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ビールの最初の一口!
『ビールの最初の一口とその他のささやかな楽しみ ※送料無料』
(フィリップ・ドレルム 高橋啓訳/早川書房)

私、下戸ですが、ビールの最初の一口だけはおいしいと思います。あの2口めとの落差はなんなんだろうといつも不思議。
フランスのベストセラー。そうですねぇ、フランス的な本だと思います。
ビールの最初の一口、に代表される、日常の中の、何気なく心を動かす一瞬をとらえたエッセイ集、ないしは短篇集。
いやぁ、いいですね。好きです。素直に感心しました。ささやかな日常、好きだもん。その切り取り方がワザありだと思う。彼がここに書いてくれなかったら、永遠に書きとめられることはなかったかもしれません。日曜の朝のケーキの箱、林檎の香り、歩道のクロワッサン、日曜の夜、秋のセーター、アーケードの下のひらひら…。そんなものは、みんなの日記に書きとめられても、公式に残ることはなかったかもしれないです。忘れちゃったかも。「人類が滅びたとき、人類にとってかわる新しい知性のために(高橋悠治)」、残したい本です。これが人類だったと思ってもらえれば、なんか幸せ。
歩道のクロワッサンは、歩道のたこ焼きか?などと、日本版を考えながら読むのも楽しいですよ。

中原淳一お料理絵本(と、申し上げてよろしいかと)。
『中原淳一の幸せな食卓 昭和を彩る料理と歳時記 集英社be文庫』
(中原淳一著 中原蒼二監修/集英社)
not for sale

友人が持っているのを見て、我慢できずに買ったものです。(自分用です〜。ごめんなさい。)ね、みなさまも、お持ちですこと? ですわよね?
超おすすめです。
本が好きで、食べ物が好きで、中原淳一の絵にはいつも見とれるし、お金があれば、それいゆをコレクションしたいとお思いのお嬢さま方にはぜひお持ちいただきたい。集英社のbe文庫、いい仕事してくれました。
中原淳一さんがそれいゆやひまわり等の雑誌に書いた料理の記事を季節ごとに分けて、再構成してあります。ほぼカラー。うまそうで、かわいい。おしゃれでレトロで、見るだけで楽しい。ここにしかない世界です。
プレゼントにしても喜ばれるご本でしょう。カノジョや娘さん、奥様のハートをガッチリつかめます。間違いない(と思う)。
※流通中(現在出版社定価¥730)。

→ミニ特集・お料理絵本
→ミニ特集・お嬢様のために

岩山から湧くココア!
『変なお茶会 ※送料無料』
(佐々木マキ:作・画/絵本館)

30ページしかない薄い絵本です。縦18センチ、絵本にしては小型。
でもたまらんです。それが飲みたいです。そのお茶会に出たいです。一見さんお断りかしら? 誰か紹介して! いや、招待して!! お願い〜。
5分と言わず、2分で読めますが、佐々木マキさんの絵は見飽きず、岩山から湧く天然のココアはめっちゃウマそうで、私にとってはチビクロサンボのホットケーキ級に永遠の憧れになりそうです。
※流通中(現在出版社定価¥1050)。

→入会したいつながり?

アイスクリームのたね。
『大あたりアイスクリームの国へごしょうたい ※送料無料』
(立原えりか 北田卓史:絵/旺文社)

ダイスケは毎日、いっぱいアイスクリームを食べたいのに、お母さんには、「昼ごはんが食べられなくなるでしょ」と言われます。自分で買おうにも、アイスは1個¥100もするので小学1年生のダイスケには無理。
はぁ、思い出しますね、100円を持って、スーパーに行った夏休みとか。子供の頃から偏執的な食欲の持ち主だった私、毎回同じお気に入りのアイスばっかり食べてましたし、あの頃すでに、幻のアイスを追っていました。あの頃の私の幻のアイスは、おばあちゃんと駅で食べた乳臭い高級アイス、でした。ハーゲンダッツのバニラがそれに非常に近いんですが、あの頃、ハーゲンダッツって、あったのかなぁ? 
ま、それはともかく、毎日腹一杯アイスを食べたいダイスケが、ある日、アイスのフタをめくると、「大当り!」が出ます。わーお。シロクマジルシのアイスです。フタを送ると、タイトル通り、アイスの国にご招待、されちゃうんです!まさに子供垂涎の童話。絵もかわいいです。
※流通中。

