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なにかひと口やる時間。
『プーさんのお料理読本 「クマのプーさん」「プー横丁にたった家」をもとにして)』
(お料理の作り方:ケーティ・スチュアート、絵:アーネスト・H・シェパード、訳:鈴木佐知子/文化出版局)

わたし、 もしかしたら、ちゃんとプーさんを読んでいないのではないかと薄々感じてはおりましたが、この本を読んで確信しました。読んでない!読んでたら絶対覚えてる!ところどころに引用されているプーの台詞がトキメキを覚えるほど、キュートなんですもん。プーがハチミツのことばかり考えている様子にも、<なにかひと口>のことばかり考えている様子にも、同類の食魂を感じます。

おいしそうなお料理には大きく分けて二つありますよね。凝っているもの。そして野趣あふるるもの。この本におさめられている料理は後者。(プーさんですからね。)「シナモン・トースト」「卵のサンドウィッチ」などなど。お子様でも作れるものがたくさん。でも「はちみつをつけてたべるプーのぶどうパン」になると、もう私には作れません(めんどくさくて)。はー食べたい〜。「はちみつと干しぶどうのスコーン」「はちみつのタルト」…。イヤーン作って〜。

この本、信じられないけど、
まだ新刊で流通中みたいです。(超ロングセラー?) お値段も据え置きでお手頃価格(¥1000くらい)のようですので、オススメです。本の造りもかわいいですし! 新刊が良い方は新刊でどうぞ!(もう商売抜き) もちろん当店ではもっとお安いです。

→クマつながり

注意!おいしくないです。ごめん。
『宇宙料理店 特選:おいしそSF短編集 集英社文庫コバルトシリーズ』
(津山紘一/集英社)

津山紘一のSF短編集。
「青い惑星」、「チンパンジー」、「ポパイの恋人」、「なんとなくSF」、「オランウータンの夢」、「ペロニウス」、「まな板が喋る日」、「オルゴール」、「がんばれ、おばあちゃん!」、「おばけやしき」、「食通入門」、「史上最大のパズル」、「戦争」、「とちのきの伝説」の全14編。
おいしそSF短編集と銘打っているものの、それは言葉のアヤ。食べ物(らしきもの)が出てくるのは「食通入門」、「ポパイの恋人」くらい。
そしてこの、「食通入門」のくだらなさには目をみはるものがあります。
く、くだらねーっ。A君の連れて行ってくれた高級料理店、清酒の名前は「いつものやつ」、娘の名前は「美人」、と来たときには、「なるほど。食通を皮肉ってるわけか」と思ったのですが、そうじゃない。出てくる料理は、ジャガイモの芽のサラダ、猫とマタタビの煮物、ウナギの梅肉和え…。オエーッ。皮肉るも何も、すでに原型をとどめていませんから。この悪趣味とくだらなさは、本当に久しぶりです。石を投げたくなるくだらなさとはどういうものなのか、体験したいゲテモノ好きにはおすすめです。
他の収録作「オランウータンの夢」は<この世界が誰かの見ている夢である>というよくある着想、「ペロニウス」は神について。まぁ、まともな作品も入っていると言っていいのかどうか…。とにかくレアアイテムには違いないので、内容はともかく持っていたいコレクター向きです。

→ミニ特集02・コバルト文庫

料理上手のメイドが作るスコーン
『シネマ厨房の鍵貸します─映画に出てくる料理を作る本─』
(日本ヴォーグ社)

メルマガ読者のみなさまへ
おかげさまで売り切れました。ありがとうございます。

<ミステリーと食べ物>と同じくらい相性がいいのが<映画と食べ物>。<映画に出てくる食べ物>を扱った本も多いです。でも、これはピカイチかも。実用的!という意味で。なにしろ、綴じ方が、ほら何て言うのかなぁ。ページに(ルーズリーフのように)穴が開いていて、それをクルクルしたものを通して綴じてあるという…。高いノートにあるタイプ。開いてテーブルに置いておいても閉じないの!料理本は全部この体裁で出せ!と思うくらい便利。実用にしてねという気合い充分なワケです。(下の画像参照)

