楽しめます。
しかも、その後は、5人が手紙でお互いの案に文句をつけはじめ…、そこが一番愉快かもしれません。そうそうそう、アンタはそうだよね、というオモシロさ。ちょっとイイでしょ?
→手紙つながり

▼稀少なお遊び。

『兄弟仁義 らっぽり任侠伝』
(波津彬子編/新書館)


波津彬子のあとがきによると、'79に橋本多佳子と2人で任侠の世界にハマって、合作を描こうとした→他の漫画家さんも巻き込んだ、ということのようです。執筆は上記2人と坂田靖子、花郁悠紀子、森川久美、青池保子、柳英子、稲木至。それぞれ1人のキャラクターを担当していて、その特徴が出ているところが笑えます。本編は55頁で終わり、ミニ続編などの小ネタがあります。総監督(?)である波津彬子が一人で描いた脚本(いわゆるネームってヤツでしょうか?本編はシリアスなのに、これは適当なギャグマンガのようです)も収録されていて、必笑です。

▼配役が○。

『女神の見た夢』
(高口里純、酒井美羽、谷地恵美子/朝日ソノラマ)

高口里純の企画で、出来上がったマリリン・モンロー絡みサスペンスロマンとのこと。
「構想1晩ネーム1年作画1年」(「不本意」・高口談)という惹句が笑えます。
中心となった上記3人のマンガ家さんは、主役級の1、2人の登場人物を担当していますが、豪華ゲストとして参加している木原敏江、松苗あけみ、坂田靖子、篠有紀子、古館由紀子、太田博子も脇役を担当しています。豪華です。注目すべきは全登場人物がそれぞれ過去に自分の作品で使ったキャラクターである、ということころ。例えば殺し屋役のルジェーロは、「トロピカル半次郎」の「とるす」だとか。
→殺し屋つながり

▼好きなのねぇ。

『殺意の海辺 ハヤカワ・ミステリ文庫』
(ジョン・ディクスン カー他 宇野利泰訳/早川書房)


複数の作家で書き継いで完成する二つのリレー・ミステリー「殺意の海辺」「弔花はご辞退」を収録しています。
「殺意の海辺」…ジョン・ディクスン・カー、ヴァレリー・ホワイト、ローレンス・メイネル、ジョーン・フレミング、マイクル・クローニン、エリザベス・フェラーズ。
「弔花はご辞退」…ドロシイ・L・セイヤーズ、E・C・R・ロラック、グラディス・ミッチェル、アントニー・ギルバート、クリスチアナ・ブランド。

▼他にもいろいろ。

ホワイトストーンズ荘の怪事件 創元推理文庫
(セイヤーズ、クロフツ他 宇野利泰訳)

漂う提督 ハヤカワ・ミステリ文庫
(アガサ・クリスティー、ドロシイ・L・セイヤーズ、G・K・チェスタートン、クロフツ、バークリイ他 中村保男訳)

▼おまけ。

IN POCKET 1994年7月号 特集・作者当て3人競作 文庫サイズ』
(井上夢人・逢坂剛・大沢在昌/講談社)

講談社が毎月出している文庫情報誌『IN POCKET』もなかなか侮れませんよね。
この号では、「作者当て3人競作」なる企画をしています。つまり、井上夢人・逢坂剛・大沢在昌の3人がそれぞれ短篇を書き、その作者は誰なのか、誰がどれを書いたのかを読者が当てる、というもの。こんなの、題で分かると思った私はハズれました。(その作品は「チキコン」「サンセット通りの天使」「三人の作家」)

 

■変な日本ランキング
我が日本が出てくる洋画、ヘンテコなことが多くて失笑しちゃいますが、海外小説にもけっこう出てきますよね。日本って、そんなに創作意欲をそそる国なのかなぁ?

▼これでもか。

『ニッポン樫鳥の謎 創元推理文庫』
(エラリー・クイーン/東京創元社)

クイーンの国名シリーズの日本編です。
登場人物が日本で暮していたことがあるということで、日本庭園、フジヤマ、屏風、キモノなど、日本の風物がこれでもかと、登場します。お女中も、キヌメという日本人。
なるほどね。
はっきりとドコがヘンテコというわけではないんですが、イカニモな感じが微笑を誘います。「これで全部出し尽くしたらしい」というおかしみがあるんです。

▼ゲイシャはお嫌いか?

