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■悪妻ランキング
悪妻と呼ばれる人を、私は悪い妻だとは思いませんね。普通の人が多い気がします。

▼森家。

「記憶の絵 ちくま文庫」
森茉莉/筑摩書房)

鴎外の長女・茉莉。彼女の随筆には、家族もよく登場します。
本書も彼女の人生の名場面を切り取った、アルバムのような随筆集です。前半にはもちろん父鴎外と母も登場。世の中では悪妻として通っている鴎外夫人の素顔が見られます。私は、「父親をひどく愛していた母親は、父親の愛情を独占したい、だがそれが出来ない、という悩みに捉われていた。私の父親には学問や小説への、底に熱のある愛情と、周囲の人々への平らな、万偏のない、きれいな愛情があって、その人々への、灼熱しない、穏やかな光のような愛情が母親にも分けられている、というようなところがある(本文より引用)」、これが真実を言い当てていると思います。真理を感じる言葉です。しかも夫人が、感情を隠せない、ぶっきら棒な人で、お世辞一つ言えなくて、さらに悪いことには凄い美人だったと言うのだから、悪妻呼ばわりされるのも致し方ない、と申せましょう。
因みに、茉莉自身も離婚し、夫の周囲から悪し様に言われたそうです。
最後の方、三分の一くらいには、茉莉の結婚後の生活が描かれていますが、ここに、夫(山田珠樹)とその一味の辰野隆の感じの悪さ、狭量ぶりがハッキリと現れています。ちょっとした義憤すら感じますので、ぜひお読みいただきたい(笑)。そして、それに対比して登場する矢田部達郎のかっこ良さと言ったら!
→森家つながり
→ミニ特集・文壇ワイドショー

▼岡本かの子。

「巴里祭/河明り 講談社文芸文庫」
(岡本かの子/講談社)

うちの母親に意見を求めたら、一番に出て来た名前が岡本かの子でした。そう言えば、そうか。彼女の場合は、夫との関係と言うよりは、彼女自身の問題という印象があります。彼女の創作の問題やそれにかける情熱、人生への取り組み方、身の内の懊悩に夫を巻き込んでいる、巻き込まれた風の一平は気の毒にも見え、そうなると悪妻と言われるのかもしれないですね。
作品集は、国書刊行会の「日本幻想文学集成」が一番好きですが、この講談社文芸文庫の解説及び作家案内が詳しかったので。

▼コンスタンツェ。

『モーツァルトは子守唄を歌わない』
(森雅裕/講談社)

モーツァルトの妻、コンスタンツェも有名な悪妻ですか。
本書は有名ミステリ。伝記やノンフィクションではございませんが、ベートーヴェンがモーツァルトの死の謎を探る、というわけで、コンスタンツェも登場します。さて、どんな描かれ方をしているでしょうか? 楽しめるミステリ。音楽ミステリのハシリにして、不思議なマイナー作家の一番有名作かな? もしも未読の方、いらっしゃったら、読んでみてもいいと思います。
コンスタンツェの場合は、悪妻として有名である反面、充分な否定や擁護もおこなわれているように感じますね。

▼クサンチッペ。

「悪妻に訊け 帰ってきたソクラテス」
(池田晶子/新潮社)

ソクラテスと、その悪妻として有名なクサンチッペの対談、議論という体裁で、書かれる時事評論。というと、敬遠されちゃうか。違うのよぅ。
話題の書籍やブームをバッサリ斬ってて痛快至極!なんです。時々、自分も斬られますけどね、アイテテテテって。
斬って考えさせてくれます。さすがはソクラテス夫妻。
私は、『贅沢の探求』の章が好きです。笑える。「パリでイワシを焼くのが最高の贅沢だ。トゥール・ダルジャンのようなところは一年に1回か2回行く所だ」とおっしゃった森英恵さんが斬られてます。「トゥール・ダルジャンに一年に1回か2回行くのを楽しみにしてる人に失礼じゃないか」って。おう、その通りだい! 1回も行ったことのない人もいるんだぞ(笑)! こんにゃろめ。
※文庫も流通中。

▼コンスエロ。

『バラの回想―夫サン=テグジュペリとの14年』
(コンスエロ・ド・サン=テグジュペリ/文藝春秋)

『星の王子さま』のサン=テグジュペリの妻、コンスエロ。彼女もさんざん悪妻と言われてきました。その彼女の側からの、回想録です。
バラの回想、というのは、『星の王子さま』の中に出てくるバラ…コンスエロのこと?なんですね。
これが発表されるや、フランスが騒然となったらしいです。やっぱり両方から話を聞いてみないと、分からないもんです。
→ミニ特集・薔薇は何本あるか?