もちろん、その料理と出てくる映画の関わりの解説もお見事!料理の選択もお見事。どっちかだけに愛が偏っていては、こうは行かないでしょうね。今まで<映画に出てくる食べ物>エッセイを読んでも、フーンと読み流しがちだったのは、その著者の関心が「映画>食べ物」だったからなんだと気付きました。これは「映画=食べ物」です。

私の注目は「真夜中のベッドに運ぶスパゲッティ(from 心みだれて)」「腕をみがくならフレンチトースト(from クレイマー、クレイマー)」。「料理上手のメイドが作るスコーン」も捨てがたいなぁ。さて、なんの映画でしょう? 「5ドルの高級ミルクセーキ(from パルプ・フィクション)」もいいな。映画評も的確なので見たくなります。グラン・ブルーと五月のミル、見てないなぁ。うん、見たい。

オールカラー、全158ページ。

お料理名言集。
『食べものちょっといい話 新潮文庫』
(やまがたひろゆき/新潮社)

巻末の解説を読んでいて、忘れていたトラウマが蘇りました。ちょっとした病気かと自分で疑うほど食いしん坊のワタクシ。子どもの頃に、毎週真剣によだれをたらして見ていた番組がありました。それは「料理天国」。子ども心にもかなり切ない思いで眺めていたものです。「匂いだけでも嗅ぎたい!」と強く願ったことを記憶しています(トホホ)。で、やまがたひろゆきさんはあの番組を監修していた辻調理師専門学校のエライ人のようですね。ほーぅ。
古今東西、フィクション、ノン・フィクション界のお料理に関する名言、名場面、小ネタをあつめた本です。
花見に行った光琳。周囲の者が贅を尽くしたお弁当を食べる中、竹皮に包んだおにぎりを食べる。しかしよく見ると竹皮には蒔絵が施されていて、彼は惜しげもなくそれを川に流してしまった。とか。
007号の食道楽ぶりとか。ジェームズが食にうるさい好みのある人だったとは存じませんで、失礼しました。
また、こんなのはさすがですね。
ゴルゴンゾラ・チーズの 黴の華の、何と若々しく 妖艶な緑であろう (岡本かの子)

→スパイつながり

おんなってヤツは。
『なにたべた?』
伊藤比呂美+枝元なほみ/マガジンハウス)

伊藤比呂美さんと枝元なほみさんの往復書簡ならぬ往復FAX。枝元さんは役者→料理家という経歴の持ち主だそうですね。
彼女たちは二十数年前に知り合い、以来、「おたがいの、
引っ越した家と代々の男は、ぜんぶ見てきました。」ということで、FAXでも生活と人生のすみずみまで語り合っています。(フィクションも混じっているそうですが。)
しかし、メインはもちろん食べ物。二人で心おきなく食べ物の話をしていますよ。わかるわぁ。大体、おなごは気分がふさいでも、絶好調でも、食べ物の話は欠かしませんから。すごく既視感のある語り口で、微笑してしまいました。
二人とも相当な腕自慢のようで、小洒落たものからお好み焼きまで、めった切り。大体はレシピも教えてくれるので、実はかなり使える1冊なのでした。

→手紙つながり

カレーの香る本。
『俺カレー』
(東京カリー番長監修/アスペクト)

カレーほど、みんながこだわってる食べ物はないと思いません? 他にはラーメンくらいかなぁ。でもラーメンは主に外で食べるもんでしょう。カレーは勿論外でも食べるけど、いかに作るかにもコダワリがあるの。
みんな自分のカレー(もしくは自分ンちのカレー)が一番だと思ってる。好みもいろいろで、好きなカレー店は十人十色。でしょー? 思い出の詰まった食べ物でもある。
各界著名人(?)がそんな「俺カレー」要するに「マイ・カレー」「マイ・カレー・エピソード」を語っています。東京のウマイ店も紹介。(いーなー、東京)
1冊まるごとカレーの本。カバーを外せば、本体は黄色。そして、この本、なんか匂うと思ったら、カバー折り返しをこするとカレーの香りが漂う仕掛けです(笑)。クサー。