ふーむ。
『ダイエット』
(フランソワーズ・マレ=ジョリス 吉田暁子訳/東京創元社)

ヒロインのジャンヌは35歳。身長170センチ弱、体重85キロ。友人にはダイエットをすすめられますが、そんなものどこ吹く風。知的で豪胆、人生を謳歌するジャンヌは、祖母が名シェフだったという生い立ちも影響して、美食家です。
ところがある日、ジャンヌの住むビルのエレベーターが故障。ジャンヌの部屋は32階。その時、初めてジャンヌはダイエットについて考えます。「体重じゃなくて、ありのままの私を見て」「体重なんてものからは自由でいたい」と常々思っていたジャンヌですが、逆に体重が自分を不自由にするのならダイエットもやぶさかではないと、逡巡の末、ダイエット開始。
さて、どうなると思います?
一筋縄ではいきませんよ。ジャンヌは強いオナゴですから。しかも賢いので哲学的な思索を展開。人の外見、体重を失うことと得ることを普遍的な意味にまで広げて考え始めます。ややオナゴ向けかなぁ。
祖母の作る料理や、ジャンヌがつい注文しちゃうデリバリーがめちゃくちゃ美味そうです。鴨の桃ソース煮、仔羊の背肉・生パスタ添え…。くぅ〜。

※やや読後感が悪いかもしれません。

お菓子満載、小ネタも満載。
『貴婦人が愛したお菓子 角川文庫』
(今田美奈子/角川書店)

ヨーロッパのお菓子はほとんどが、貴婦人たちが愛し、育てたもの。というわけで、ポンパドゥール夫人のアイスクリームやカトリーヌ・ド・メディシスのサバイヨンなど、色とりどりのお菓子にまつわるレディたちの逸話を紹介しています。歴史読み物としても面白い。しかも、カラー写真付きで、文庫本のくせに、見ごたえアリ。ウマそうですもん、すごく。巻末にはレシピ付き。

『おかしなお菓子 角川文庫』
(今田美奈子/角川書店)

こちらは、特にカタチや名前が面白いお菓子を紹介しています。うーん、こっちもウマそう。「はちの刺しあと」、「嫉妬」、「うぬぼれ女」、「女の太もも」、「ワイシャツを着たムーア人」など、ヘンテコな名前にまつわる薀蓄をまじえつつ、それがいかに美味なのかが活写されます。くぅ。はい、もちろんカラー写真多数。巻末にレシピ付き。

参りました!
『子どもの本とごちそうの話』
(赤木かん子/径書房)

これぞ「本に出てくるおいしい食べ物の本」です。仲間だぁ〜。赤木さんの場合は、もちろん、「子どもの本に出てくるおいしい食べ物」ですけどね。
最初から最後まで、まるごと、「あの話に出てくるあの食べ物」の話です。

私よりかなりオトシとお見受けいたします。(だって、ずいぶん昔からいらっしゃるし〜。)そのせいか、今はもうメジャーな外国の食べ物に関して「そんなもの見たことないぞ〜。こんなんかな?」と、渾身の迷推理を展開してるところなんか傑作でした。とにかくクスリとさせてくれる薀蓄が異常に豊富で、若草物語のメグが菊絵と訳されてた時代があった、ベスが露子、エーミーが恵美子だった気がするなどと、貴重な情報を交えつつ、語られるおいしい食べ物の話は必笑。
枯れない泉と申しましょうか。尽きることがなく汲めども汲めども湧く井戸の水のようなお話ぶりにはひたすら感心。
参りました!

当然、その物語自体にも心惹かれて、未読のものは読みたくなる、既読ものもは再読したくなる、素晴らしいブックガイド【子ども編】です。

私にとっては、川原泉のマンガをカバー、挿絵に使っているのも嬉しい1冊でした。

基本ですが!
『美味礼讃 上・下 岩波文庫 ※送料無料』
(ブリア・サヴァラン/岩波書店)
※難有り、注意。

ブリア・サヴァランって、食欲中枢を刺激する名前ですよね? 同系列にシャトーブリアンがあります(笑)。もう名前が美味妄想に直結してるの。
さて、サヴァランさんの有名なご著書。大体、御想像の通り、「食のこだわり」なんかを凌駕する「食の哲学」を披露しています。いや、哲学では固いか。「食のメディアミックス」? いや、これはウソか(笑)。本人はマジメに食について語り、得々とその薀蓄を披瀝してるんだと思うんですけど、結果として、食に関するエンターティンメント性をすみずみまで追求してるんですよね。ソレの中で一番うまいのは、コレコレで、そんでソレについては、こういう話があってね、この場合の歴史的な意味はこうで…。そんな感じですかね。
しかしまぁ、単純にうまいもの満載。基本ですが、はずせませんな。ぼんやりとばしとばし読んでも楽しめます。
「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人であるかを言いあててみせよう。」
か、かっこいいぞ…!!惚れそう。