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■夢の意味ランキング
乱歩の「うつし世は夢 夜の夢こそまこと」がNo.1だと思います。夢は、じつに魅力的な素材で、たくさんの人々がその意味を求めて、傑作を生み出しています。

▼決定版かも。

「夢宮殿」
(イスマイル・カダレ/東京創元社)
※難アリ、御注意!

まさに<夢の意味するところ>、がテーマの小説です。
臣民の夢が国家によって真面目に収集され、分析され、臣民の生活不安や、政情を探る材料となり、もちろん謀叛の企てもそこから読み取られる世界─。この小説は、書き方によっては、とことん洒落のめすことも可能ですよね。なにしろ夢を真面目に分析して役立てる社会が舞台なのですから。
でも著者の筆致は初めから薄暗いです。不気味です。名門出身の青年マルク=アレムは、夢を分析するお役所「夢宮殿」に就職。この浮世ばなれした役所なら、罷免や断罪や計略とは無縁だと、考えたからでしたが…。
マルク=アレムが出世するにつれ、夢宮殿のシステムが明らかになっていきます。読まされます。
夢をテーマに据えるのは意外に難しく、ともすれば「定石通り」に流されがちだと思うのですが、「夢宮殿」は独自の世界を作ることに成功しています。「夢」が相手だからと言って、適当に手綱をゆるめないところがとても良いのです。最後まで緊張感が持続します。
夢の意味をテーマにした小説としては決定版と言えるかもしれません。
→変わった職業ランキング

▼少女マンガにて。

『星の時計のLiddell 全3巻』
(内田善美/集英社)

超名作少女マンガです。今改めて読んでもただ感心するばかり。
素晴らしい! 完璧!!
自分が漫画家じゃなくてよかったなぁと思いますね。漫画家だったら、もう約20年も昔にこんな作品ができてしまっていることに衝撃を受けずにはいられませんもの。
<夢の意味>は少女漫画でも、たくさんの名作を生んでおり、これはまた、忘れられない1作です。ヒューが夢に見る家。その中で繰り返し出会う少女。
絵ももちろん美しいですが、セリフすべて暗誦したくなる、美文のマンガというのも久しぶり。「幽霊になった男の話をしようと思う だがどこから語りだそう」。そうやって幕を開ける内田善美の世界に今一度、どっぷりつかりませんか? 22世紀のために秘蔵したい本。
→時計つながり
→幽霊つながり

▼SF的新説。

「時間旅行者は緑の海に漂う ハヤカワ文庫」
(J・P・オリアリー/早川書房)

店主がお風呂本にしていた1冊です。
というわけで私のお風呂本日記から抜粋。
曰く、「この小説では、夢が大きな意味を持つのですが、その説明がね、『あー、なるほどね』って納得できるんです。ありそうな気がしたなぁ。夢がどうのっていう話が好きな方におすすめ。あんまりSFって感じがしない。…」
因みにあらすじでは、「
『エイリアンと恋に落ち、忘れられた夢の秘密を発見し、地球を第三次世界大戦から救い、自分自身を殺した』という「ぼく」の狂気じみた1年」となっています。
SFにも夢は頻出。これはSFらしく夢の意味に新説を提示しています。
→ドラマな題ランキング その1
→タイムトラベルつながり

▼これも入れておかないと。

「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」
フィリップ・K・ディック/早川書房)

夢の意味としては、それが
テーマではないですが、秀抜なタイトルから言って、これは入れておきたいです。
アンドロイドものの名作、映画「ブレードランナー」の原作。あまりにも高名で、あまりにもインパクトがあって、あまりにも名作なので、この題はあちこちで元ネタにされています。
人間らしさとは何か? 心とは何か? アンドロイドやA・IをテーマにしたSFに出会うとき、わたしたちがもの悲しくならずにいられないのは、必ず、ここに触れてくるからでしょう。
→アンドロイドつながり
→羊つながり

