迷子になったらまずHOMEへ 書評、古本、古本の書評、古本の画像、古本屋 HoneyBeeBrand*みつばち印

■ドラキュラつながり
じつは幼少時からピカレスクロマンが好きなんです。だから、殺し屋ものもスパイものもドラキュラものも好きなの。殺し屋の情婦とか、スパイとか、ドラキュラの花嫁(?)とかになりたい子供でした。(それはどういう心理なんですかね?)ゲーリー・オールドマン主演の映画「ドラキュラ」も全面的にドラキュラの味方だったしー。
あえて、本家は外しました。

▼女の夢。

「夜明けのヴァンパイア ハヤカワ文庫」
(アン・ライス/早川書房)

憧れのヴァンパイアですが、美しいヴァンパイアって、案外、
めぐり合えないんです。
だから、この本のあらすじを聞いたとき膝を打ちましたね。
かっこいいヴァンパイアに会えるーッ。
しかもあからさまに耽美な感じよ。ワクワク。そうでしょう?
美しい男二人に美少女一人っていう構図はなかなかにドラマチックで
そそられます。 
→あらすじ→ゲイつながり

▼女の夢 その2。

「吸血鬼エフェメラ ハヤカワ文庫」
大原まり子/早川書房)

吸血鬼はじつは人類とは別種の先住知的生命体で、
昔から迫害されてきた、という舞台設定です。
彼女たちは完全な女系家族で人類に寄生してる。
人を衣装のように着たり脱いだりするわけです。
一族には、奔放な女も、賢人と呼ばれる人もいる。

中に「宇宙からの物体X」という映画が引用されており、
エフェメラはそれを見て怖かった、と言います。
「あの映画の製作者はじつはエフェメラたちの正体に気付いてるんじゃないか」って。
なかなか面白い。

人類が生まれる前はネズミに寄生してたんだってところもさもありなんって思う。
で、まぁ何が女の夢かって言うと、
美々しくて強い女吸血鬼、というのもまた一つの憧れの形じゃないか
と思うんですよね。思わないですか?

▼題が秀逸。

「血も心も 新吸血鬼物語 新潮文庫」
(エレン・ダトロウ編/新潮社)

吸血鬼の短篇集。
あまり有名でない海外作家の作が多いです。
ダン・シモンズの「死は快楽」もあります。
この人ってヴァンパイア好き?
→ミニ特集・慎重文庫海外アンソロジー

▼虚実混濁モザイクらしい。

「ドラキュラ紀元 創元文庫」
(キム・ニューマン/東京創元社)

らしい、と言うのは、虚なのか実なのかわからない記述が多くて、
多分本来の20分の1くらいしか楽しめてない気がするからなんです。
読んですぐに「こりゃアレのことかよ。おもしれーなー」と思える人ならもっともっと楽しいんだろうな、と悔しい。
もちろん、何も知らなくても楽しめるし、訳者さんの(多分)渾身の
登場人物事典も巻末に付いていますから御安心を。
→モザイクつながり

▼この題は、ちょっと。

「血と薔薇のエクスタシー 吸血鬼小説傑作集」
(幻想文学編集部編/幻想文学出版局)

あまりにも気合いの入った題に少し失笑。
なんか買うの恥ずかしいじゃん。
でもね、錚々たるメンバーなんですよ。
中井英夫、須永朝彦、日影丈吉、菊地秀行、
岸田理生、岡本綺堂、種村季弘、
三島由紀夫ほか。
全16編。
→ふざけてないのに笑っちゃう題ランキング
→ミニ特集・薔薇は何本あるか?