うん、食べたくなるよね!
『散歩のとき何か食べたくなって 新潮文庫』
(池波正太郎/新潮社)

すんごい見覚えあると思ったら、雑誌『太陽』で連載していたエッセイを(→平凡社の単行本→)文庫化したものなんですね。『太陽』でみかけた時にうまそうぅ〜と思ってたんですよ。
昔の写真なので、ちょっとうるんだような写りで、クッキリしてないんですが、それでもウマそう。いや、違うな。そこがウマそう。ボーッと見ちゃう写真です。

で、ため息などつきつつ、おもむろに池波正太郎を読み始めるわけです。するとまた、この文章がウマそう!写真も見蕩れる「竹むらの〔粟ぜんざい〕と〔揚まんじゅう〕」ですが、文章だって負けていません。「香ばしく蒸しあげた粟となめらかに練りあげた餡のコンビネーション」ですから! うおーっ。
「鯛の腹のあたりの、すこし脂が乗っているところを、あまり厚くない刺身にして、ワサビも何もなしに、生醤油だけで食べる。これにすこし濃い目の煎茶へ塩をひとつまみ落したのを吸物がわりにして…」などと言われるとそれもたまらん。

え、鬼平? と声をかけたくなるような、池波さんのダンディな立ち居振舞い、粋ぶりからも目が離せません。私の頭の中では完全に池波さん=お忍びの鬼平(着流しに編み笠)に変換されてます。
「それを食わせろ〜」と、大暴れしたくなる1冊。

ピッピのパンケーキ!
『長くつ下のピッピ 講談社文庫』
(リンドグレーン 尾崎義訳/講談社)

ピッピがここまで好き放題やっていたとは! 大人になって読むと、びっくりですね、その破天荒ぶりに。とにかく、普通なら、「しちゃダメだ」と言われることを全部しているピッピ。罪悪感もナシ。だって自由の国なんだもん。好きなようにして何が悪いの? ってわけ。
もう遅いから寝ろとうるさく言う両親もいない。ピッピは一人暮しなんです。パンケーキだってお菓子だって、ジンジャーケーキだって、上手に作れるし、それをお腹いっぱいになるまで食べてもいいの! 叱る人はいませんから。
禁止事項が多いということは、やりたいことがいっぱいあるってことですよね。今はもう、お腹いっぱいになるまでお菓子を食べたいなんて、思わなくなりましたもん。(やろうと思えばできるし。)ピッピを見ていると、昔やってみたかったことを思い出します。あの頃の気持ちに帰って、死ぬほどむさぼり食いたい、ピッピお手製のパンケーキやお菓子の数々。繰り返し、登場します。

結婚したい!
『ドジリーヌ姫の優雅な冒険 文春文庫』
(小林信彦/文藝春秋)

面白過ぎ!
そして、二階堂秋彦さん、ステキッ。結婚したい。うーん、ママが石井好子さんで、パパは村瀬春樹さんで、息子はKタローで、おばあちゃんは宇野千代で、おじいちゃんはハイジのじいちゃんで、夫は秋彦さんがいいです、ワタシ。(ワタシの妄想の話。)
二階堂秋彦さんは職業<さすらい人>。妻の敏子さんを置いたまま、フラリと仕事に旅立ち、何ヶ月も帰ってこないこともあります。でも、仕事のことは聞いちゃダメ!だめだめ!だってさすらい人だから!!
アハハハー。
こんなにステキな話とは知らずにいて、20年くらい損した気持ちです。
敏子さんは、ものすごく不器用者のドジで美貌な妻で、通り名はドジリーヌ姫。いいじゃありませんか? なぜか食通の夫にナニナニを作れと指令を出される度、「わたしにそんな複雑なものが作れると思って〜」って泣いてます。でも彼女は心から夫を愛しているので、出来る限りがんばっちゃう。
連作短編で毎回、トーロンポー、ババロア、アボカド、七面鳥。うまそうな料理満載です。
謳い文句は「知的ユーモア! 愛と夢!」。これは読まねば!

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