まだまだあるよ。本に出てくるおいしい食べ物目次はこちらへ

胸を張って、食いしん坊だと言おう。
『ことばの食卓 ちくま文庫』(武田百合子 画・野中ユリ/筑摩書房)

武田百合子の食べ物に関するエッセイ集です。
もうとっくにバレてると思いますが、私は、食に執着するタチです。料理好きとかじゃなくて、偏執的嗜好の持ち主です。それはちょっと恥かしいくらいで、例えば旅に出ると、その地に必ず好きな食べ物を作って帰って来て、その後延々とあそこのあれはうまかった、また食べたいと言い続けるわけです。
思い出は常に食べ物とセット。
それがなんだか即物的で恥かしいのですが、これを読むと勇気百倍。執着してもいいんだわ、と。
世の中には、さりげないエピソードの拾い方が名人芸としか言えない小説やマンガってありますが、まさにソレ。全編通して、「このエピソードうますぎ」。そりゃもう、詩なんです。食べ物の詩情。
そうやって語られるのが、決して高級な食べ物ではないところも同類の魂を感じます。大好き。

もっと早く出会いたかった。
『スグに役立つ料理のフランス語』(緑川廣親他/柴田書店)

「まーた、妙なこと言ってるよ」って笑われそうですけどね、これ、おいしい食べ物がいっぱい出てきますよ。
例文がすべて食べ物がらみですから。「
ジャン、クレーム・ド・オマールは冷蔵庫にまだあるか?」「シェフ、これは仔羊用のバジリクソースですか?」…そんなのばっかです。恥ずかしながら昔々、仏文専攻だったんですけど、あの頃この本を使って授業をしてもらえたら、もうちょっと上達したかもしれないのになぁ。気のせいかなぁ。少なくともヤル気は倍増だと思うんですよ。思いません?よく、お金の計算だけ速い子供っているでしょう。アレ式で。
序文にもあるとおり、フランスで料理の勉強をしようとする人、フランスで食べ歩くのに少しは言葉を心得ておこうとする人、日本のレストランでメニューのフランス語を読んでみたい人など、料理のフランス語に関心のあるすべての人のために作られた本。このコンセプトには多いに賛成です。いーじゃんか!

→フランスつながり

今でも充分、目の毒。
『食道楽の献立 ランティエ叢書12』
(村井弦斎/角川春樹事務所)

明治の人気作家、村井弦斎のベストセラーグルメ小説「食道楽」のです。特にレシピ部分を切り取ったようですね。
しかし、これは罪な小説です。当時、人々が殆ど知らなくて、口に入ることも少なかった西洋料理の数々をズラズラーッと紹介。勿論、日本料理も出てくるけれど、未知のものの方が強烈でしょう。もし、もしも私が当時の人で、当時コレを読んだら、すごいトラウマになったと思います。「アレが食いてー」って。一生、追い求め続けたんじゃないでしょうか。犢のシブレ、魚のケズレー、チョコレートケーキ、チーズ料理…。今読んでも食いたいですもん。
美味しんぼやクッキング・パパはこの系譜にあるんだなぁとしみじみしちゃう、よだれが出ちゃうこと請け合いの必殺グルメ小説
。抄じゃなくて全文読みたいかも。

これが食べたくて!
『ちびくろ・サンボ』
(井江春代画 天神しずえ文 深沢邦朗装丁/ひかりのくに)

ひかりのくに絵本、なつかしいです。歯医者さんとか、学級文庫に常備されてませんでした?
「でもなー、私の愛したちびくろサンボはこの絵本じゃなかったみたい、絵が違う」と思ったけど、トラがぐるぐるまわって、バターになって、ホットケーキを食べられるならそれで問題はありません。うんうん。(そうなんか?)とにかく幼心に強烈にアピールする話で、このバターとホットケーキに眩惑された子どもは多いはず。
はー、山盛りのホットケーキ、うまそうッ!!絶対、ホットケーキが食べたくなる本です。

最強の料理人。
『料理人 ハヤカワ文庫NV』(ハリー・クレッシング/早川書房)

最強の料理人って、誰だと思います? 沈黙の艦隊に乗り合せたあのコック? いや、違います。この人です。コンラッドで決まり。
ある日突然、魅力的な人物がやって来て、周囲の人々を幸せにしていく。──それって、よくある話ですよね。赤毛のアンとか、ハイジとか、昔気質の一少女とか(どうも古いな)。この「料理人」は、そのパターンかと思いきや、…。

でもね、あんまり話さないでおきましょう。なぜって、これは、元々はあらすじなどの情報を一切省略して発行された本だから。(※このハヤカワ文庫にはあらすじがあります。)そんな本に長い紹介文をつけるのも野暮というもの。