▼邪なる関心

「血のアラベスク 吸血鬼読本」
(須永朝彦/ペヨトル工房)

どの本だったか忘れてしまいましたが、
「金髪碧眼 長身痩躯」の美青年が好き、と
おっしゃていた須永さん。おなじ伝で
もちろん吸血鬼もお好きだそうです。著者曰く、
「邪なる関心から出発して」関連書籍を読み漁ったそうで、
その副産物たるのが本書でしょう。
吸血鬼に関するあれこれ、めった切りです。

▼こういうのもアリか。

「ロスト・ソウルズ 角川ホラー文庫」
(ポピー・Z・ブライト/角川書店)

柿沼瑛子訳ってことで、そんな感じです(笑)。
「母親の肉体を引き裂いて生まれてきた、ヴァンパイアの血をひく美しい少年。つきまとう孤独を埋めるために、彼は魂を揺さぶるパンク・バンド『ロスト・ソウルズ』のメンバーが住むミッシング・マイルを目指す。そして、さすらいのうちに出会った、緑の瞳の酷薄な青年ジラーに血と官能を教えられ、心奪われてしまう。―享楽の夜々。その果てにもたらされた恐るべき真実とは…。精神と肉体の境界を越えた濃密な愛を描く耽美ホラー(あらすじより)」。

なんか「夜明けのヴァンパイア」(アン・ライス)を思い出しますね。
でももっと現実的な舞台なんです。
なにしろ現代だし。パンク・バンドに憧れてるし。
ん〜?  「夜明けのヴァンパイア」のレスタトもロックバンドやってたじゃん? と、お思いのあなた、
柿沼瑛子さんの後書きによると、アン・ライスの他にもっと似てる人がいるらしいです。
キャシー・コージャ(キャシー・コーヤ)とか。ふーん。

只今、稀少気味です。
→ゲイつながり

▼ドラキュラ、マイ・ラヴ。

「ドラキュラドラキュラ 吸血鬼小説集 河出書房文庫」
(種村季弘編/河出書房新社)

ポリドリの「吸血鬼」、ジュール・ヴェルヌの「カルパチアの城」、
シュオッブの「吸血鳥」、ベレンの「吸血鬼を救いにいこう」など、
11篇の吸血鬼アンソロジー。
吸血鬼好きにはたまりません。ぐっときます。
なんと言っても編者が種村さんですからねー。
カバーの紹介文「文学史上にユニークな歯跡を残す吸血鬼小説」という
一文にニヤリとさせられますね。

▼ドラキュラと信長?

「ドラキュラ公 ヴラド・ツェペシュの肖像」
(篠田真由美/講談社)

なんとなく、心惹かれる歴史上の人物と言えば、織田信長。
特にオナゴはそうじゃないかなぁ。かっこいいですもんね。

これは、<織田信長とドラキュラのモデルにされたワラキア公ヴラド・ツェペシュには共通点がある>、著者のそんな思いから生まれた物語らしく、
ヴラドが苛烈で進歩的すぎて周囲がついていけなかった人として
悲劇的にかっこよく描かれています。

私的には、別にドラキュラは<悪くても好き>、いやむしろ<悪いから好き>なので(笑)、この物語はちょっとくすぐったい感じがいたしますが、<ドラキュラの可能性を見てみたい>ドラキュラフリークには、いいんじゃないでしょうか。
→信長つながり

▼行けるものなら、いっしょに行きたい。

「ポーの一族 フラワーコミックス」
(萩尾望都/小学館)

これを忘れてはいかんですね。
エドガーとアランとメリーベルの物語。
彼らは少年少女だけれど…。
時を超えて生き続けることの苦痛。他とは相容れない存在。
というモチーフに、少女漫画の伝統を見ます。などと冷静に言ってみても、
ひとたびページをめくれば、彼らの物語にあっと言う間に引きこまれてしまいますね。
ずいぶん昔の作品ではありますが、
当時すでにあらゆる面で完成されていた抒情的な連作短編集、
と言っていいでしょう。永遠の名作。

▼お、こりゃいいね。

「妖魔の宴 ドラキュラ編(1) 竹書房文庫」
(菊地秀行監修/竹書房)