『ヨシワラ殺人事件』
(『晩餐後の物語─創元推理文庫─』収録作)
(ウィリアム・アイリッシュ/東京創元社)

アメリカの水兵さんが、上陸したヨコハマで、事件に巻き込まれます。ゲイシャさんが出てくるのですが、彼は全然関心がなくて、途中で出会うブロンド娘に惹かれるところが、なかなかリアルです。
Oh!ゲイシャフジヤマビューティフルとはいかないらしい。なんだか別に日本じゃなくてよかったと思う内容の短編ですが(笑)、無理めの設定を実現するために日本の風物を利用したのかもしれないですね。

▼宇宙船と俳句とクジラ。

スターシップと俳句 ハヤカワ文庫SF』
(ソムトウ・スチャリトクル 冬川亘訳/早川書房)

宇宙船と俳句? そしてクジラ?
めちゃくちゃ気になりますよね。
著者はアメリカの、タイ国籍を持つ、東洋人作家だそうです。
「全世界に壊滅的な破壊をもたらした<千年期大戦>の勃発から21年後のことであった。この巨大な異種属は、暗号言語学者にでも動物学者にでもなく、ひとりのうら若い少女、大臣である父の命を受け日本からハワイへと向かっていたイシダ・リョーコに語りかけてきたのだった。(あらすじより引用)」
はい、そうです。クジラがイシダ・リョーコに語りかけてきたんです!
クジラが人類に与えた驚くべきメッセージとは?
日本風物いっぱいの異色SF。
→クジラつながり

▼フランス人が源氏を書くと、こうなる。

『源氏の君の最後の恋』
(「東方綺譚−白水Uブックス−」の収録作
(マルグリット・ユルスナール/白水社)

なんか、時代背景や小道具や原典解釈がアヤシイところもありますが、それは勘弁してあげましょうよ。(それを楽しむのもアリかと。)
源氏物語を読んで、書きたくなっちゃった作家の気持ち、
わからないでもありませんもんね。インスパイアされたんでしょうなぁ。
恋多き男と、昔彼にふられた女が、男が老いた頃に出会い…。
という話ですが、妙にフランスな香りがしないでもないです。逆に。
→源氏つながり

▼空想の日本。

絹 SETA』
(アレッサンドロ・バリッコ/白水社)

現実はともかく、あくまで「未知の世界」の象徴としての日本。日本を舞台に選ぶ場合は、そういうのもアリです。
そういう意味で使った舞台=まさにその日本で出版されるとは著者も思ってなかったそうで、「日本の読者へ」という序文を付けています。
この小説に出てくる日本について、「これが現実の国である前に、あくまでも空想の場、世界の果ての世界であり、それ以上のものでないことを、ひろい心で理解してほしい」って。日本風の名前についても、「変かもしれないけど音楽を聞くように聞いてほしい」って。
よく分かるわぁ。私たちにとっても、実在しないかもしれないけどかっこいい感じのイタリアっぽい名前とか、ありますしねぇ。
日本から蚕の卵を持ち帰る蚕商人の物語。一読の価値有りです。
→卵つながり
→昆虫つながり

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■続編ランキング
アノ小説の続編。本人の書いたものではなくて、他人の書いたものを集めてみました。自分(読者)の思った通りになったり、ならなかったり。その辺がどうにも微妙なようで、評価もいろいろ。難しいもんですね。

▼有名な続編。

『続明暗』(續明暗)
(水村美苗/筑摩書房)

漱石の未完小説『明暗』の続編。と言うか完結編ですね。
発行当時、「漱石に手を出すかー、やるねえ」と思った覚えがあるんですが、みんなそう思ったようで話題になりました。しかも好評でしたよね。
著者の水村美苗さん、最近も話題作を書いてブレイク中。確かな力量です。

▼外せないでしょう。

『肌色の月 中公文庫』
久生十蘭/中央公論社)

「婦人公論」に連載中、著者が逝去。最終回は夫人が、書き上げたという作品です。夫人が十蘭に聞いていたままをまとめた最終回、というわけで厳密には続編ではありませんが、これを外すわけにはいかないですね。たまたま見上げた月が肌色に見えたことで、病気を知り、死を思いつめて旅立つヒロイン。「ムードのあるスリラー小説を」という注文に応えて書かれた中編。<あとがき>は久生幸子夫人。解説は
中井英夫。表題作の他、「予言」と「母子像」を収録しています。
→月つながり

▼世界中が待っていた!