人はパンのみに生くるにあらず。しかしパンがなければ生きられぬと、つよーく思わずにいられないお話。

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黒パンでいい。
『アルプスの少女ハイジ 角川文庫』(ヨハンナ・スピリ/角川書店)

これを忘れてました。
もちろん、私が必死に見ていたのはテレビアニメのハイジなんですけど、あの中に出てくる、チーズ!!おじいさんが
とろっと焼いた黄色のチーズをてろーんってパンにのせてくれるんですよね。あれを見た時の衝撃はすさまじかった。昔から食いしん坊だったので、わらのベッドで寝ることに憧れる以上に、あのチーズに憧れました。あれが食べてみたくて、ヤギのお乳を飲んでみたくて、悶々としていたのを覚えています。
甘い白ワインには青カビチーズだよとか嘯いている今でも、じつは心のチーズはハイジのチーズなんです。そういう方、多いと思うんですけど?(あとね、トムとジェリーのチーズもね)
さて、原作にもちゃんとおじいさんのチーズあぶり場面が出てきます。ストーリー自体も、あのアニメって割りと原作通りだったのだと軽く驚きました。

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ミルメーク!
『まぼろし小学校』
(串間努/小学館)

ソフトメンはお好きでしたか?ロケット鉛筆、使いましたか?お楽しみ会はありましたか?

この本はですね、ズバリ昭和30年代〜50年代に小学生だった人にはコタエラレナイ本です。当時の小学生のマストアイテムが勢ぞろい!トシをとって、その実体は希薄になってきていた思い出の数々が鮮やかによみがえり、しばし恍惚となりました。
じつは
店主の最近のお気に入りはスーパーで見つけたミルメークなんです。カルシウム補給に飲んでいるのですが、これ、元は給食でブレイクしたんですね。へぇー。皇太子さまもお気に入りだったんですってよ。このお子さま好みの味、たまりません。

小学生アイテムや小学生文化の追跡調査とそのまとめです。

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→ミニ特集・駄菓子屋みつばち印

珍奇な文庫。
「わさび讃歌 ハウスポケットライブラリー」
(ハウス食品工業)

たまには(?)、ほんとのグルメを取り上げてみました。まだバブリーな頃、ハウスの出版したハウスポケットライブラリーの4冊目。
わさびについての薀蓄と、わさびが決め手の各地の料理と、簡単なレシピの数々。このレシピが実によくできていて、ものすごーく、粋でうまそうなんですー。ハウス、やるじゃん?
●わさびクリームチーズの刺身●鶏きゅうのわさびだれ●わさび入りロールドビーフ●わさびスパゲッティ●わさび白玉
奇しくも、わさびコース料理ができそうじゃないですか?今度やってみようっと。あと思いついたんですが、「本に出てくるおいしい食べ物を作ってみた」という新コーナーを作ろうかな。

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やっぱり麺類。
「ヒラリーマン 奇想天外文庫」
(黒鉄ヒロシ/奇想天外社)

1日パソコンに向かっていることが多いので、微妙に太ってきました。ダイエットを敢行して何とか元に戻したのですが、このマンガね、夜中に読んでつらかったです。普段は気付かないんですけどね、食べ物の出てくる頻度が異常に高い!それも単純な線画なのに、スゲーうまそう!うーん、例えるなら、アレですよ。落語で蕎麦食べる場面。単純さ故によく伝わる。実際、蕎麦を食べてるところで、私の飢餓感は頂点に。空腹にアピールするのはやはり麺類ですよね?もう勘弁してくれって感じでした。そのマンガのオチはイマイチでしたけど。
6コマ漫画集です。
他社で復刊されているようですが、奇想天外文庫、黒鉄ヒロシ、と言われるとムラムラする方面の方にはこっちでしょう。ね?

何よりも出だしがよい。
「バナナブレッドのプディング」
(大島弓子/集英社)

大島弓子さんの往年の名作。
冒頭、主人公の衣良が、転校生としてやってきます。(お、いいね。)彼女は憂鬱そうです。なぜと尋ねる先生に、「きょうはあしたの前日だから だからこわくてしかたないんですわ」と。読者は一瞬で物語世界に引き込まれてしまいます。そんな彼女の食べたい物がバナナブレッドのプディング。物語は意外にも劇的に暗く収束していき、作中一度だけ作られたバナナブレッドのプディングもヒロインには味気ない様子。でもね、わたしは食べたいんですよぅ。
→バナナつながり

わたしたちができるまで参考「わたしたちができるまで 角川文庫」
(角川書店/
写真右
大島弓子の自作解説アリ。

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