要するにドラキュラ短編集です。
海外作品ばかり8編。

ランプリング・ゲートの主(アン・ライス)
スタイルの問題(ロン・ディー)
選抜試験(エド・ゴーマン)
隠れ家の吸血鬼(ヘザー・グレアム)
十番目の学生(スティーブ・ラスニック・テム&メラニー・テム)
誰にも欠点はある(フィリップ・ホセ・ファーマー)
1944年のドラキュラ(エドワード・D・ホック)
ドラキュラの子供たち(ダン・シモンズ)

なかなかイイ感じのラインナップでございましょう? やるじゃん?
因みにこのシリーズ、他にドラキュラ編(2)、
フランケンシュタイン編(1)(2)、狼男編(1)(2)があるようです。
揃えたくなる…。

▼やっぱりドラキュラ好きなんだ、シモンズさん。

「夜の子供たち 上・下 角川文庫」
(ダン・シモンズ/角川書店)

またしてもダン・シモンズのドラキュラ長編です。
まぁドラキュラと言っても、
この人のことですから、一筋縄ではいかんのです。
ドラキュラの遺伝子はエイズを救う?
ドラキュラものに医学を持ち込んだゴシック・ホラーとな。

▼忘れちゃイカン。

「フランス幻想小説 吸血女の恋 教養文庫」
(テオフィル・ゴーチエ 小柳保義訳/社会思想社)

ゴーチエの小説集です。
収録作品は、
吸血女の恋、カンダウレス王、千二夜物語、双つ星の騎士
の4編。

三島さんがゴーチエが好きだったそうですが、
最近は、どうでしょう、ゴーチエ。
やや通好みな感じで、そんなに名前を聞かなくなったような気がします。
さみしい…と言いつつ、自分も忘れていました。え、えへへ。
あんなに一生懸命読んだ青春の情熱は今いずこ?

妖しげなものが好きなら、オススメです。

▼パリの吸血鬼。

「パリ吸血鬼 ハヤカワ文庫NV」
(クロード・クロッツ 三輪秀彦訳/早川書房)

あの
『ひまつぶし』のクロッツの小説集です。
表題作の『パリ吸血鬼』は長編。他に短編8つを収録。

現代の吸血鬼は大変。
人間とドラキュラのハーフ、フェルディナンは、血も吸えなくて
とうとう血を盗みに血液銀行に行ってしまいます。
でも気の毒な結果に。
クスリと笑っちゃうドラキュラものが読みたければ、これはいいです。
笑いだけじゃなくて、しんみりとかほんのりもありますし。
ドラキュラはエッセンス、本質は人間ドラマなんですな。
和田誠さんのカバー絵がイイ感じです。うまいなぁ。

▼ドラキュラ、マイ・ラヴ、リターンズ。

「吸血鬼幻想 河出書房文庫」
(種村季弘/河出書房新社)

種村さんが吸血鬼について、アレコレ考察しています。
章題のページに飛んでるコウモリの絵が、章ごとに場所が
違っていてウレシイ…と思うのは私だけ?

吸血鬼の系譜学、吸血鬼のエロチシズム、
吸血鬼小説考、吸血鬼詩アンソロジー…う、うぅ、わくわくぅ。
幼い頃からの妄想ヤケボックイに着火しそう。

▼好きさ。

「死霊の恋・ポンペイ夜話 他3篇 岩波文庫」
(ゴーチエ 田辺貞之助訳/岩波書店)

「死霊の恋」は、このコーナーの上の上の上の「吸血女の恋」と同じです。
こっちは田辺貞之助訳。
「ヨーロッパでもっともすぐれた吸血鬼小説のひとつと賞されている(あらすじより)」。
そこまでかどうかは意見の分かれるところでしょうが、
好きなのはあっさり認めます。妖しげな幻想好きには、そういう人が多いと思うなぁ。
表題作2作のほか、「二人一役」「コーヒー沸かし」「オニュフリユス」を収録。
現在流通中のようですので新刊でも。