→香りつながり

貧しいけれどおいしい我が家。
『大草原の「小さな家の料理の本」』
(バーバラ・M・ウォーカー/文化出版局)

お友だちに「大草原の小さな家読めば? すごくおいしそうで、好きやと思うよ」って言われたことがあります。
たまにテレビで見ていた時はそんなに食べ物に気付かなかったので「ふーん」と思っていたんですが、実際、この本を見て、たまげました。
すごいです。序文でも著者がはっきり言っています。「食べることは少女ローラの最大の楽しみ」。本当にそうみたいで、「大草原の小さな家」シリーズに出てくる食べ物殆どすべてについて語り、レシピ103種をおさめたこの本も、この手の本としては、驚きのギッシギシ感。ぎゅうぎゅう。
またそのひとつひとつが、素朴で心そそります。クランベリージェリー、ブルーベリープディング、いちごジャム、とうもろこしの固焼きパン、詰め物をした鶏の丸焼き…延々名前を書き続けたいくらい(笑)。

3等でもいいや。
『タイタニックの最後の晩餐 豪華航路のディナーとレシピ』
(リック・アーチボルト他/国書刊行会)

豊富な写真、挿絵で描くタイタニックの<食>の部分。史料に裏づけされた料理の再現です。
1等のメニューが残っていて、それは─○カナッペ提督風○カキのロシア風○コンソメオルガ風○大麦のクリームスープ○鮭のムースリーヌソース○鶏のリヨネーズ風○フィレミニョン リリ風○ナタウリのファルシ○仔羊のミントソース○家鴨のロースト カルバドス・グレーズ、アップルソース添え…まだまだまだまだあります。スゲー。こんなに食べられないよぅ。3等でも、野菜スープにはじまって、ローストポーク セージ風味からプラムプディングのスウィートソースとボリュームたっぷり。ティータイムのメニューはまた別ですよ。
逸話もありで興味津々。メニューや使われた食器の写真には見入ってしまいますね。もちろんレシピ付き。作ってみます?

特ダネかと思いきや。
『男の作法 ゴマブックス』
(池波正太郎/ごま書房)

はじめは、この本は特ダネ行きだと思ったんですよね。
男の作法について、それこそネクタイから香典まで語られているので、「洋服で最もむずかしいのはストライプ」って表題でも付けて、特ダネに入れようとしてたんです、私。でも、違うの。池波さんがノリノリなのは、やっぱり食べ物なの。それが証拠に、章題は全部食べ物なんだもん。
「てんぷら屋に行くときは腹をすかして行って、親の敵にでも会ったように揚げるそばからかぶりつくようにして食べなきゃ。」──これが章題ですよ(笑)? 因みに小見出しにも「冷たいビールには、熱い唐揚げのじゃがいもがいい」とかね、いろいろあるんですが、小見出しが付いているのは、食べ物の箇所のみですから(笑)。心は正直です。

ミステリーと食べ物の相性。
『料理長が多すぎる─ハヤカワ文庫HM─』(レックス・スタウト 平井イサク訳/早川書房)

ミステリと食べ物の相性ってすごーくいいですよねー。証拠を食べちゃう、○○を食べちゃう、スープに指が入ってる…。毒。食べるという行為→消えてなくなる、潜在的に食べたくないものがある、毒殺アリ。ということで、ミステリーになりやすいのかなぁ。
さて、これも今更かもしれないですが、外せないでしょう。つい最近までネロ・ウルフや、アーチー・グッドウィンの人となりを知らなかった私ですが、知って以来、アーチーには同情しつつ、呆れています。アーチーって友達の彼氏にいたら面白いタイプ。ネロ・ウルフには極力近付きたくないですけど(笑)。美食家のわがまま探偵、ネロ・ウルフのシリーズ中でも、もっともウマイモノが出まくる作品なのではないかしら?舞台は晩餐会、被害者はシェフ!

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