スカーレット 新潮文庫』
(アレクサンドラ・リプリー 森瑶子訳/新潮社)

『風と共に去りぬ』の続編。
発行当時、私の周囲でも話題沸騰。だって、気になりますでしょー?! 愛し合っているのに、別れる二人。スカーレットとレット・バトラーの悲恋は小説でも映画でも、オナゴのハートをわしづかみでしたから。因みに我が家では祖母も『風と共に去りぬ』ファンですもん。むかーし、映画館で見て、気に入って、何回も繰り返し見たそうです。超メロドラマ。超恋愛モノ。
さて、そういう入れこみ具合は訳者の森瑶子さんも同じだそうで、内心は「私が書きたかったのに〜っ」って感じだったんらしいですが、まぁ甘んじて(?)訳すことにしたらしいです。でもじつは、正確に訳すことに徹したわけではなく、いわゆる<超訳>の気味もあるとかないとか。その辺の葛藤は訳者あとがきに詳しいです。
『風と共に去りぬ』も在庫にあります。御注文はココをクリック。

▼フィリップ・マーロウ、ふたたび。

『プードル・スプリングス物語』
(ロバート・B・パーカー 菊池光訳/早川書房)

ハードボイルド大好きです。特にフィリップ・マーロウには夢中でした。というより、マーロウだけが顔(?)と名前一致で、心に残っています。彼は、女性好みだと思いません? あの言葉少ななんだけど、情緒過剰気味な風情がなんともいいですな!
で、作者のレイモンド・チャンドラーの他界により、冒頭の4章のみが書き残された『プードル・スプリングス物語』をロバート・B・パーカーが完成したのが、これ。続編と言うよりは合作ですか。でも入れちゃう。

夢を見るかもしれない』
(ロバート・B・パーカー 石田善彦訳/早川書房)

上記『プードル・スプリングス物語』で、すっかり気をよくしたらしいロバート・B・パーカーが書いたチャンドラー『大いなる眠り』の続編です。これはまさに続編ですね。

マーロウはシリーズものですから、彼にまた会えて嬉しかったチャンドラリアンは多いはず。他の続編の場合、<あれはどうなったのか>を知った喜びですが、ここには、会いたかった人に再会できたと言う、ひとあじ違う喜びがありますね。
あなたのまた会いたい人は誰ですか?

▼おかん、大喜び。

『リジーの庭 「自負と偏見」それから』
(エマ・テナント 向井和美訳/青山出版社)

この著者は続編好きのようですね。
他にも、『分別と多感』の続編を書いておいでです。

このあたり、オナゴにアッピールする、なつかしい作品ですので、
「あの頃一生懸命読んだアレの続編かー!」と、喜ばれることが多いようです。
ウチのオカンも大喜びの1冊。

▼おまけ。

「ハイジの青春 アルプスを越えて ハヤカワ文庫NV」
(フレッド&マーク・ブローガー/早川書房)

『アルプスの少女ハイジ』の続編。
画像が小さくて見えないかもしれませんが、
ペーターはチャーリー・シーンです。ペーターが、チャーリー・シーン。
ううぅむ。
舞台は第一次世界大戦中のスイスとイタリア。映画をもとにした小説です。

▼おまけ2。

「それからのハイジ」(シャルル・トリッテン/読売新聞社)※難アリ、御注意!

「ハイジのこどもたち」
(シャルル・トリッテン/読売新聞社)

古本的には根強い人気ですね。長らく絶版でしたが、先頃、復刊されたようです。新刊本屋さんで買えますので、そちらでもよろしいかと。うちの在庫は旧版です。「昔の方がイイ〜」と思われる方はこちらで。装幀がなかなかかわゆいです。

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