▼ドラキュラならなんでも。

「ヴァンパイア・コレクション 角川文庫」
(ピーター・ヘイニング編/角川書店)

骸骨伯爵―あるいは女吸血鬼(エリザベス・グレイ)、吸血鬼の物語(ジェームズ・マルコム・ライマー)、蒼白の貴婦人(アレクサンドル・デュマ、ポール・ボカージ)
白い肩の女(ホーソーン・ジュリアン)、ソーホールの土地のグレッティル(フランク・ノリス)、血の呪物(モーリー・ロバーツ)、島の花嫁"バイロン卿"(ジェイムズ・ロビンソン・プランシェ)
夜の悪魔(ピーター・トリメイン)、兇人ドラキュラ(ジミー・サンスター)、ダーク・シャドウズ(マリリン・ロス)、新・心霊伝説(スティーブン・キング)、十月の西(レイ・ブラッドベリ)、ヤミの間近で(シオドア・スタージョン)、デイ・ブラット(ロジャー・ゼラズニイ)
他。全21編のドラキュラ物語。好きでたまらない方へ。
角川文庫であまり目立ってないのが残念。

▼ドラキュラ文庫。

「ドラキュラ学入門 現代教養文庫」
(吉田八岑・ 遠藤紀勝/社会思想社)
※難アリ

吸血鬼についての資料、考察、図版を集めた、
手ごろな吸血鬼ブックスといった趣です。
個人的には、何事につけても耽美派の吸血作法、吸血哲学が
お気に入りですが、そうではない土臭い、土着の吸血伝説もいっぱい収録。
吸血鬼について、あらかたのことをザザッと知りたい方にオススメです。

▼ブラム・ストーカーさんの短篇集。

「ドラキュラの客」
(ブラム・ストーカー 桂千穂訳/国書刊行会)

ドラキュラで有名なブラム・ストーカーの、怪奇短篇集。
なかなか読ませます。由緒正しい怪奇短篇集といったところ。

表題作「ドラキュラの客」は、『吸血鬼ドラキュラ』で割愛したエピソードだそうです。へぇ〜。
スジガネ入りのドラキュラファンの方に。
※流通中。現在定価¥1545

▼ドラキュラ系。

「ドラキュラのライヴァルたち ハヤカワ文庫NV」
(マイケル・パリー編 小倉多加志訳/早川書房)

ドラキュラ系の短編集です。海外作品ばかり12編。

生ける亡者の恐怖(M・W・ウェルマン)、マグナス伯爵(M・R・ジェイムズ)、
血の兄弟(チャールズ・ボーモント)、コウモリはわが兄弟(ロバート・ブロック)など。
→ミニ特集・名アンソロジー

▼耽美派ミステリー。

「血の季節 文春文庫」
(小泉喜美子/文藝春秋)

「早春の青山墓地で幼女の惨殺死体が発見された。深夜の独房では死刑囚が
異様な告白を始めた……事件は40年前の東京にさかのぼる。
美しい公使夫人と書記官はほうとうに死んだのか?
中世のドラキュラ伝説を現代に甦らせる耽美派ミステリーの傑作。
昨冬、急逝した筆者が三つだけこの世に残した長篇のひとつ。(カバーより引用)」

稀少傾向です。
友人が読んで、「気味が悪かった」と言うので、なかなか手を出せないでいる1冊。
→小泉喜美子の在庫を検索する

他に…
「殺戮のチェスゲーム 上・中・下 ハヤカワ文庫NV」
(ダン・シモンズ/早川書房)
このマインド・ヴァンパイアたちには、さすがにお味方できません。
店主がはじめてドラキュラの味方になれなかった記念すべきヴァンパイアもの。

「きみの血を ハヤカワ文庫NV」
(シオドア・スタージョン/早川書房)

「シャーロック・ホームズ対ドラキュラ」
(ワトスン著、エスルマン編/河出書房新社)

「幽霊城」(サイモン・マースデン写真集/トレヴィル)
→城つながり