▼前世。

『ぼくの地球を守って 全21巻揃 花とゆめコミックス』
(日渡早紀/白泉社)
※やや難アリ

あまりにも有名なので、今更ですけれども。ひと昔前の大ヒット少女マンガ。当時、夢中でした。
登場人物たちは同じ夢を見るのです。月(の研究所)から地球を眺めている、そんな夢。じつは彼らは─。夢、前世、輪廻、少女たちの大好きな要素が盛り込まれた、優れたエンターティメントでした。
人物造形が面白く、「好きな登場人物」と「嫌いな登場人物」がたくさんできます。感情移入しやすい物語なんです。
月にいるアノ人の気持ちになって、月から地球を眺めてみる、読者はみんなそんな想像をしたはずです。とにかく牽引力のスゴイ物語で、一気読みしてジョーっと泣けます。
→泣ける本ランキング
→月つながり

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■いつまで続くのかランキング
すでに終わっているものも続いているものもありますが、そのいつまでも続くタイトルで、「どんだけ〜」と思わせてくれたシリーズをランキング。

▼結局どこまで。

「なおかつパイプのけむり 朝日文庫」
(団伊玖磨/朝日新聞社)

団伊玖磨さんのエッセイ。
結局、「さよならパイプのけむり」が最後なんでしょうか。
ウチの在庫は「なおかつ」だけですけども、「まだまだ」「続々」「しっとり」「なおなお」「晴れても」とか、笑っちゃうタイトル(失礼な)で続いているので、関心のある方は調べて笑ってください。
まだ使われていないタイトルを考えるのも一興です(笑)。「そこそこパイプのけむり」とかどうでしょうか。「やれやれパイプのけむり」は?

▼どこまでも明るい。

『中島らもの明るい悩み相談室』
中島らも/朝日新聞社)

中島らもさんの、ほんとに明るい悩みの相談室です。
必笑の中にも含蓄があるので、時々思い出して読むといいと思います。
さて、今気付いたけど、これも上記の「パイプのけむり」と同様、朝日新聞社発行なんですね。ほーぉ。何か意識してるのかしら、このタイトル群。ウチの在庫はノーマルの「中島らもの明るい悩み相談室」だけですけども、「さらに明るい」「つくづく明るい」「ばしっと明るい」等、いつも明るく続いていました。
→役に立つ人生相談ランキング

▼名言集も。

『何がなんでも説得辞典 角川文庫』
(現代言語セミナー編/角川書店)

名言・名セリフ集が好きなので、このシリーズも注目していました。何と言っても、一番最初に見た『別れの言葉辞典』がインパクトがありましたっけ。
その後、『今度こそ、さようなら(新・別れの言葉辞典)』なんかも出て、「人気があるんだな〜」と感心。
古本屋になり、ミニ特集を作るにあたって調べ直したら、『何がなんでも説得辞典』『絶対いいわけ辞典』まで出ていて、驚きました。
『今度こそ、さようなら』と別れを切り出されたら、『何がなんでも説得』なのか『絶対いいわけ』なのか。
→ミニ特集・名台詞・名言
→ミニ特集・事典じゃなくても大事典

▼紫の薔薇の人…!

「ガラスの仮面 花とゆめコミックス」
(美内すずえ/白泉社)

ある世代以降、共通の関心事じゃないでしょうか。「ガラスの仮面は今、どうなっているのか」。「てゆーか、まだ続いているのか」。
真澄さまはどうしてらっしゃるのかしら? 今でも顔に縦線で佇んでいるのかしら? そして紅天女は? 姫川亜弓さんは?
時々、事情通がいて、教えてくれたりします。「まだやってる」って。真澄さまはまた顔に縦線でいらしたって。

少女漫画では他に、『王家の紋章』もこの系譜です。数年前に読んだら、またキャロルが誰かに誘拐されていて思わず失笑しました。
→玉の輿つながり
→ミニ特集・薔薇は何本あるか

▼おまけ。

『グイン・サーガ ハヤカワ文庫JA』
(栗本薫/早川書房)

じつはまったく存じ上げない大河SF小説です。
現在、115巻ですか? すごいー。外伝もたくさんあるようですね。それだけあれば、退屈せずに済みそうです。